小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

なんちゃって犯罪

INDEX|12ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

「先輩や上司の行動をしっかりと見ていないと、いずれは、自分を見失ってしまうことになりかねない」
 と考えるのだ。
 そんな交番勤務の若い警官が、その日は、佐久間城というところを警備するようになっていた。
 ここは、前述のように、他の城址公園に比べると、少し小さめだった。
 しかし、その分、掃除が行き届いているからなのか、こぎれいになっている。それだけに、アベックの数も多いようで、それは、こじんまりとした公園なので、そう感じるからなのかも知れない。
 ただ、きれいだというのは、この城址公園は、比較的新しく、実際に、この辺りの城址公園を整備した時、一番最後に整備された公園だから、それも当たり前といってもいいだろう。
 そういう意味では、最初に整備されたところは、
「そろそろ、再整備が必要」
 ということで、最初に整備された時が、昭和の終わり頃ということで、実際に、老朽化も考えられる頃であった。
 ただ、元々他の公園があったわけではないので、公園として、一つだけだったこともあって、アベックにしろ、何かのイベントにしろ、ここしか集まるところがなかったということで、その当時の連中が、結構荒らしてしまっていたことが原因ではないだろうか?
 今のように、
「タバコであったり、酒類など、基本的には公園で吸ったり飲んだりしてはいけない」
 ということになってからは、おとなしくはなっているが、昔は、ほとんど、誰も何も言われることもなかったことで、散らかり放題だった時もあったのだ。
 今でも、若干は、
「荒れ放題」
 という状態になっているが、
「まわりの目」
 というものがあることで、必要以上に、何もできるわけではないのであった。
 だから、昔からある公園は荒れ放題。今のように、高齢者が、公園を掃除するというようなこともない。
 今の時代は、
「政府のせい」
 ということで、
「高齢者が働かないと生きていけない」
 という時代ではなかったので、それこそ、、一部のボランティアが掃除するか、あるいは、バイトでんも雇って、たまに定期的に掃除をするかという程度であった。
 今の時代は、
「少子高齢化」
 ということが叫ばれ、会社が定年退職になっても、年金受給まで、五年あるというのが当たり前になっている。
 本来であれば、会社が、本人が望めば、
「65歳までの継続雇用」
 というものをしなければいけないはずなのだが、それをしたくないために、その社員に、
「定年退職になれば、辞めます」
 と言わせようとするのだ。
 何しろ、経費節減なのかどうか分からないが、
「継続雇用」
 ということになると、
「給料の三割カット」
 というのが当たり前のようになり、当然、立場は、
「嘱託社員」
 あるいは、
「契約社員」
 という扱いになるだろう。
 しかし、実際にそうなって給料が下がったとしても、やることは、
「今までと一緒」
 ということになるのだ。
「定年になれば、継続勤務を、契約社員として給料は下がるのはしょうがないとして、あとは、ゆっくり余生を過ごす」
 ということを考えていた人には、あまりにもきつい状態である。
 そもそも、昭和の頃までは、
「55歳で定年になれば、そこから年金が普通に出て、悠々自適の第二の人生」
 というものができるというのが当たり前だった。
「定年になったら、嫁さんと、世界一周旅行にでも行こうか?」
 などという、今では、完全に夢物語という時代なのだが、実際には、
「本当にありえることだった」
 といってもいいだろう。
 しかし、今では、それまでもらっていた給料の半分以下が年金の金額ということになり、その中から、健康保険や市県民税まで払うということになるというのは、理不尽極まりないといってもいいだろう。
 やはり、十数年前に、政府が、
「消えた年金問題」
 というものを引き起こしたのに、本来であれば、
「警察に捕まってもよかったり」
 さらには、
「裁判に掛けられてもしかるべき」
 ということなのに、そんなことはなく、時間が経てば、国民も忘れているということになっているのだった。
 しかし、今の時代において、
「誰が、政府の悪行を正す」
 というのか、
 野党もすっかり、
「腰抜け」
 になってしまい、まったく機能していないことから、
「政府のやりたい放題」
 野党は、
「生き残りのために、政策が違うとしても、なりふり構わず、選挙に勝ちたい一心で、プライドを簡単に捨てるのだから、誰が期待するというのか」
 というレベルに置かれているのである。
 ちょうど、この一番新しい城址公園が築かれたのは、そんな
「消えた年金問題」
 と言われていたころで、
「まだまだ新しい」
 といってもいい公園だったのだ。
 だから、狭くても、きれいだということで、アベックが集まってくる。
 だが、それでも、
「賑やか」
 ということはない。
「そもそもきれいなところを汚したくない」
 という思いがあるからなのか、小さな公園でも、汚れが目立つこともなく、声が響くこともない。
 それだけに、余計に不気味だといってもいいだろう。

                 死体発見

 この日は、どこか普段と違って、
「いつもよりも、アベックが少ないな」
 と、若い警官は感じていたのだった。
 いつもであれば、ほとんどのベンチは座っていて、たまに開いているところがあるのではないかという程度のものであった。
 実際に、アベックの声もほとんど聞こえず、
「覗きの常習犯」
 としては、
「今日はやりにくいな」
 と感じていたことだろう。
 昔であれば、公園のベンチでは、大胆になれるというカップルが多かったのだろうが、今では、そんなこともない。
「声が聞こえないだけに、不気味さはぬぐえず、覗きの中には、
「なんだ、つまらないな」
 と思っている人もいる。
 別にお金が手に入るわけではないので、それほど真剣になっているわけではないが、
「ちょっとした楽しみ」
 ということで、一種の、
「風物詩」
 のようになっているといってもいいだろう。
 そんなアベックの中の一人が、
「キャッ」
 という言葉を挙げた。
 声の感じから、声を出したのは、女性のようだ。
 男の方はというと、完全に身体が固まっているようで、声を出すことができなかったのだろうか?
 女性の方は、本当は、
「声を立てることなどできるはずはないのに」
 と後から思えば、そう思ったのだろうが、しかし、あの時、男の方が声を立てていれば、
「私は声を出すことはなかったはずだ」
 と思ったものだ。
 声を出したのが、女性だったことで、まわりにいた、
「覗きの常習犯」
 という連中は、まるで、
「クモの子を散らす」
 かのように、散り散りに去っていったのである。
 覗きなとというと、
「常習犯」
 といっても、しょせんそれくらいのもので、その時に何が起こったのか、覗きの連中で、把握をできた人など、いるはずもないのであった。
 その時の女は、必至になって、
「声を立てないようにしよう」
作品名:なんちゃって犯罪 作家名:森本晃次