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輪廻する因果応報

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 ということで、
「どうなっているんだ?」
 ということになるのだった。
 大学時代と違って、社会人ともなれば、
「付き合う女性というのは、ほとんどの場合によって、結婚を考えているものだ」
 といえるだろう。
 昭和の頃までは、子供が多い方がいいといっていたのだが、時代が変われば、違う意味で、子供がほしいと思う。
 昭和では、戦争で減った労働力を増やすということであるが、今の時代であれば、
「少子高齢化のために、子供が必要」
 ということで、大人になってからの負担を考えると、子供を増やして、しっかり育てらせるということだ。戦時中みたいな時代であれば、
「戦争で人がどんどん死んでいくので子供を増やす」
 ということだったのだろう。

                 三すくみの関係

 そんな二人だったが、それぞれに、
「相手に対して、不満があったのだろうか、とにかく、よくケンカになった」
 というものだった。
 しかし、あとから考えると、そうではないような気がしたのだ。
 それは、
「相手に対して不満があった」
 ということからではなく、
「自分に不安があり、それを自分で取り除くことができないというどころか、自分に不安を感じているということが分かっていない」
 ということが原因だったからである。
 特に彼女の方は、前の日までは納得していたことを、急に、
「やっぱり、あなたと付き合っていくわけにはいかない」
 と言い出すのだ。
 相沢もまだ若かったので、総いわれてしまうと、慌てふためいてしまう。何かを言おうとするのだが、何を言っていいのかが分からなくなるということである。
 相手とどのように付き合うのかということが、自分の中でも、
「不確定要素」
 となっていることで、先に相手に諦められてしまうと、自分がまるで、
「架けられた梯子を、下から外された」
 というような気分にさせられてしまうと感じてしまうだろう。
 だから、彼女に、慌てられると、冷静にならなければいけないはずの自分も一緒になって慌ててしまうということになると、その理由として考えられるのは、
「相手が慌てふためくくらいに、自分のことを好きになってくれたんだ」
 という思いを持つことで、
「彼女のことを好きな自分がいることを確かめたい」
 という考えである。
 これは前述の、
「好かれたから、好きになる」
 ということが、
「自分が女性を好きになる時のパターンだ」
 ということを感じているからであろう。
 この考え方は、ある意味、
「ネガティブ思考だ」
 といってもいいだろう。
 それだからこそ、
「自分に不安を感じているということ」
 の証明であり、そもそも、別れを言い出した彼女の方がその思いが強いということを分かっていないから、本来なら、自分が相手を諫める立場なのに、それができずに、結局、同じように慌てふためくという結果になるのだ。
 それでも、
「相手に対しての一生懸命さが伝わる」
 というのか、それとも、
「相手が、その真剣さに、男性としての魅力を感じてくれる」
 ということであれば、男の方の
「説得」
 というものに、心を動かされることであろう。
 ただ、そんなことが何度も繰り返されると、それは、結局、惰性であり、同じところをぐるぐる繰り返しているだけの、
「堂々巡りを繰り返しているだけだ」
 ということにしかならないだろう。
 それを思うと、
「彼女との付き合い」
 というのは、
「最初から無理を押し通しているのではないか?」
 と分かっていたものを、彼女が中途半端に、こちらの考えに納得してくれて、中途半端に考え直すことで、再度、不安がこみあげてきて、また喧嘩になったり、別れを切り出したりしてきて、
「同じことをずっと繰り返す」
 ということになるのだろう。
 そんな彼女と別れるようになったのは、自分の親に会わせた時だった。
「彼女ができたら、俺が見てやるから、連れてこい」
 といっていた父親だったので、
「会ってもらいたい人がいるんだ」
 といって、電話をかけて切り出した時のことだった。
「彼女か?」
 というので、
「うん、好きな人ができたら連れてこいといっていたので、今度、家に連れていこうと思って」
 と、相沢は、自慢げに話をした。
 すると父親は、暗い声で、
「結婚しようと思っているのか?」
 というので、相沢は、当たり前のように、
「今はまだそこまで考えていないが、いずれは結婚したいと思う時が来ると思う」
 と話すと、
「そうか」
 といって、少し黙り込んでしまった。
 相沢は、
「あれ? おかしいな」
 と感じた。
「こんなはずではない」
 ということである。
 息子としては、焦りを感じた。
「会ってくれることは間違いないとして、その後をどうすればいいか?」
 というところから計算しようとしていたので、
「会う」
 という、大前提から、崩れ去ろうとしているではないか。
 それを考えると、
 想定外のことが起こると、
「本当にどうすればいいのか?」
 ということで戸惑ってしまうということが分かったのだ。
 そもそも、彼女に対してもそうだったではないか。
 ただ、彼女と二人の問題であれば、
「何とか説得すれば、分かってくれる」
 という今までの経験があるから、さほどは心配していないが、それにしても、
「こう毎度毎度、いろいろあると、精神的にも疲れ果てる」
 というものだ。
 そこへもってきての父親のこの態度には、どうしていいか分からない。父親が何を考えているのかということを探し当てないと、先に進まないではないか。
 相沢は、最初に考えたのは、
「結構について聞かれた時の、態度が悪かったのかな?」
 ということであった。
 結婚というものを、甘く考えているというか、
「彼女に対して、今は、その気がないが、そのうちに」
 という、
「曖昧な態度」
 というのが、
「いかに対応すればいいのか?」
 ということであった。
 だが、実際には、まったく違い、正反対のことを考えていたようだ、
 その後、父親に、彼女の話をしても、はぐらかすばかりで、決して会おうとはしなかった。
 聞くことといえば、仕事のことばかり、いい加減、うざく感じてくるのであった。
 しかし、問題はここだったのだ。
 要するに、
「まだ、会社に入って1年目という、新人の時期に、彼女だとか、結婚だとかいうのは、時期が早い」
 ということだったようだ。
 だから、父親の話の時は、
「会社の話」
 ばかりで、他のことに触れようとはしないのだった。
 そんな彼女との間で、なかなか会ってくれない父親に対して、彼女は、不信感を抱いた。
 それはそうだろう。
「うちの父親は、彼女ができたら連れてこいって言ってたくらいに、話が分かる父親だからな」
 といって彼女を安心させていたのだから、不信感をもって当たり前。
 何といっても、一番の負不信感を持っているのは、誰あろう、相沢だった。
「俺の顔も丸つぶれじゃないか」
 という思いもある。
 しかし、それでも、父親が、
「何を考えているのか、分からない」
作品名:輪廻する因果応報 作家名:森本晃次