小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

異次元交換殺人

INDEX|8ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 

「犯人は本当に、被害者の身元発見を遅らせたいという意図があるように見えて、身元が分かるものを持ち去ることはしなかったということに、何かの犯人の狙いのようなものがある」
 ということなのだろうか?
 被害者の、
「平岩」
 という男であるが、この男の身元は、別の班が探していたが、それがいまいちよく分かっていなかった。
「これは、全体像が分かるまでには、少し時間が掛かるかも知れませんね」
 ということであった。
 免許証と、病院の診察券があったので、まずは、病院に行ってみた。そもそも、現住所に行ってみても、近所の人に聞くと、
「ああ、あの人、いついるのか、まったく分からないんですよ」 
 というではないか、実際に、部屋の中に入ってみると、
「これで生活しているといえるのか?」
 というほど、何もなかった。
 食器類の類は、炊事場のところにワンセット、しかも、必要最小限程度に置かれている程度で、部屋の中には、布団が一組あるくらいで、こたつ台のようなものが、申し訳程度に置かれている程度で、着替えも、数着、本当に必要最小限にあるだけだった。
 部屋には、本棚も、筆記用具もなかったが、なぜか、オートパソコンだけが置かれていた。
 警察が押収し、中を今調べているところだが、それにも時間が掛かるということのようだった。
 どうやら、ガチガチにパスワードを絡めていて、まるで、
「調べられることを分かっていて、金庫だけを置いていて、どうせ、中身を見ることなんかお前たちにはできないだろう」
 とばかりに警察を愚弄しているのと同じに見えたのだ。
 しかも、冷蔵庫もなければ、食べ物も何もない。
 さらに不思議なことは、
「まったくごみらしいものがない」
 ということであった。
 部屋は、確かに、
「生活集がない」
 というわけなので、埃は立っているが、汚れているわけではない。
「清潔というわけではないが、不潔というわけでもない」
 というようなわけである。
 とりあえず、この部屋で分かったことで、しかも、今できることというと、
「ノートパソコンの内容を知る」
 ということであった。
 今の技術であれば、パスワードが掛かっていても、少し時間があれば、それを解読することができるのだという。
 もちろん、それが世間に知れ渡ると、これは警察としても厄介で、そうなると、開発者は、もっと厳しいロックを掛けるようにするだろう、
 それこそ、まるで、
「コンピュータウイルス」
 というものの、
「駆除と、開発者による、いたちごっこ」
 だといえるだろう、
 新しいウイルスができると、駆除の方が、駆除ソフトを開発する。そうなると、今度はウイルス開発者はさらに、強力なものを作ろうとする。
 それこそ、
「核の抑止力」
 というものと同じで、
「いつまで経っても、交わることのない平行線」
 というものを描いていることになるのだった。
 ノートパソコンの解読に、科捜研が躍起になっている頃、
「何とか、警察は、昔のやり方」
 つまり、
「アナログ解読」
 をしようというのだ。
 それは、昭和のような、
「足で稼ぐ捜査」
 ということだったりするのだ。
 警察というところは、
「自分たちの仕事に誇りというのは、持っているのかも知れない」
 しかし、心の底では、
「俺たちのすることにも限界がある」
 という、自分にとっての、
「結界」
 というのがあるのではないだろうか?
 いくら捜査をしても、どうしても超えられないものがあったりする。
 例えば、警察組織の壁であったりなどが言えるのではないだろうか?
 昔の、刑事ドラマ、いわゆる、
「トレンディドラマ」
 というのが流行っている時期のことで、覚えているセリフとして、一人のキャリアの青年管理官が、
「自分のやりたいことがなかなかできない」
 と言った時、上司が言った言葉として、
「自分のやりたいようにやるには、えらくなれ」
 と言われたという言葉が印象的だった。
 しかし、本当にそうであろうか?
 特に警察というところは、
「いや、警察に限らずであるが」
「えらくなればなるほど、上にいけばいくほど、そのしがらみが大きくなる」
 といってもいいだろう。
 確かに、警察組織であれば、警部補以上になれば、現場で指揮を執ることはできたりするが、それでも、警部や軽視から見れば下であり、捜査本部では、完全に下っ端である、
「だったら、出世して」
 ということで、警部、軽視などになり、管理官になったとすると、今度はもっと上から、管理されることになり、もっと上はというと、実際の現場を知らない人たちであり、彼らも、最初は、それなりの、やりがいや、やりたいことを胸に秘めて、警察に入ってきたことだろう。
 しかし、実際に出世してみると、
「上の顔色を窺ってばかり」
 であり、要するに、
「上にいけばいくほど、キリがなく」
 下手をすると、
「上に行けば行くほど、先が伸びるという、伸縮自在という意味での、孫悟空が持っている、如意棒のようなものではないか?」
 と考えられるのだ。
 つまり、
「下を見てもキリがない。上を見てもキリがない」
 ということで、
「自分が今どこにいるのか分からない」
 ということになるであろう。
 つまりは、ことわざとして聞いたことがあるかも知れないが、これも、
「西遊記繋がり」
 という意味で、
「百里の道は九十九里を半ばとす」
 という言葉がある。
「ほとんど来たと思っていても、その先に何があるか分からない」
 という意味で、
「まだ半分しか来ていないんだ」
 ということを考えれば、それくらいに考えていた方が、自分の戒めにもなるし、何かあった時に、ショックが少ないともいえるだろう。
 だから、
「出世というのは、すればするほど、うれしいかも知れないが、その分、不安も募ってくる」
 といってもいいだろう。
 警察組織だけでなく、もし、警察のトップに行っても、その上に、公安であったり、警察官僚や、省庁関係の政治からの圧力などがあり、
「結局、何かをしようとすると、最後には、国家権力の餌食になる」
 ということである。
 もっとも、自分を滅ぼすのが、
「国家権力」
 であるなら、ある意味本望だといってもいいかも知れない。
 警察だけではなく、官僚と呼ばれるところは、皆同じ形である、
 だから、
「自分のしたいことができるようになるには、えらくなれ」
 というのは、実はおかしいのだ。
 えらくなればなるほど、軋轢が強くなる。そんなことが、その上司に分からないわけもないではないか。
 と考えると、うがった見方ではあるが、その上司の下心というか、
「姑息な考え」
 というものが、見え隠れしそうではないか。
 なぜかというと、
「自分の部下が出世をしたり、えらくなれば、自分の株が上がり、自分も出世に近くなる」
 ということではないだろうか。
 いや、上司ともなれば、もっといえば、
「失敗が許されない」
 といってもいい。
 最初から、ノンキャリアに比べて、下積みなしで、ノンキャリアであれば、
「交番勤務から」
 というのが、普通である。
作品名:異次元交換殺人 作家名:森本晃次