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なんちゃって犯罪

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 白骨死体が、城址公園で発見されたということが新聞に載ってから、
しばらくの間、ウワサが絶えなかった。その理由はいくつかあるのだが、最初の頃の理由として、
「被害者が誰なのか、見当もつかなかった」
 ということからであった。
 確かに、その死体は、白骨化されていて、白骨化された死体というものが、
「どうして、今になって整備された後の公園から発見されたのか?」
 ということであった。
 どうも、
「犬が掘り起こした」
 ということであるが、その城址は、他の城址に比べて、
「一番新しく復興されたもので、開発には、結構時間もかかった」
 ということであったので、
「死体を埋められたのは、発掘以前だということはありえない」
 ということになる。
 何といっても、新しく整備された公園なので、新しく整備をする時は、当然土質というものも、しっかり調査し、ある程度のところを掘り返したはずである。
 昔は、この辺りは、森や林だったわけで、そこを、城址公園として整備するのだから、当然のごとく、しっかりと調査もしているはずである。
 それを考えると、
「もし、死体が埋まっているとすれば、それを見逃すわけはない」
 ということになる。
「そもそも城址公園の復興なのだから、整備をする前に、学術調査が行われているはずなので、死体があれば分かるはずである。
 ということだった。
 いまさら、
「犬がその死体を掘り起こす」
 などということがあるはずもないのだ。
 そんなことがあるということであれば、
「死体が埋められたのは、整備された後ではないか?」
 ということであった。
 それであれば、
「犬が掘り返した」
 ということも分かるというもので、しかし、逆に、その死体が埋められたのがいつなのか?ということになるのだが、
「腐乱というのもかなりのもので、10年以上が経っているというのは間違いないことであるが、それが、公園整備の前か後かということは、限定できない」
 ということであった。
 それでも、状況から考えると、
「埋められたのは、整備後だ」
 と考える方が辻褄が合っている。
 そう思うと、
「どうして、ここだったのだろう?」
 ということが疑問になる。
 なぜなら、
「他に古い城址公園というのが、あと二つあり、そっちの方が、見つかりにくいのではないか?」
 と考えられたからである。
 ただ、犯人としては、
「ここまで長く埋まっていれば、被害者が誰なのかということが分からないほどに、昔のことだ」
 と考えれば、
「まさに、犯人の思惑通りだ」
 ということになるのではないだろうか?
 ただ、それでも、今頃になって、しかも、
「犬が掘り返した」
 というのは、何か腑に落ちないところがある。
 犯人としては、死体を埋めて。そして、白骨になるのを待っていたのだろうが、一番いいのは、
「発見されないに越したことはない」
 ということいなるであろう。
 ただ、この被害者は、白骨化してから、少なくとも10年は経っているということであろう。
 ということは、法律的には、
「死亡している」
 ということになる。
 というのは、
「失踪届を警察に提出し、7年が経過すれば、死亡したということになり、そこから遺産想像族の問題が動き出す」
 ということである。
 そもそも、失踪していた人間が行方不明になり、7年経って、死亡が確定したことで、遺産相続されるということになれば、
「民法上は、死亡しているということになるが、もしこれが殺人事件などの刑事事件が絡んでいるとすれば、刑事上の話は継続している」
 といってもいい。
 殺人事件といえば、昔であれば、
「時効は15年」
 ということであった。
 しかし、今の時代は、
「凶悪犯になると、時効は撤廃された」
 ということで、犯人が死ぬまで、時効は止まらない。
 ということになる。
 しかも、昔の時効があった時など、
「海外に逃亡していた」
 ということであれば、
「その間は、時効が停止する」
 ということであった。
 止まった時効というのは、つまり、
「逃亡中に2年間、東南アジアに潜伏していたとして、時効が15年ということで、日本のどこかで捕まった場合は、実際には、あと2年時効までには、存在する」
 ということである。
 そのことを、意外と分かっていない人もいたようで、刑事ドラマに使われたりするのだろうが、
「さすがに本当の犯人は。それくらいのことは計算していないと、犯罪などできるはずもない」
 ということであり、
「最初から捕まるつもりでもない限り、時効などの、犯罪が失効する時のことは、しっかりと考えているといってもいいだろう」
 だから、昔であれば、
「死体が見つからない」
 ということは、
「時効までの間、自分が隠れていればいい」
 ということになるのだが、その間の、
「節目」
 ということで考えられるのが、
「ちょうど、民事と刑事の間に存在している、
「7年という年輪というものである」
 ということになるのではないだろうか?
 そういう意味では、
「半分までの折り返し地点で、刑事事件として集中するようになると、犯人が、少し油断のようなものをするかも知れないといえるのだが、警察は、民事不介入なので、事件をお宮入りさせたくない」
 という人がいたとすれば、その人を、
「無視することはできない」
 ということになるであろう。
 時効と死亡認定と、難しい心理の問題なのであった。
 今度は別の犯行が発覚した。その犯行は、同じように、城址公園から発見されたものであり、白骨化されたものだった。
 同じ刺殺であり、同じように、犬が掘り返したということが、共通点だった。
 ということで、
「実に不思議な犯行ではないか?」
 ということで、犯行に対して、賛否両論があるのだった。
「犯行は、同一犯によるものだろうか?」
 ということ。
 発見され方から考えれば、
「同一犯の可能性が高い」
 と思われるが、それがかなり昔のことであり、犯行が同じ時期なのか、まったく違う時期なのかということを考えると、
「同じと考えると、おかしなところが多すぎる」
 という考え方と、
「あまりにも似通っているのが、却っておかしな感じがする」
 ということを考えると、一周回って、
「何か仕組まれた計画を思わせる」
 という考えにも向かうのであった。
 捜査本部としては、
「発見され方が同じだった」
 ということに注目して、
「犯人とすれば、発見されないと困る」
 という考え方だったのだろうか?
 そんな中で考えられることとして、
「発見されないといけないのだろうが、それが、ある程度時間が経ってからでないといけない」
 ということである。
 もっといえば、
「今回の白骨死体というのは、死亡推定時刻の推定から考えると、10年以上が経過しているということになるのだろうから、少なくとも、民事上とかでは、すでに、死亡しているということになっているはずだ」
 ということであった。
 ただ、白骨化した状態で発見されて、しかも、その本人が死亡しているということになっているのであれば、そこに、どんな問題があるというのだろうか?
作品名:なんちゃって犯罪 作家名:森本晃次