国家によるカプグラ症候群
というだけではなく、今度は議会が、
「防衛費に金を掛けるのはもったいない」
と言い出して、
「実際に、戦争になった時、今度は武器が足りない」
ということになると、それこそ、
「本末転倒だ」
ということになってしまうだろう。
それを思うと、
「超大国」
と言われるところの軍需産業は、
「何としてでも、国家を、戦争に引きずり出す必要がある」
ということになってしまうのだ。
だから、人間の代わりに戦闘を行うために、
「サイボーグ」
であったり、それだけではなく、
「相手国を戦争に引きずり出すための、諜報活動であったり、テロ行為を目的とした兵士として、人間ではないサイボーグを使うという発想が、現実味を帯びているのであった。
そんな時代に、
「兵士として、戦争に引っ張り出すのを、サイボーグ開発によって作ったものであれば、こちらの人的被害も少ないし、サイボーグであれば、相手が生身の人間であれば、確実に殺傷することができる」
ということで、
「戦争において、優位に立つことができる」
というものであった。
だが、戦争というか、
「世の中というのは、そんなにうまくいくものであろうか?」
というのも、考えてみれば、
「今までの戦争を勉強していれば、簡単に分かることである」
のであるが、
「相手を屈服させるための兵器をこちらが作れば、相手も、負けずと作りだろうとするのは、心理として当たり前のことである」
といえるだろう。
もちろん、戦術で、
「今ある兵器をいかに、有効利用できるか?」
というのが、戦術家としての技量ということなのだろうが、何よりも、最強の兵器を作るということが、当然のごとく、相手に勝るということであるに違いない。
それが、
「兵器の開発競争」
というものになる。
そのいい例が、
「第二次大戦後における。アメリカ、ソ連の二大超大国による、核開発競争ではないか?」
ということである。
まずは、原爆を最初に開発したアメリカに、ソ連は追い付く必要があった。
何といっても、相手にしか核はないわけで、この時点で、明らかな差があるといってもいい。
おそらく一度ソ連が核兵器を開発してしまうと、この時以上の格差は絶対に現れることはないあらである。
だから、ソ連が開発に成功すると、アメリカの絶対的優位はなくなってしまった。
だから、アメリカは、さらなる、
「理論上の無限の破壊力」
と言われる、水爆開発に乗り出した。
これが成功することによって、アメリカは優位に立ち、さらに、ソ連が水爆に成功すると、お互いに、いたちごっこだということに気づいたのであろうか?
ソ連はそこで、今度は、核兵器だけではなく。
「大陸間弾道弾である、ICBM開発の乗り出し、宇宙開発に力を注いだ」
と言われる、
「スプートニクショック」
と呼ばれる、
「ミサイルギャップによって、アメリカは、宇宙開発で後れを取った」
そんな時巻き起こったのが、
「キューバ危機」
だったのだ。
アメリカは、キューバのミサイルに狙われるという恐怖で、世界が緊張したが、その時初めて、全世界の人は、
「核兵器というのを、今までは、戦争を起こさない抑止力ととらえていたが、いつ突発的な事故によって、核戦争が起きないかという可能性が少しでもある以上、これ以上恐ろしい状況にいたのか?」
と感じる世の中だったということに、やっと気づいたということであった。
それにより、核戦争の恐怖よりも、アメリカは、ソ連の、
「世界社会主義化」
とでもいえるような計画に、敏感に反応するようになったのだ。
それが、ベトナム戦争であり、軍需産業の連中からすれば、
「願ったり叶ったり」
ということで、完全な、
「死の商人」
というものが存在したということになるのであった。
そんな時代において、
「いたちごっこ」
というものになってしまうと、結局、
「抑止力」
というものが、まるで、
「絵に描いた餅だ」
といってもいいということになるのだということを誰が分かるというものだろうか?
これは、今の時代にも言えることで、逆に、
「今の時代だからこそ、いえることではないか?
例えば、コンピュータウイルスなどの問題がそうである、
ハッカーは、ウイルスで、相手の情報を盗むということを行うが、警察や取り締まり側とすれば、そんな被害に遭うことがないように、被害を最小限にとどめようとして、
「ウイルス駆除ソフト」
というのを作る。
すると相手はさらに、強力なものを作るわけで、それを。
「血を吐きながら続けるマラソン」
という表現をした、特撮番組がかつてあった。
その頃には、コンピュータウイルスどころか、コンピュータ自体が、
「架空の存在」
ということでもあったので、何を揶揄しているのかというと、それは、
「核開発競争」
ということに他ならなかったのだ。
それが、社会というもので。その番組では、
「地球防衛という目的で、強力なミサイルを開発し、その実験ができるところまで来ていた時代」
という設定だった。
実際に、候補地も決まり、無人の星であるといわれている星をターゲットにして、ロケットを打ち上げた。
「宇宙からきた正義のヒーロー」
としては、それが、
「目的を達するためには、それではいけない」
ということを分かっているにも関わらず、自分が、人間の味方ということで妨害もできないというジレンマに悩んでいた。
その時の防衛軍隊員の会話として、
「これで地球は安全だ。地球を侵略しようとしているやつを待ち構えて、ボタンの上に手を置いて待っていればいい」」
というのだ。
すると、もう一人の隊員が、
「地球に超芸気があることを知らせると、せめてこなくなる」
という。
確かにその通りなのだが、正義のヒーローは、、地球を守るためなら、何をしてもいいというのか?」
ということに頭を悩ませていた。
結果、破壊された星には生物がいて、地球に復讐にくるのだが、結局、正義のヒーローに倒されるという話であった。
その宇宙怪獣は、本当はその平和な星に住む一生物に過ぎないのだが、それを人間が破壊してしまった。地球人は、地球が危機にになると、自分たちだけのことしか考えない人種だということも分かっている。
それでいても、正義のヒーローは、
「地球人を助けなければいけない」
だからこそ、ジレンマに陥るわけだが、本当であれば、
「地球なんか放っておけばいいわけで、何も地球や地球人に義理立てる必要はない。今まで放っておけばいいものを助けてやって、次第に地球人は、自分たちができなくても、ヒーローが怪獣や宇宙人をやっつけてくれる」
と思い込んでいるのだ。
正義のヒーローといっても、しょせんは、宇宙人の端くれ、
「他の宇宙人からすれば、何を裏切ってるんだ?」
ということになる。
しかし、そもそも、地球人が、
「宇宙人と地球人」
ということで皆同じ宇宙人なのに、地球人だけ特別に扱うというのは、
「どこまで人間って、ずうずうしいんだ」
ということになるであろう。
大団円
作品名:国家によるカプグラ症候群 作家名:森本晃次