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輪廻する因果応報

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 と言われても仕方がないというレベルであろう。
 その女の子と一緒にいて、
「何をしゃべっていいのか分からない」
 ということであったが、実際には、話したつもりでいても、結果としては、
「何も話していない」
 ということであり、ただ、自分には、
「彼女は何かを言いたいのだが、どういえばいいのかが分かっていない」
 ということは分かっていたのだ。
「分かっていながらどうしていいのか分からない」
 といのだから、始末に悪い。
 お互いに気を遣う。
「彼女とすれば、聞いてほしい手前、強くはいえない」
「男としては、分かってやれない自分が情けない」
 ということを考えていると、結果、
「何をどうしていいのか分からない」
 ということで、彼女を苦しめるだけになってしまうのだった。
 その時感じたのは、
「自分が何も話してあげられないことで、お互いに気を遣うという、気まずい時間を作ってしまった」
 ということであった。
 本当であれば、もっと楽しい話をすることで、話が弾むのであろうが、あの時の彼女は違っていた、
 あとから思えば、
「何かを話してくれるだけでいい」
 という目をしていたということは、
「何でもいいから」
 ということであり、それだけ、自分の中で鬱積したものがあったということであろう。
 だから、自分に対して、何かのアドバイスというのがあればいいのだが、そこまでは求めないから、せめて、
「気分転換できること」
 ということで。何を求めるのか?
 ということになるのだ。
 それが分からないのだ。相手も、
「なるべき気づかれないように、気を遣わせないようにと思っていることで、自分が気を遣っている」
 ということになる。
 お互いに気を遣うということで、
「これが人間関係の難しさか」
 ということを考えるのであった。
 しかし、
「せめて気を紛らわせてくれるのであればsおれでいい」
 と、彼女の中で、ハードルを下げた。
 しかし、それは、
「この人にとっては、最低レベルのところまで下げたんだ」
 ということで、相手は、
「ハードルを下げたつもりでいるが、結果として、どうしようもないところまで来てしまったのだ」
 といってもいいだろう。
 最低限のところまで下げられると、要するに、
「言い訳はきかない」
 ということになるのだ。
 例えば、プロ作家の人がいて、編集部の人から、
「題材は何でもいいから、面白い作品を作ってくれ」
 と言われるとどうであろう。
 何であっても構わないということは、自分の得意な部分で勝負すればいいのだろうが、それだけに、相手の評価というのは、
「待ったなし」
 ということになるだろう。
 つまり、
「言い訳はまったく通用しない」
 ということにあるのであった。
 これと同じで、相手が、そのハードルを上げて。こちらに歩み寄る形をとってきた場合、どんな形であれ、
「期待に沿う形でなければ、許されない」
 ということになるのである。
 これほど難しいということはないといえるだろう。
 だから、彼女もその時、
「相沢のことを試したのではないか?」
 といえるのだ。
「この人は、私の彼氏にとって、ふさわしい人なのだろうか?」
 と考えて、テストをしたとすれば、本来であれば、
「失礼といえるだろう」
 しかし、それによって、自分が何かの確証がえられるということであれば、それは無理もないことである。
 最初は、結局、
「何もしてやれなかった俺が悪い」
 と思ったことに気が付いたのは、それから彼女が連絡をしてこなくなったからだ。月日は流れ、3か月も経った頃であろうか。
「ああ、もうこれで自然消滅ということになるんだろうな」
 と思い、彼女との別れということを、さすがに鈍感な相沢も分かっていた。
 本当は、
「俺の方から連絡をとってやるべきなんだろうな」
 と思ったが、自分自身で、何を言っていいのか分からないのだから、連絡を取ろうとしても、結局は、無駄であると考えるのだ。
 それは、彼女との別れよりも、
「彼女から、何を言われるか分からない」
 ということが怖いと感じるのだろう。
 それを思うと、
「彼女が嫌になるのも仕方がない」
 と思い、諦めかけていた時だった。
 急に彼女から連絡があった。
「今度そっちに行くので、会えるかしら?」
 ということであった、
 ちなみに彼女は、自分と別れたその少しあと、その年、新卒で入った会社を辞めて、田舎に戻っていたのだ、
 彼女は、高卒で、都会の会社に就職し、寮に入っていたのであった。
 それなのに、
「会社を辞めて田舎に帰る」
 というのは、
「俺が何もしてやれなかったから、田舎に帰ったんだ」
 と、すべての罪を引き受けるようなつもりで、いたことで、
「だからあきらめなければいけない」
 というように、少し歪んだ気持ちで、彼女との別れを自分の中で、
「言い訳」
 ということにしていたのだった。
 そんな彼女が、こちらに出てくるという。どういう気持ちからなのだろうか?
 その気持ちがどこにあるのか、まったく分からないまま、
「会いに来てくれる彼女を、受け入れよう」
 と感じたのだ。
 本来であれば、
「どれだけ上から目線なんだろうか?」
 ということである。
 彼女が、田舎に帰ったことも、何もカモ自分の責任にするということは、それは、
「自分の責任にすることで、自分が悪いと感じているということで、少しでも自分が罪を悔いているということを思い込むことで、結局は、反省しているんだから、自分が悪くなない」
 という勝手な思い込みである。
 しかも、会いに来てくれるという彼女に対して、
「受け入れる」
 というのもおかしなもので、彼女が会いに来てくれることを、
「自分が、懺悔したから、彼女は戻ってきてくれた」
 ということで、
「あくまでも、自分を正当化させよう」
 という考えがありありだということになるのであった。
 会いに来てくれた彼女の顔を見た時、どこか安心しているように思えたことで、相沢も少し安心した。
 お互いに笑顔を向けあっていることで、
「ああ、これでやり直せる」
 と、相沢は考えた。
「今日は一日、観光案内してね」
 と言った彼女。
 これは、連絡を取ってきた時、
「会社を辞める前にこっちを観光したかったんだけど、結局できなかったので、時間も経ったし、どうせなら、あなたに案内をお願いしたいと思って」
 といってきたことから実現した再会だったのだ。
 そんな彼女が誘いをかけてきたのだから、
「きっと復縁を望んでいるんだろうな」
 と思ったのだ。
 そこで、
「以前は、何も言ってあげられなかったことで、かわいそうなことをした」
 ということから、あれから、人と一緒にいる時は、考えるようになった。
「二人きりでも、少人数の数人がいる場合でも、誰かが話している間は、自分は聞き上手になって、逆に誰も何も言わない時は、自分が話すようにする」
 というやり方である。
 逆に、
「相手が話している時、聞き上手とは言いながら、何も言わないわけではなく、相手の話にうまく相槌を打ったり、話を合わせるというところもテクニックがいる」
 というわけだ。
作品名:輪廻する因果応報 作家名:森本晃次