小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

警察に対する挑戦

INDEX|15ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

「そんな双六の目をいかにうまく操ることができるか?」
 つまりは、犯罪も、ある程度運が傾いてこなければ、うまくいくものもいかないということになるのであろう。
 殺害方法にも、いろいろある。
「刺殺」
「毒殺」
「絞殺」
 などがそうである。
 それぞれに、一長一短あるだろう。
 刺殺であれば、
「血が噴き出す可能性があるため、返り血を浴びるという危険性」
 毒殺であれば、
「その毒の出所」
 などが調べられれば、ある程度足が付きやすいということになるだろう。
 絞殺であれば。
「相手が苦しみだして、その苦しみから、締めているこちらの手を必死に引っかいたりして、その証拠が残ってしまう」
 という危険性もあるというものだ。
 あとは、
「駅などで、後ろから突き落とす」
 ということであるが、突き飛ばすというのは、どこでどうやったとしても、目撃者がいないとも限らない。
 いや、今の時代であれば、どこにだって、防犯カメラがついているのだ。
 その防犯カメラでなくとも、今では、車の中のカメラ、いわゆる、
「ドライブレコーダー」
 というものに映っていることだってある。
 これだけ、いろいろあれば、いつどこに証拠として映っているかということなど、当たり前のように考えられることであった。
 そして、その殺人方法によって、トリックや犯罪のやり方が変わってくる」
 いや、
「決まってくる」
 といってもいいだろう。
「そういえば、今回の犯罪は刺殺だったのだろうか?」
 警官は、見つけはしたが、本当の死因まで分かっていなかった。
 びっくりして、署に110番したのだが、鑑識や刑事が来るまで、
「死体を動かしてはいけない」
 というのは当たり前のことで、
「首がない」
 ということに気づいてはいたが、
「どうやって死んだのか?」
 というところまで、気が回らなかった。
「そういえば、そこまで気にならなかったが、あの場で、首を切られたわりには、それほど、血が流れていなかったような気がするな」
 と感じた。
 ということは、
「本当の殺人現場はあそこではないということだろうか?」
 ということは、死体の首と手首を切り取って。それだけをどこかにもっていったというわけではなく、
「どこか他で殺しておいて、手首と首以外の胴体とつながった部分をここまで運んできたということになるのだろうか?」
 ただ、それなら、首や手首から、血が滴っていても、いいはずだ。
 あの道は、車で入ることは不可能なので、血が落ちていないというのもおかしなことである、
「死体をどこかから持ってきた」
 としても、
「ここで、手首と首を切り取った」
 としても、どちらにしても、ハッキリするわけではないが、このことが、事件解決に、何らかの手掛かりがあるような気がするのだった。
 それだけ、密室トリックというものは、
「単独で、トリックとして使うのであれば、それこそ、針と糸を使ったりする、機械トリックでもなければ、なかなか成立しない」
 というものだ。
 しかし、前述の、
「死体損壊トリックであったり、アリバイトリックと併用すると、結構面白い」
 あるいは、
「機械トリックになるが、水圧などを使って、鍵をかけるというトリックに、水を流すことで、実は、血を洗い流して、本当はここが、殺人現場ではないということをごまかすというトリック」
 というものも考えられるというものである。
 つまり、複数のトリックを駆使して、大きなトリックを作るという意味で。
「1+1=3」
 というような公式も、密室トリックには成り立つのではないか?
 ということではないだろうか?
 それを考えると、他のトリックにおいても、もし、併用できるようなものがあるとすれば、
「1+1=3」
 という公式が成り立つということになるであろう。
 警官が、被害者の死体を見つけた時のことであるが、実は、その時、警官の後ろから、誰かがつけてきたということを、警官は気づいていなかった。
 毎日のパトロールをしていることで、どこか、マンネリ化してしまっていたのか、ほとんど、ルーティンになってしまうと、得てして、気づかないものであろう。
 いくら、
「いたるところに、カメラが設置されている」
 といっても、こんな場所に、設置されているということはないだろうし、やはり、この事件の一つの焦点としては、
「殺害現場がどこなのか?」
 ということであった。
 それは、
「この事件が、最初から計画されたものだったのか?」
 それとも、
「何かの原因で、突発的に起こったことなのか?」
 ということによっても、変わってくる。
 突発的に起こったことであれば、何かのトリックを考えて、その通りにしていたということではないだろうからである。
 逆に、計画性のある事件であれば、そもそも、あそこに死体を放置したということは、何か目的があってのことであろう。
「死体が発見されないと困る」
 ということなのだろうか?
 だったら、首を切り取ったりなどという、わざわざおかしなことをする必要もないだろう。
 それこそ、
「首を切り取ったことで、ここが殺人現場ではない」
 ということをわざわざ知らせたのだろうか?
 もし、そうであれば、
「逆に、ここが殺人現場ではないか?」
 ということも考えられるといえるのではないだろうか?
 そんなことを考えていると、
「殺人現場というものの確定が一つの事件解決への道しるべではないだろうか?」
 といえる。
 そこには、もう一つ何かが隠されているとすれば、
「死亡推定時刻をごまかす」
 という何かのトリックが隠されているのではないだろうか?
 ただ。その場合は、密室トリックとの組み合わせが考えられるのだが、今回は、そういうことではない。
 何をどう考えればいいのだろうか?
 そして、もう一つ。考えられることとしては、
「首なし死体」
 にしたということで、
「被害者が誰か分からない」
 ということで、警察は、身元の確定を最優先とするに違いない。
 それは当たり前のことで、
「通常の事件というと、顔があるわけである。しかし、この事件というと、顔がまるでない。それは、この人物が、どういう人間で、なぜ殺されなければいけなかったのか? ということがまったく分からない」
 ということになるのだ。
 これがもし、
「動機のない犯罪」
 であったとしても、
「偶発的に起こった事件」
 であったとしても、この男の、
「顔」
 というものが分かっていれば、
「この男なら、他人とトラブルを起こすのも、普通にある」
 などということで、
「実際に、殺害されても、無理もない」
 ということで、結局、
「行きずりの可能性もある」
 ということになり、
「通り魔の可能性だってある」
 と考えると、その通り魔は、首を隠すことで、
「通り魔とは思わせたくない」
 ということだけを考えたのかも知れないともいえるだろう。
 だが、他の考え方もないわけではない。
 というのは、
 この殺人において、顔がないということは、警察は血眼になって、被害者を特定しようと奔走するだろう。
 その中の一つとして、一番に考えられるのは、
「捜索願」
作品名:警察に対する挑戦 作家名:森本晃次