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輪廻する因果応報

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「うまく父親を引きずり出せた」
 と思っていたのに、しかも、
「それが自分の手柄であり、その手柄が、どうして彼女には分からないのだ?」
 といういらだちになると、
「可愛さ余って憎さ百倍」
 という言葉があるように、
「彼女のことを本当に好きだったんだろうか?」
 と思ってしまった瞬間。まるでメッキが剥がれるように、相沢の気持ちも、冷めてきたのだった。
「それであれば、自然消滅でも仕方がない」
 というはずなのに、そんな簡単にはいかなかった。
 相沢の方が未練たらたらで、どうしても、簡単にあきらめることができなかった。
「なぜなんだ?」
 と自分で考えるくらいだったが、それは、
「本当に好きだったのか?」
 それとも、
「彼女が父親もいない」
 ということになれば、
「同情だったのではないか?」
 と考えられ、
「前に付き合っていた男性がいた」
 ということであれば、
「その男に対する嫉妬」
 だったのかも知れない。
 そう考えると、
「俺は、彼女に対しての気持ちは、そんなに強くなく、やはり、メッキが剥がれただけなのではないか?」
 と考えると、
「この未練は、彼女でなくとも、誰にでも持ったのかも知れない」
 と思うのだった。
 それから10年以上経って、
「ストーカー」
 なる表現が出てきて、
「これは俺がやっていた行動ではないか?」
 と思うようになったが、果たしてそうだったのだろうか?
 そんなことを考えてみると、次第に、相沢は、
「自己否定」
 というものをするようになってきた。
 それが、ちょうど、30代後半くらいになってからだろうか。
 それまでに、
「一度結婚して、離婚した」
 という経験があった。
 もちろん、結婚するくらいなのだから、
「好きになった女性」
 ということは当たり前のことであるが、
「なぜ、結婚にこぎつけることができ、数年で別れるということになってしまったのか?」
 ということが、自分でもよく分かっていないのだった。
 そもそも、結婚相手と出会ったのは、ちょうど、結婚をしようと思った彼女と別れてからすぐのことだった、
 最初は、ずっと落ち込んでいたのだが、ショックを和らげるつもりで、あまり飲めないくせに、一軒のスナックに立ち寄って、そこで友達になった人がいたのだが、その人と飲み歩くうちに、一組の女の子と知り合った。
 そのうちの一人の女の子のことが、少し気になったので、友達が、その様子に気づいたのか、自分たちをくっつけようとしてくれた。
 一種の、
「援護射撃」
 ということで、うまく仲良くなれて、お互いに、気持ちが通じたようで、二人は付き合うようになったのだ。
 彼女は、あまり口数の多い人ではなく、相沢も、
「俺が好きな女性って、こういう感じなんだ」
 ということを感じるようになったのであった、
 相沢は、
「好きになった女性のことを思い出してみると、大人しめの女の子が多かったのだ」
 ということを思い出していた。
 考えてみれば、
「賑やかなタイプは、結構苦手だったな」
 という思いがあった、
 賑やかというわけではなく、明るく癒しになるようなタイプで、一見、
「天然ではないか?」
 と思えるような女性であれば、好きになったような気がしたのだ。
 さらに、
「清楚系」
 と呼ばれる女性も、タイプで、その代表例が、
「前に付き合っていた彼女だった」
 といってもいい。
 今から思い出しても、自分が唯一ひとめぼれをしたのが、彼女だった、
 その女とうまくいかなかったのは、
「運が悪かった」
 と思っていたが、
「自分が悪かった」
 と思うことができるまでに、少し時間が掛かり、その時間がそのまま、彼女への未練として残った時間だったのだ。
 だから、結構することになる女と付き合い始めた時、まだまだ、
「前の彼女のことで尾を引いていた」
 といってもいいだろう。
 それを思えば、
「俺には、彼女と結婚するまでに、いかに付き合っていたのか?」
 ということを忘れてしまっているような気がしてならなかったのだ。
 そんなことを思うと、
「前の彼女と別れてから、ずっと、自己否定ばかりしていたな」
 とは思ったが、
「そう思うことはマイナスでしかなく、プラス思考ではない」
 と分かってきたのだった。
 マイナス思考になってしまうと、どうしても、自分ばかりを否定してしまう。
 好きな相手が誰であれ、
「本当は、相手によって、態度を変えなければいけない」
 ということは当たり前のことなのだろうが、実際には、
「基本的なところで、ブレてはいけない」
 ということも言えるであろうことは、当たり前のことであった。
 だから、結婚を考え始めた時も、自分からではなく、彼女の方から、
「私たち、このままなの?」
 と言われて、
「急に我に返った」
 というのが、本音だということになるのであろう。
「相手から言われて、その気になる時点で、本当に結婚を意識していたのかということも怪しいものだ」
 ということである。
 結婚してから、最初は普通によかった。
 しかし、少しずつ中が怪しくなってきたのだ。
 最初は、
「結婚してからも、新婚気分でいようね」
 と言い合っていたり、
「お互いに共有するところは共有して、それでいて、プライバシーは守ろうね」
 という話をしていた。
 だから、相沢も、家事の手伝いを、少しだけだがしていたのだ。
 というのも、たまに食事を作ったり、会社の帰りに買い物をしてあげたり、などという、いわゆる、
「自分にできることで、さらに、好きなこと」
 というのが、最優先だった。
 当時は、まだ今ほど、
「家事を手伝うのは、男性として当たり前」
 などという風潮ではなかった。
 今であれば、当たり前のことで、
「イクメン」
 と呼ばれる人種が現れたり、会社などで、
「育児休暇」
 というものが、女性だけでなく、男性にもあったりと、社会が、
「家族を大切にする」
 という、海外のいい部分を、
「やっと受け入れた」
 ということになるのであろう。
 ただ、これも、
「政府の何かの意図が働いているのかも知れない」
 と思わないわけでもない。
 経済政策として、
「国民の休日を増やしたり」
「休日を変動式にして、月曜日にもっていくことで、3連休を作る」
 などということで、
「旅行やレジャーで金を使わせる」
 というやり方である。
 そういう意味で、この、
「男性の育児参加」
 というもので、特化することとして
「育児」
 というものに、大きな焦点が当てられているということを考えると、その政策の意図が見えてくるというものだ。
 その一番の理由としては、
「少子高齢化」
 ということであるのは間違いないだろう。
 この問題は、非常に大きく、これが、年金問題などの、
「社会保障」
 というものに、大きく結びついてくるということだ。
 これと同じくして、最近の、
「人手不足」
 の問題であったり、会社でどこまで真剣に考えていることなのか分からないが、
「新人を取らない」
 という会社が、中小企業などには多かったりするのだ。
 そうなると、どうなるのかというと、
作品名:輪廻する因果応報 作家名:森本晃次