小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

三角形の関係

INDEX|9ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

 彼らは。戦略的な参謀でありながら、占い師などという側面も持っていたりする。それらが、昔の軍師というものであり、たまに、領主が、彼らのいうことを聞かず、勝手に行動したことで、滅亡を速めてしまったところもあった。
「角隈石宗の遣える、大分の戦国大名であった、大友宗麟」
 などが、そのいい例であっただろう。
「日が悪い」
 と言われたにも関わらず、出陣して大敗を喫した、島津との決戦での、いわゆる、
「耳川の戦い」
 と呼ばれるものが、その例として言われることであろう。
 だから、軍師としての役割は大きなもので、それ以外にも、軍師ではないが、戦国大名を支えるものとして、
「外交を担っている」
 という人も結構いる、
「後北条氏における、板部岡江雪斎」
 であったり、
「毛利家から、豊臣家に仕えた、安国寺恵瓊」
 などがそうであろう。
 特に彼らのような、僧侶を、
「外交僧」
 とも言われていたようである。
 そして、
「家老」
 として、いつも、主君のそばにいるという立場での参謀としては。
「上杉景勝においての、直江兼続」
 あるいは、
「伊達政宗に置いての、片倉小十郎景綱」
 などが、そのいい例であるに違いない。
 
 これらの三つの、
「参謀」
 というのは、
「軍事、外交。政治」
 という意味で、それぞれに必要なものだったのだろう。
 それだけ、有名な参謀というものの存在があってこその、戦国時代における、
「群雄割拠」
 を生き抜いていけるのであろう。
 もちろん、信長のように、軍師的な存在の目立った人がいなかったというのもあるが、きっと、
「信長本人のカリスマ性が強かった」
 ということが大きかったのだろう。
 信長にとって、敵味方を見分ける力、さらには、先を見る、先見の目であったり、優秀な人間を見分ける力のすごさというのも、その力の一つだったのだろう。
 つまり、
「配下の人たちは、信長の命令でなkとも、自分たちだけで判断して、十分に力を発揮できる人ばかりを集めて、方面軍という形のものを形成したのだ」
 そこに信長軍の強さがあり、そんな独自の力を持っている部下たちを、さらに力で抑えることで均衡を保ったといえるのも、信長軍の特徴だといってもいいだろう。
 そんな、群雄割拠の時代に、
「一向宗」
「足利幕府」
「延暦寺」
 などという、悩みの種というものに、
「包囲網」
 を作られながらも、次々に撃破していき、天下人に昇り詰めてきた力は、その本質を見抜いている人がいただろうか?
 どうしても、
「改革派というものは潰される」
 ということになってしまい。それでも、それらを抑え、あるいは、叩き潰しながら、着実に天下人に昇り詰めていた。
「鳴かぬなら、殺してしまえ ほととぎす」
 などという狂歌であったり、
「延暦寺の焼き討ち」
 あるいは、
「浅井朝倉の頭蓋骨を、緊迫の盃にしてしまった」
 という逸話などから、
「血も涙もない冷酷な男だ」
 と言われるようになったのだろう。
 それが、信長という男の後世への評価であり、今まで誰もが思ってきた、
「信長像だ」
 ということになるのであろう。
 軍師と呼ばれるものを参謀とする他の戦国大名と、
「まわりの配下の連中の力をいかしながら、改革を進めていく形の、一種の異端児だといわれる信長と、それぞれ違ってはいるが、群雄割拠の戦国時代を渡り歩いてきた彼らにとって、天下を握るには、いろいろと難しいこともあったであろう」
 信長の後に天下を取った秀吉にしても、明智を破った、
「山崎の合戦」
 から向こうは、結構、順風満帆で天下人に上り詰めていったが、途中で、何かの歯車が狂ったのか、最後は悲惨だったといってもいい。
「弟の秀長の死、長男の死、母親の死」
 と大切な人を次々に亡くしていったことや、自分にとっての権力への執着から、疑心暗鬼になったということもあってか、
「世の中が、まったく違って見えたのかも知れない」
 その後の家康は、
「信長、秀吉」
 それぞれを見てきたので、
「何がよくて、何が悪いのか?」
 という、
「取捨選択」
 というものをうまくできているといってもいいだろう。
 それまでに蓄えてきた、ノウハウや配下の人間に対しての考え方など、
「しっかりと、考え方ができている」
 といっても過言ではないだろう。
 それが、戦国時代からの、
「群雄割拠からの、天下統一における政治への移行」
 といってもいいだろう。

                 目撃

 この街における、新しく出てきた政治家だったが、彼は、
「政治家としては優秀なのだが、一つのことを言ったことで、まわりに敵を作ってしまった」
 ということが、一部の人でささやかれるようになっていた。
 この街では、ある程度の権力を持っていて、
「ほぼ敵はいない」
 ということで、結構、まわりから、何かを言われるということもなかった。
「波風の立たない政治家」
 ということで、いい意味でも悪い意味でも、あまり目立たない存在ではあったのだ。
 しかし、彼が言った一言が物議をかもし、一定の期間、世間から注目を浴びたのだった。
 彼が何を言ったのかというと、
「私は、若い頃に、バブルの崩壊というものを見てきたが、ああなることは、十分に予見できたと思う」
 と言い出したのだ。
 しかも、
「自分には予見ができていた」
 というのだが、それに対して、世間はかみついた。
「分かっているなら、どうして言わなかったんだ?」
 ということであったが、
「そんなことが言える状況ではなかった」
 という言い訳をするのだが、その言い訳が、今度は、思わぬ方向から、注目されることになった。
 というのは、その注目する組織というのは、基本的には、
「浮上している連中」
 ということではない。
 だから、彼らが、この政治家を注目しているということは、誰にも知られていない。
 もっとも、彼らの存在は、他の人に知られているようなことではなく、だからこそ、
「この政治家が、自らを公開することになった」
 ということになるのであろう。
 一種の秘密結社なのだが、その秘密結社の正体は、誰も知らない」
 実は、警察の公安が秘密裏に、
「内偵」
 というものをしているという話は、この政治家にも分かっていた。
 だから、この秘密結社のことは一切口にしないが、知っているのは知っているのだ。
「裏に金を回して、調べさせている」
 ということをしていた。
 やっているのは、
「参謀と言われる男で、彼は実に優秀である」
 といってもいいだろう。
 しかし、その参謀というのは、今までにずっと、その人が担ってきたというわけではない。
 今までに数人いたのだが、さすがに、あまりにもその重責の重さに耐えられなかったり、あるいは、政治家との考え方の違いからか、
「これ以上はついていけない」
 ということで、離脱する人もいた。
 そんな人を一応、離反を許すのだが、一定期間は、その様子を探るということは辞めなかった。
 下手に辞めさせたといっても、他の人にしゃべられるとまずいことになるのは分かっているからだ。
作品名:三角形の関係 作家名:森本晃次