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欲による三すくみ

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 何といっても、企業は、
「資金を回す」
 ということでの、
「自転車操業」
 と言ってもいいだろう。
 一つが焦げ付いてしまうと、すべてに影響し、まわりを負どんどん巻き込むように、何もうまくいかなくなる。
「連鎖倒産」
 であったりが蔓延ると、当然銀行は、
「貸した金を返してもらえない」
 ということになり、利息どころか、元本も返ってこない。
 当然、貸した額が大きいのだから、それが何件にも膨れ上がれば、銀行自体が、
「バブルのように、実態のないものだ」
 ということなのだから、うまくいくはずなどない」
 ということになるのだ。
 そんな、
「過剰融資」
 というものが焦げ付けばどうなるか?
 ということを誰も分からないというのもおかしいというものだ。
 実際に、サービス残業などというものを強要する会社は、本当は、
「減ってしかるべき」
 なのに、どんどん増えている。
 特に今の時代は、本当であれば、
「社員ありき」
 ということで、
「実力主義の時代」
 と言われているにも関わらず、まだまだ日本は、昔の、
「年功序列」
 であったり、
「終身雇用」
 というものが、いまだに幅を利かせている。
 バブル崩壊後の日本」
 では、
「失われた30年」
 という言葉が叫ばれている。
 これは、
「他の国では、その間に、少しは経済成長することによって、基本給、つまりは、ベースアップが上がっている」
 と言ってもいい。
 しかし、日本の場合は、決して給料が上がることはない。それがなぜなのかというと、
「企業が内部留保」
 をしているからだといえるのだ。
 内部留保をするから、世間で物価が上がっても、給料は上がらない。これは、
「終身雇用というものがなくなってきているとは言われるが、実際にはいまだに終身雇用というものがある会社が多い。そのために、会社が、簡単に社員の首を斬ることができず、不況に陥った時、リストラをするか、大きな会社に吸収合併されるかということがなければ、会社は生き残れない」
 ということになるのだ。
 だから、会社が不況で危なくならないようにするという、
「その時のために、会社でたくわえが必要になる」
 ということなのだ。
 それぞれに、その態勢が中途半端であることから、
「会社というものが、不況になると、社員の首切りに走らないようにするために、今は蓄えておく必要がある」
 ということになるのだ。
 実際に、不況になったり、世の中の経済が瀕死の状態になった時でも、日本は、失業率がそれほどではなく、会社の倒産というのも、そこまではなかった。
 ということだったのだ。
 それが、数年前に起こった、
「世界的なパンデミック」
 というものがその代表例だと言ってもいいだろう。
 確かに、物価が上がって、給料が上がらないのだから、市民の生活は苦しいものであるが、だからと言って、内部留保を食いつぶしてしまうと、今度は会社が危なくなってしまい、何もできなくなる。
 ただ問題は、
「そのバランス」
 というものであった。
 いくら内部留保が大切だといっても、物価の急上昇によって、
「働いていても、明日の性格が危ない」
 ということになると、それこそ、内部留保を使わないといけない時期になるのではないだろうか?」
 何しろ日本における内部留保の額というのは、
「安っぽいものでは決してない」
 ということになるだろう。
 だから、会社とすれば、
「内部留保で、リストラを回避している」
 と言えば、何とか言い訳になるというものであろう。
 しかし、
「内部留保」
 というものが多くなり、社会のバランスが崩れてくると、世界情勢の中から取り残されるということになる。
 内部留保がこんなにたくさんある国は日本だけであろう。
「終身雇用」
 ということを中途半端に存続させてきたことが原因なのかも知れない。
 今の時代において、就職活動もうまくいかず、ほとんど、正社員ということがありえない時代になってくると、
「契約社員」
 や、
「派遣社員」
 などという雇用形態が、当たり前のようになってくる。
 いわゆる、
「非正規雇用」
 という時代である。
 非正規雇用というと、会社側からすれば、
「首を簡単に切れる」
 ということと、
「給料がそれほど高くなくて、正社員がする仕事を振ることができる」
 ということになるのだ。
 社員側とすれば、会社から、理不尽な責任を押し付けられることもなければ、
「もし会社を首になっても、派遣先は他にもあるだろうし、派遣会社を辞めるという方法もある」
 ということになるのだ。
 給料がいくらになるかということが問題なのだが、最近は、法律でも、
「非正規雇用のベースアップ」
 ということが決まってきているので、今までと、派遣社員に対しての待遇も変わってくるに違いない。
 それは、確かにそうなのかも知れない。
 今まで、派遣社員に冷たかった、派遣先の会社でも、
「世間の動き」
 というものから、
「派遣社員の待遇もいい」
 という会社も増えてきたのも事実だろう。
 しかし、旧態依然として、
「今までのように、派遣社員というのは、給料が安く、簡単に首にできる」
 ということを考えている会社もあるだろう。
 そういう会社が、
「法の目を盗む」
 かのようにして曖昧なことをしていたり、分からないところで、会社の都合のいい雇用をしようとしているのだろう。
 だから、
「法の整備はできていても、それを扱う会社が、しっかりしていないことで、苦しむの社員という人間なのだ」
 ということである。
 会社というものをいかに扱うか?
 ということが問題になる。
 世間では、
「ブラック企業」
 などと言われている会社が山ほどあるのに、それを行政はどうすることもできないというのは、
「年金問題」
「人手不足問題」
 などと、解決できない問題を抱えながら、どんどん新しい問題が噴出してきて、しかも、「そんなことは、昔から分かっていることではなかったか?」
 と言われている今であっても、世の中も行政も、
「見て見ぬふり」
 ということになってしまうのではないだろうか?
 それが、今ある、
「ブラック企業」
 なのである。
 そんな時代において、
「どんな時代がこれから待っているのか?」
 ということを考えたことがあった。
「時代というものが、いかなる相手を追いかけるのか?」
 と考えると、
「一つ頭に浮かぶものとして、
「偽善と、必要悪」
 というものであった。
 基本的に、偽善というものを、
「善の中にある悪」
 というものが、
「偽善」
 というものであり、
「悪の中にある善」
 というものが、
「必要悪」
 ということになるのではないだろうか?
 つまりは、もっといえば、
「偽善と呼ばれるものの神髄は悪」
 ということであり、
「必要悪」
 と呼ばれるものの神髄は善だ」
 ということになるのであろう。
 必要悪と偽善というものは、それぞれに相対するものであり、それを、反対語のように考えれば、前述のような、
「中の下」
 と、
「下の上」
 とを見比べた場合に、どちらが上になるか?
作品名:欲による三すくみ 作家名:森本晃次