黒薔薇研究会の真実
「最後の決定事項としては、人が少なくなるということがあるんじゃないか?」
と誰かが言ったからということであった。
その人の、
「ツルの一声」
で決まったといってもよかった。
そもそも、優先順位というのがどういうものなのかということを考えれば、決定事項として、最後がごぶごぶだったことを考えれば、
「最後の一押し」
というのは、実に楽なものだったといってもいいだろう。
それを考えると、
「自分たちの考え方というものが、いかなるものだったのか?」
ということであった。
「甘かった」
と言ってもいいだろうが、甘かったというよりも、やはり、
「想定外だった」
という方が大きい。
それは、部長の佐土原だけでなく、他の三人も同じことを考えていたといってもいいだろう。
そして、実際に入ってきた部員というのは、自分たちが考えていたほどの、
「熱心な部員」
というわけではなかった。
実際には、発足後の数か月の間で、半分以上の部員が辞めてしまった。確かに、退部に対してのペナルティなどというのはあるはずもない。
そもそも、
「学校公認のサークル」
というわけではない。
どちらかというと、
「学校が認めた」
というよりも、
「お金を出せば学校の施設を安く使わせてもらえる」
ということで、サークルというのは、
「その他大勢」
というだけのことでしかないのであった。
熱心な部員というのは、ほとんどいないと言ってもいいだろう。もちろん、
「コンセプトに興味を持って入りました」
という人も結構いるのだが、そんな人でも中には、数か月で辞めていく人もいた。
「どういうことなんだろう?」
と思えたのだが、それに関しては、
「首脳陣の4人が固まっているように見えるので、それが嫌だ」
という人もいるようだ。
実際に、そのウワサを部長である佐土原は聞いたことがあった。ひょっとすると、他の幹部も知っていることなのかも知れない。
しかし、佐土原は、それに言及しようとは思わなかった。
下手に騒いで、
「自分たちが取り乱してしまっては、ぜっかくまとまっている連中まで慌ててしまう」
ということで、
「ハッキリとした理由が限定されなければ、騒ぐことはしたくない」
と考えたのだ。
他のスタッフが同じことを考えているのかどうかまでは分からないが、何も騒いだりはしないということから、
「もし分かっていたとしても、必要以上のことを考えることはないだろう」
ということであった。
実際に辞めていく人の中に、今まで自分たちがいた、ミステリーサークルに流れるという人はほとんどいない。
ということは、
「このサークルに入ってきた人は、ミステリーというものに興味を持っている人は少ないのではないか?」
といえるのではないだろうか?
もちろん確かに、ミステリーに興味のある人もいただるが、それ以上に、もっとわくわくした感覚をこのサークルに求めたのかも知れないと思うと、
「いまさら、普通のミステリーサークルでは面白くない」
と思ったのかも知れないし、逆に自分たちが、ミステリーサークルに見切りをつけた時のように。
「普通のサークルであれば、誰も真面目な活動をしない」
ということからこっちに来たのであれば、
「このサークルの趣旨自体に理解がないわけではないが、運営側に問題がある」
と考えたとしても、それは無理もないことであろう。
そう考えると、
最初こそ、
「俺たちのコンセプトに違和感を感じた」
ということだとしても、
「自分たちが奇抜すぎる」
ということではないということであろう。
逆に、
「生ぬるい」
と思ったのだとすれば、
「そういう連中と、これからうまくやっていける自信がない」
ということもあり、
「去る者は追わず」
という方が、
「大人の対応」
ということでいいのではないだろうか?
実際に、たくさん辞めていった連中の中には
「俺たちでサークルを立ち上げる」
とい連中もいて。彼らも似たようなコンセプトではあったが、気を遣っているのか、それとも、
「同じ趣旨では、自分たちが嫌だ」
という、元々の性格なのか、
ということで、お互いに衝突することもなく、
「だったら、意識しあいでやる方が。お互いのためにはいい」
ということになるのであった。
ということで、残った部員は、結局スタッフの4人を含めて10人ということになった。
「ちょうどいいくらいではないか?」
と佐土原がいうと、まだ渋い顔をするスタッフもいるのだが、それが、
「まだ多い」
ということであるということが分かると、佐土原は
「フッ」
という笑顔を浮かべて。
「心配ないよ」
というのだった。
その理由というのは、
「彼らのうちの一人か二人は、幽霊部員になるかも知れないぞ」
ということであった。
前に所属した
「ミステリーサークルでもそうだった」
のだが、あの部でも、一時、部員の断捨離のようなことが行われたことがあったが、その時というのも、
「人が減った中においても、さらに幽霊部員はいた」
ということである。
いや、それ以上に、
「幽霊部員が誰なのかということが、ハッキリと分かってきたのだ」
ということであった。
だからこそ、佐土原がミステリーサークルに見切りをつけたのが、その時だったと言え宇のだ。
確かに、人がたくさんいた時も幽霊部員はたくさんいた。
しかし、人が減ってからでも、その幽霊部員が減っていないということを、あとで分かってくるようになると、それだけ、
「元々いた幽霊部員は、断捨離をしても、減るものではない」
ということが分かり。それを確信したからこそ、ミステリーサークルに、
「こっちから見切りをつけてやった」
と言ってもいいだろう。
それを考えると、
「新しいサークルを作ってよかった」
という思いから、
「これでは変わらないではないか」
という思いとが、発足当時から交錯していたのだが、その角度としては、
「変わらないと感じる方に徐々に動いているのではないか?」
と感じるのであった。
そんな、
「黒薔薇研究会」
というサークルの名前に違和感を感じる人もいた。
いや、それが一番の理由ではないか?
と感じることも多かったことだろう。
というのは、
「ここのサークルにいれば、女の子が入ってこない」
という理由で、辞めていく人も結構いた。
確かに、
「部活の趣旨を話していなかった」
というのも理由であったが、そもそも、
「こんな部の名前で、女性が入ってくるわけもない」
ということに女性部員に期待している人が気づかないというのはどういうことであろうか?
それよりも、
「女性を求めるというよりも、カルトな趣味の女性を求めている」
ということであれば分かるというものだ。
つまり、
「自分たちは、同じ趣味趣向の女性でないと、相性が最悪になるので、うまくいくはずがない」
と思っているのではないだろうか。
というよりも、