悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州・富山の旅
■9/25(3日目):長野県安曇野 ⇒ 新潟県糸魚川市能生(道の駅「マリンドーム能生」)
【走ったルート】 道の駅「池田」からすぐの「北アルプス展望美術館」に行き、朝日の当たる北アルプスの展望を眺めながら、朝食を作って食べた。「大町温泉郷」で湯に漬かったあとは、「扇沢駅」まで行ったが、妻が黒部ダムを見たいと言っていたので、この旅では、そこから先には進まず。少し残念な気持ちもあったが、それを埋めてくれたのが、りんご畑でのことだった。道の駅「白馬」で買ったおやきの昼食のあとは、一気に日本海に抜け、「ヒスイ海岸」でひと休み。道の駅「マリンドーム能生(のう)」で車中泊。【走行距離:133km】
【忘れられない出来事】 リンゴ畑の横を走っていたとき、たわわに生っている真っ赤なリンゴが私を誘ってきた。そこで、作業中のリンゴ農家の人に頼んで、1個もらって、Tシャツの腹の部分で拭いて食べた。美味しかった。蜜の部分が「そうだろう」と言っているようだった。
【旅の内容】 午前4時頃に目が覚めた、いや、起こされた。
就寝した時は、「ジル」の回りにはクルマは停まっていなかったが、そこに今、軽が停まっていて、そのドライバーが軽のボンネットを開けて何かやっていて、その金属音で起こされたのだ。
目が覚めなかったら行かなかったトイレに行ってしまったが、戻ってきたときは、軽はもうどこかに去っていた。
バンクベッドで、もう一度眠ったところ、今度は5時半に目が覚めた。
昨夜、バンクベッドの小窓から吹き込む夜風が涼しくて、網戸はやめて、窓を閉めて、遮光のシェードを下げて寝ていたので、そのシェードを開けると、北アルプスの山々の頂上付近に朝日が当たり、赤く染まり始めていた。
すぐに着替えて、「北アルプス展望美館」に向かった。
実は昨夜、安曇野周辺の観光マップを見ていたところ、道の駅の近くに「北アルプス展望美術館」を見付けた。その名のとおり、北アルプスの展望が見られることを知り、明朝、訪れたいと思っていたのだ。
道の駅から5分で到着した美術館の駐車場は、僅か50mほど高いだけだが、見事なまでに、北アルプスの展望が広がっていた。まだ雲は懸かっておらず、早朝の北アルプスを丸々見た気がして、すかさず写真を撮った。
駐車場から芝生広場や美術館の玄関の方に行くと、ほんの少しばかり登った分、目の前の景色は芝生の向こう側の北アルプスの構図になり、何枚もの写真を撮った。
北アルプスの山並みの中に、特に朝日に映える山があった。
ちょうどウォーキングしている高齢の男性がいたので訊いたところ、槍ヶ岳とか白馬とか言いながら、最後は分からんと、かなりいい加減な回答になり、呆れてしまった。
そう思ったのは、地元の人は全員、山の名前くらい知っていて当然だと思っていたからで、そうでもない人もいるものだと、改めてそう思うことにした。
そして、北アルプスの山々を背景に、三脚を立てて、セルフタイマーで自撮りした。
駐車場に戻ると、「ジル」の隣に1台のクルマが停まっていて、ひとりの男性が北アルプスの写真を撮っていた。
「ちょうど今、朝日が当たっている山の名前をご存じでしょうか?」と訊いたところ、彼はスマホを山の方向にかざし、爺ヶ岳(じいがたけ)だと教えてくれた。山の風景をスマホのカメラで捉えると、山の名前が検索されるアプリを使用したようで、便利なものがあるものだと感心してしまった。
彼は神戸から来て、燕岳(つばくろだけ)と大天井岳(おてんしょうだけ)に登ったとのことで、今からは白馬のジャンプ台に行くとのこと。
前回の旅で、私はそのジャンプ台の最高点まで登っているので、そこから下を覗くと足がすくんでしまうとか、顔を上げれば、白馬高原を飛ぶパラグライダーが見えるとか、想い出の断片を伝えた。
最後に、美術館の前の階段の途中から撮る写真は、ここからの写真とはちょっと違った感じになるので、それもいいですよと勧めると、彼はそこに向かっていった。
「ジル」の中で、コーヒーを淹れていると彼が戻って来た。「コーヒーでも飲みませんか?」と声を掛け、ダイネットに招待した。
先ずは彼の今回の登山の話を伺った。良い天気に恵まれた登山で、満足した内容だったという。
そして、私の話を始めた。「ジル」に積み込んでいる数冊のキャンピングカーの月刊誌には、これまでに投稿した紀行文が掲載されており、それを見せながら、キャンピングカーライフの話をした。
次に、私が撮った空撮写真を見てもらうと、矢継ぎ早の質問が出てきて、パラモーターの「空の散歩」の話で盛り上がってしまった。
北アルプスの朝の情景を見ながらの楽しい時間だった。
彼がこの駐車場をあとにしたとき、空腹に気付き、コーヒーをもう一杯淹れながら、朝食の準備を始めた。鰤(ぶり)の照り焼きとウインナーを挟んだホットサンドを作り、バナナと牛乳も準備した。今日もこれで、良い一日を過ごせることだろう。
朝食の後片付けが終わったあと、コーヒーをもう1杯淹れて、ダイネットの窓から、朝の北アルプスの情景を見ながら、別荘とキャンピングカーの比較について、考え始めた。
先ずは、別荘の「窓からの風景」とキャンピングカーの「車窓風景」の違いについてだが、別荘の「リビングの窓からの風景」はいつも同じだ。
とは言っても、四季の違いや天気の違い、更には風の有無、太陽光の差し具合などで、見慣れた風景は違った様相を見せ、ハッとした美しさに出会ったり、機微を感じたりするのだろう。それを「見つめる静的な美しさ」と表現できるのかもしれない。
一方のキャンピングカーからの「車窓風景」は「ダイナミックな行動で出会う風景」だと思っている。泊った場所での車窓風景もあるが、ここに来た今朝のように、車窓からの北アルプスとの出会いがあり、雲が湧く前の早朝の景色を堪能できた。このように、日本中の旅先で、色々な時間帯の景色を見ることができる。
次は「食事」について。
キャンピングカーのキッチンには、冷蔵庫、電子レンジ、水道、シンク、ガス台(2口)、その真上には換気扇が付いており、別荘のキッチンに比べるとサイズは小さいが、機能的には遜色ないと思うので、以下、「外での食事」について、比較することにした。
多くの別荘には屋根のある少し広いウッドデッキがあり、そこでの食事やBBQパーティ、そして夜更けまで酒を交わすひと時、庭にはピザ窯があるかもしれないが、そんな光景をテレビや映画で見るが、これぞ別荘ライフの象徴のように思えるシーンだ。
一方のキャンピングカーには、助手席側の側面に装着されている出し入れ可能なサイドオーニング(日よけ、タープ)があり、キャンピングカーの横に、アウトドア的な居住空間を設けることができる。そして、積み込んでいる折り畳みテーブルをセットして、出来れば、その上にランプを置いて、折り畳み椅子を広げれば、いい感じのアウトドアライフが始まる。焚火をしようと思えば可能だ。
道の駅ではそんなことはできないが、キャンプ場やRVランドでは可能で、異なった雰囲気でのアウトドアライフを楽しむことができる。
最後は「ライフ」について比較してみたい。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州・富山の旅 作家名:静岡のとみちゃん