輪廻対称
「算数の文章題」
というものは、基本的には、
「答えが合っている」
ということが前提であり、
「答えを求める間が重要であり、辻褄が合っていなければ、答えが合っていたとしても、まぐれである」
と言われてもいいだろう。
しかし、逆にいえば、
「答えが合っていれば、途中でどんな解き方をしても、それは正解だ」
ということになる。
もっといえば、
「答えを導く間のプロセスも、回答の一つだ」
ということになれば、
「回答というは、決して一つではない」
ということであり、それが、
「数学ではない、算数というものの、醍醐味だ」
といってもいいだろう。
それを考えると、小学生の頃だったか、理科で習った。
「見かけの光合成」
というものを思い出した。
見えている部分と見えない部分が交錯し、表で見えているものを、見かけということで、「プラスマイナス0」
という発想になってくるのだった。
見かけの光合成は、人間と植物の呼吸。つまりは、
「呼吸における違うもの」
という意識であった。
そんな密室トリックで、いくつか気になる小説もあったのだが、たとえば、
「水が流しっぱなしにしている浴室で、身体だけを持ち去った、バラバラ殺人が起こった。身体がないということは、手と足と首だけがそこに置かれていた」
というような話であった、
そして、その浴室が、密室になっていて、要するに、
「死体損壊トリック」
というものと、
「密室トリック」
の合わせ技という感じである。
ただ、一般的な、
「死体損壊トリック」
というものは、本来なら、
「身元を隠す」
という意味で、
「首や、特徴のある部分、さらに指紋を隠す」
という形のものなので、指紋も首もあるので、普通の、
「死体損壊トリック」
というものではないといえるだろう。
だから、犯人にとって、顔や指紋が存在するということは、別に問題なく、問題なのは、「それによって、時間稼ぎができたことでの、
「アリバイトリック」
というものが存在したということである。
これは実は、水が流しっぱなしになっているということも理由の一つであった。水を流しっぱなしにしているということは、実は2つの意味があり、一つは、前述のアリバイトリックのためだったということである、
つまり、そこから言えることとして、
「殺人現場はここではない」
ということを、知られては困るというのが、犯人の目的だった。
だから、わざわざ重たい胴体だけを持ち去ったわけではなく、実際には、他で殺害しておいて切断した、手足と首を持ち込んだだけなのだ。
なぜ水を流したのかというと、
「ここが殺害現場であれば、あまりにも血の量が少ないことでバレてしまうからだった。
つぃまり、切断の理由と、密室にした理由は、すべては、アリバイトリックを完成させるためのものだったのだ。
そして、水を流したもう一つの理由として、
「水を流すことで、密室を作るための、機械トリックを完成させるということが目的だった」
ということである。
そんな、
「密室トリック」
というのは、そういう意味では、いろいろなトリックとの、
「合わせ技」
であったりすることで、完成させられる一種の、
「完全犯罪」
というものを作り上げるということもできるのかも知れないということで、実際に、
「完全犯罪」
というものを目指したのかも知れない。
そもそも、犯罪における、
「トリック」
というものであったり、
「犯罪のシチュエーション」
であったり、
「犯罪の種類」
というものでは、あり得るものとして、
「探偵小説黎明期」
と呼ばれる時には存在したが。その種類は、
「すでに、ほとんどが、出尽くしている」
といっている人がいたようだ。
「だから、あとは、シチュエーションなどによるバリエーションだ」
といっているようで、前述の、密室トリックと、アリバイトリックの合わせ技などということがありえるのだった。
「なぜ、黎明期にトリックなるものが、出尽くしたのか?」
ということになると、いえることとして、一つは、
「時代が進むにつれて、化学が発展し、主要であるトリックが使えなくなる」
というのが一番大きいであろう。
というのは、
「半分以上のトリックが、使えなくなるからだ」
ということになるのだが、それを順を追って考えていくことにしよう。
まずは、一つ目として、前述の、
「死体損壊トリック」
と言われるものである。
これは、当時としては、
「顔のないトリック」
ということで、いわゆる、
「首なし死体」
であったり、
「顔をめちゃめちゃに崩されている殺人」
というものだったりする。
顔が判別不可能にしたり、手首を切り取るのは、そういう意味で、
「身バレしないようにするため」
ということであろう。
さらに、このトリックとして、
「死体を、どこかに隠すことで、死体発見を遅らせるという目的の下であれば、これも、死体損壊トリックというのと同じ効果があるだろう」
ということであるが、
これは、死体発見を遅らせると同時に、ある意味、
「アリバイトリック」
には、不向きな場合がある。
なぜなら、
「死体の損壊が激しいということは、自然に腐敗していくものなので、それだけ時間が経っているということであるから、当時の科学力では、死亡推定時刻というものが曖昧になる」
ということで、その分、
「せっかくアリバイを作っても、それだけ、死亡推定時刻が曖昧になってしまうと、アリバイがアリバイではなくなってしまう」
ということになるだろう。
そういう意味で、
「アリバイトリックを、死体損壊トリックと絡める場合には、注意というものが、必要になる」
ということが言えるのではないだろうか。
だから、トリックが重なるというのは、ある意味、いいことでもあるが、一歩間違えれば、相手を上書きしてしまうことで、うまくいかないということを示しているのではないだろうか?
そういう意味で、
「犯罪とリックの、重複というのは、まるで、もろ刃の剣だといえるのではないだろうか?」
ともいえるだろう。
さらに、この死体損壊トリックというのは、
「最初に、これが死体損壊だということを、分からせる必要がある」
ということであり、その変わり、この手の犯罪の法則ともいえる、
「加害者と被害者が入れ替わっているのではないか?」
ということや、
「他の犯罪との抱き合わせ」
ということを示さないようにしないといけない。
ということで、この事件が、最後まで、
「裏に隠れたトリックというものを分からせないようにしないといけない」
ということも、このトリックにおける、
「鉄則」
ということになるであろう。
「密室トリック」
であったり、
「死体損壊トリック」
などというのは、
「最初から現象が見えているもの」
ということであるが、逆に、
「トリックがどういうものなのか分かってしまうと、その時点で、あらかた、事件の山が見えてくる」
というのが、
「一人二役トリック」
であったり、
「アリバイトリック」
などがそうであろう。