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欲による三すくみ

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 もし、普通に謝罪していれば、ほとぼりが冷めれば、また政治の舞台に復帰できるかも知れないものを、せっかくのほとぼりも、うまくいくわけはないということになるのではないだろうか。
 それを考えると、
「世の中、いい方に変えるのは、相当に覚悟がいり、大変なことであるが、悪い方には何もせずとも勝手に変わっていく」
 ということになるのである。
 日本国に限ったことではないが、政府というのは、今も昔もひどいことしかできないのであろう。
 武士の世界になって、鎌倉幕府などは、気の毒なところもあったが、一番の問題は、
「徳政令を出した」
 ということではないだろうか?
 御家人が困っているということで、借金棒引きという、徳政令を出したことで、御家人にはありがたがられたが、
「貸した金を返してもらえない金貸しや商人は、溜まったものではなく、幕府を恨んだのは当たり前のことだ」
 といえるだろう。
 しかし、世の中の経済がよくなるわけではないので、すぐに、武士の生活は困窮する。
 そうなると、また借金しなければいけなくなるのだが、今度は、金貸しが、応じてくれない。
 それも当たり前のことであり、
「ここで金を貸して、また徳政令でも出されて、金が返ってこないなどというのは、たまりませんからな」
 と言って、
「借金の申し込み」
 さえも、受けてくれなくなる。
 そうなると、御家人は、
「今日の食事もない」
 ということになるのだ。
 そういうことになると、もうどうしようもなくなり、
「幕府に対して、すべての国民が不満を持つことになる」
 ということで、それが鎌倉幕府の滅亡の最初だったのだ。
 そこに目を付けたのが、
「後醍醐天皇」
 であり、
「天皇中心の国家に戻そう」
 ということで、武士を味方につけ、倒幕を行うのだった。
 何しろ、天皇からの、勅命があるのだから、武士たちには、大義名分があるというものだ。
 鎌倉はあっという間に崩壊し、後醍醐天皇による、
「建武の新政」
 というものが始まった。
 しかし、これは、平安時代の昔に戻すということで、
「命を懸けて戦った武士に恩賞が少なく、何もしていない貴族に、鎌倉幕府の土地が湧け与えられるという状況になったことで、今度は天皇に対しての不満が出てきた」
 ということである。
 そもそも、
「建武の新政」
 というのは、
「後醍醐天皇が、政治のすべてを見る」
 ということで、一人で何もかもなどというのはできるはずもなく、しかも、昔に戻そうとするのだから、武士が不満を持つことは当たり前だ。
 だから、武士たちは、
「鎌倉幕府のような、新しい幕府の建設」
 というものを考えるようになる。
 そこで、足利尊氏を担ぎ出し、天皇の政権から、また武士の政権へと戻すために、天皇一派を滅ぼすことで、国家は、
「足利幕府」
 というものができて、新しい武士の世界が出来上がることになったのだ。
 基本的には、鎌倉幕府の政策や政治体制を踏襲しているということになるのだが、どうしても、幕府自体の力が弱く、しかも、足利将軍というのが、あまり権力のない人が多かったりしたので、結果、応仁の乱を代表として、いろいろな大名同士の戦が起こったりしたのだ。
 そして、時代は、完全に応仁の乱で、諸国を留守にした隙に、所領を主君から奪い取るというような、
「下剋上」
 と呼ばれる時代となり、それが、
「群雄割拠」
 と呼ばれる、
「戦国時代への突入」
 ということになったのであった。
 そんな時代が室町時代の半分を占め、100年以上続いていくことになるのだから、それこそ、
「戦争というものが、どこでも起こっていて、いつ攻められるか分からず、滅亡の危機と背中合わせのような時代だった」
 と言ってもいいだろう。
 そんな時代において、
「秩序や正義」
 などというものが本当にあったのかどうか、実に疑問だったといってもいいだろう。
 この時代の戦争がどういうものなのか分からなかったが、今の時代に、戦国時代というと、歴史の中でも、
「一番好きな時代」
 という人が多いのも、事実である。
 はやり、
「派手さ」
 というものがあるからなのか、今であれば、ゲームなどで、戦国時代を扱ったものも多く、しかも、そのキャラクターが、
「イケメンにできている」
 ということで、女性ファンなどがついたことで、ゲームも売れると、歴史ファンが増えるということで、
「お互いにいいのではないか?」
 と思っている人もいるだろう。
 特に、それまで、歴史を、
「暗記物」
 ということの毛嫌いしていた女性たちが、一時期は、
「歴女」
 と言われるほどに、その楽しさというものを味わうことができるようになってきたのだった。
 だが、実際に昔からの歴史が好きだという、
「歴史をオーソドックスに好きな人」
 から見れば、
「ゲームなどというまやかしでファンが増えるのは、ありがたくない」
 と思うだろう。
「学問として」
 あるいは、
「社会の教訓として」
 ということで歴史を好きな人からみれば、
「これほど面白くもないことはない」
 といえるだろう。
 特に、にわかファンというのは、昔から、
「節操を知らない」
 ということをいわれていた。
 特に、歴史的建造物であったり、史跡などというと、歴史を好きではない人であっても、
「守らなければいけないものだ」
 ということくらいは、普通に分かるというものである。
 しかし、時代が変わってくれば、そんな文化財などに対しての興味は薄れ、
「だったら、何もしなければいい」
 ということで、今までは別に被害はなかったのだ。
 しかし、時代が変わって、歴史が好きでもない人が、ゲームの影響というだけで、
「戦国時代が好きになった」
 などと思っている人からみれば、本当は面白くもないのに、話題性というだけで、
「推しのかかわりのある土地を訪れてみたい」
 ということで、いかにも、
「私は、聖地に行ってきたのよ」
 と言わんばかりに、そこで写真を撮りまくったりするだろう。
 中には、ひどいやつもいて、
「ここに私が来たという証拠を残そう」
 とばかりに、建造物の柱などに、自分の名前を書くなどというふざけたことをしている人もいるだろう。
 たぶん、そういう連中は、自分が悪いことをしているという意識もないのだ。
 ユーチューバーが、注目を浴びて、
「バズらせたい」
 という理由だけで、たとえば、堂々と盗みを働いて、それを見た警察にわざと追いかけさせ、それを、もう一人に動画に収めさせ、それをネットで公開させることでバズらセルというようなことが、一時期流行ったことがあった。
 最初にやったやつは、
「一万歩譲ってであれば、まだ許せる」
 というかも知れないが、ひどいのは、二番煎じの連中である。
「他人がやったことがバズったのだから、自分たちがやってもバズるはずだ」
 というようなことを本当に考えたのだろうが?
 もしそうだとすれば、
「これほどバカなやつもいない」
 ということである。
 何といっても、二番煎じでウケると思っているという、その浅はかな発想が、実にバカだということである。
「人のふんどしで相撲を取る」
作品名:欲による三すくみ 作家名:森本晃次