無限であるがゆえの可能性
どこでどのように、実行犯が変わったのか分からない。島村と、友達である主犯は、その意見が最初とまるでたすきが掛かったように、意見が対角線となった。そう、それこそ、事件が、
「交換殺人である」
ということが分かったかのようにである。
それを引き継いだ形になった友達は、島村を殺害した。
それは、本人の意思によるものだったのかどうか、本人にしか分からないが、そのせいで、島村が考えていたことを、本当に実行しなければいけなくなった。そこで、きっと、考えに襷が掛かってしまったのだろう。
しかし、二人の考えが、
「限りなくゼロに近い」
ということで、
「無限である」
と考えた時、
「瓦解するに違いない」
と思ったが、もうやめるわけにはいかなくなったのだった。
それが本当の島村の意志だったのかどうか、結果が失敗となり、そのせいで、島村の本来の気持ちが永遠に封印されてしまったということから、
「やはり、完全犯罪などというのは、世の中から無限というものがなくならない以上、ありえないことだ」
と、島村はそう考えながら、死んでいったことであり、主犯も、今そのことに気づいてしまったということなのであろう。
( 完 )
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作品名:無限であるがゆえの可能性 作家名:森本晃次