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輪廻する因果応報

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 そして、先輩からは、
「お前も似たようなものじゃないか?」
 と言われたが、その根拠がどこにあるのか分からなかったことで、言い返すこともできない状態だったし、
「何が言いたいのかが、分からない」
 と思うと、
「この支店は、変な人がいっぱいいるな」
 と感じると、数年前に自殺未遂だったという人の気持ちも分からなくもないと感じたのだ。
「転勤は、会社の事情なので、しょうがない」
 とは言われるが、その事情によって、
「最悪の支店」
 と呼ばれるところに配属されるのであれば、それこそ、
「運が悪かった」
 といって、片付けられるものではない。
 それこそ、自殺未遂を起こしたのも、
「他の支店ではなかったはずだ」
 ということになれば、支店のメンバーの誰か一人か、あるいは、
「集団でのリンチ」
 というようなものだったりしなくもない。
 ひょっとすると、
「この地区の人から見ると、イライラさせられるような言い方をしていたとすれば、このような田舎町では、寄ってたかって、一人を虐める」
 ということもありえるのではないだろうか。
だから、
「最悪の支店」
 という表現も、
「転勤してきた人間」
 にとっての、
「最悪の支店」
 ということになるのであろう。
 そういう意味では、
「相沢にとって、この支店はどうなのだろう」
 確かに、今でも一番好きだと思っていて。それまでには、ほとんどなかった、
「一目ぼれ」
 というのをしたことがなかった本人が、ひとめぼれをしたのだから、それこそ、
「本当は、そこまでは思っていなかったのに、まわりがいうから、好きだったという認識が植え込まれている」
 ということなのかも知れない。
 自分が好きになった人として、どうしても感じるのは、
「理沙」
 だった。
 理沙のおかげで、
「童貞喪失」
 ができたのだから、何といっても、理沙は、自分の好きになったというリストからは、絶対に外すことはできない。
 しかし、それを半分忘れていたのは、この支店で知り合った彼女とのことがあったからで、確かに時系列が逆であったにも関わらず、理沙への意識が、かなり遠く感じられたのは、
「その間に、彼女という存在が、君臨しているからであろう」
 ということであった。
 だが、そうだとすれば、
「人に扇動されたくらいで、好きになるというような、中途半端な意識があったからではないか」
 と思うからなのかも知れない。
 それを思うと、
「どれだけその時の彼女とのことが、今思い返しても一番印象深いということになるのであろうか?」
 ということであった。
 彼女とは、それから、付き合うようになった。
 まわりの人が、なぜ彼女を、相沢に押していたのかというと、そこには理由があったようだ。
 その理由というのが、
「彼女は、昨年まで、この支店にいた他の男性と付き合っていたが、いろいろあって別れたのだ」
 ということだった。
 最初はその理由を知らなかったが、
「そんな曰くのある女性なんだ」
 と思うと、さらに、気になってしまうのだった。
 だから、彼女のことが気になってしまい、好きだと思うようになると、
「これは錯覚なんじゃないか?」
 と最初に少しは感じたが、結局、
「まあ、いいか」
 と感じるようになった。
 そう思った瞬間、
「最初から、彼女は自分の理想の女だ」
 と感じていたと、思うのだった。
 相沢という男は、
「自分が誰かを好きになったから、好かれたい」
 と思うわけではなく。
「相手が好きになってくれたことで、自分が好きになる」
 というシチュエーションを大切にしたいと思う方だったのだ。
 さらに、そういう考えがあるからか、
「相手に曰くがあるような女性」
 ということであれば、どうしても気になってしまい、いつの間にか、
「好きになっている」
 ということになるのだった。
 そんな相沢に、彼女も惹かれていたようだ、
 ただ、それは、
「去年までいた、付き合っていた男性と、比較をしているからなのかも知れない」
 ということで、
「本当は好きでもないのかも知れない」
 と思うと、彼女の方も、
「自分も、好かれたから、好きになる」
 という方法が、自分に似合っていると考えたのだ。
 理沙の時は、
「まだ大学生だった」
 ということから、恋愛に関しての感情も、違う目線で見ているのかも知れないが、その目線が上からなのか、下からなのか、重要なことであろうか?
 結局はどちらから見るかということよりも、目線の高さが問題であり、だから、焦点が合っていないということも言えるのではないだろうか?
 それを考えると、
「大学生と、社会人との、恋愛と向き合う姿勢に、大きな違いというのがあるのだろうか?」
 ということであった。
 大学時代では、まだ、
「遊び」
 という感覚があるが、社会人ともなると、今度は、
「結婚前提」
 という話にもなる。
 これは、大学生と社会人との違いということもあるが、
「年齢的にも、結婚を考える年」
 ということであった。
 今でこそ、
「結婚しない」
 という人が多いが、当時は、
「結婚適齢期」
 というものがあったのだ。
 男性と女性で、結婚適齢期というのは違うだろうが、どうやら、彼女と前にいた人とは、ちょうどお互いに適齢期だったという。
 特に、彼女の方が、その思いは強かったようだ。しかし、彼女の母親が、
「理由は何かハッキリと教えてはくれなかったが、反対していたのだ」
 というのだ。
 その証拠に、相沢を、彼女が母親に紹介した時は、それほど嫌な顔をするわけではなかった。
 最初こそ、彼女が、
「会社の人」
 と言った時、母親がまるで苦虫をかみ殺したような表情だと思ったのは、その思いが強かったからではないだろうか。
 会社の人が、嫌というわけではなく、
「どんな理由は分からないが、その男のことが嫌だったのだ」
 ということであろう。
 母親は、相沢のことを、
「気に入っているかどうか」
 ということは分からなかったが、少なくとも、
「嫌われている」
 というわけではなかったようだ。
 相沢の実家は、隣の県だったので、すぐに、彼女を紹介するというわけにはいかなかった。
 しかし、
「親のことだから、簡単には反対しないだろう」
 と思っていたが、少しその考えが甘かったようだ、
「彼女ができたら、すぐに言えよ。俺が見てやる」
 と、父親は、ふざけながら、そういっていた。
 だから、
「父親に反対されることは絶対にない」
 と思ったのだが、その理由とすれば、
「俺の父親だからだ」
 ときっぱりいうだろう。
 それだけ父親と自分とは、
「考え方が一緒だ」
 と思っていたのだ。
 だが、実際には、なんだかんだ言って、
「彼女を連れていこう」
 というと、
「今忙しい」
 という理由を立てて、ごまかそうとするのだ。
 いかにも、言い訳がましい」
 と考えたことで、父親の言い分が分からなくなった。
 言い訳がましい」
 というよりも、
「聞く耳持たない」
 と言った方がいいだろう。
 要するに、彼女からすれば、
「前の時は、自分の母親から反対され、今度は、彼の父親から反対されている」
作品名:輪廻する因果応報 作家名:森本晃次