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異次元交換殺人

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「三すくみというのは、三角形になっていて、自分以外の相手に対して。それぞれ、絶対的な強さと弱さを兼ね備えているというもので、それぞれが、うまく交差しあっているという感覚だといっていいだろうか」
 というのは、例として、
「じゃんけん」
 というものがあげられるし、もう一つ有名なところとしては、
「ヘビ、カエル、ナメクジ」
 というものである。
 これは、
「ヘビはカエルに強いが、ナメクジに溶かされる」 
 ということ、
「カエルは、ナメクジを食べるが、ヘビに食われてしまう」
 そして、
「ナメクジは、カエルに食われるが、ヘビを溶かしてしまう」
 ということである。
 このように、それぞれが、たすきに掛かったような力関係を、一種の抑止力といってもいいだろう。
 お互いに睨みを利かせることで、相手に手を抱さえないようにするという、力関係の話である。
 この場合に、一つ言えることとして、
「先に動いた方が絶対に負ける」
 ということだ、
 たとえば、前述のヘビを例にすると、
「自分が我慢できずに、カエルと食ってしまうと、あとはナメクジだけになってしまった、結局、ナメクジに溶かされてしまう」
 ということである、
 とすれば、
「カエルにナメクジを食わせるようにすれば、最後に残るのは自分」
 ということになるが、逆に、
「ナメクジが襲ってきた場合」
 というのが、一番の問題であった。
 というのは、
「ナメクジが襲ってきた場合は、自分が逃げるふりをして、カエルに襲い掛かろうとする。そして、実際には食べないが、驚いたカエルが、今度はナメクジに襲い掛かるのだ」
 という作戦で、一種の
「キツツキ戦術」
 といってもいいだろう。
 だが、今度は、一種のフェイントなので、やはり、最初に、
「カエルにナメクジを襲わせるようにすればいい」
 ということになるのだ。
 交換殺人の場合も、
「最初に実行犯になってしまった方が、圧倒的に不利である」
 ということは、この三すくみの関係に似ているではないか?
「じゃあ、交換殺人においての、三すくみというのは、どういうことのなるのだろう?」
 ということである。
 交換殺人と、三すくみを一緒にするというのは、少し乱暴な考え方ではないだろうか>
 確かに、交換殺人は、
「三すくみの生き残り方」
 を彷彿させるものがある、
 だが、交換殺人は、
「実行犯と主犯が、交互にたすきをかける」
 というような関係になっているので、
「三角形ではない」
 ということになる。
 ただ、お互いにたすきをかけたところで、三角形、
「いわゆる、直角三角形が、二つできるということになる」
 ということだ、
 それは、
「一つの大きな三角形であればm3つの関係であるが、たすきに掛けるということで、班員側は、それぞれ、主犯か、実行犯のどちらかが、半分を背負うと考えると、結局二つを足せば、3になる」
 ということが言えるのかも知れない。
 かなりこじつけた考えであれば、
「交換殺人」
 というものが、
「完全犯罪だ」
 と言われたのは、
「それぞれに、完璧な抑止力が働いて、動くことができない」
 ということからである。
 もし、ここで、三角形のもう一つの頂点を、
「警察」
 だということにすれば、
「三すくみの関係が、犯行が行われた後から」
 と考えれば、
「二組の犯人と、警察の間で、先に動いた方が負け」
 ということになるのだが、この場合に一番不利なのは警察である、
 警察以外の二組の犯人は、
「これが交換殺人だ」
 ということを分かっているのである。
 知らないのは警察だけであり、だから、
「一番最初に動くのは警察だ」
 ということだ。
 事件解決が警察の仕事なのだから、それも当たり前ということで、だから、警察が動いてしまうと、完全犯罪になると考えると、犯人たちは、
「完全犯罪の中にいることができて、安心である」
 ということになるのだ。
 だから、問題は、
「犯人側で、不穏な動きを見せないことが大切だ」
 といえるだろう、
 警察より先に動いて、計画通りにいかなくなると、二組で一つになってしまい、そうなると、
「力関係は、警察の方が圧倒的に強い」
 ということになるだろう、
 そのことから考えても、
「交換殺人は、本当にもろ刃の剣だ」
 ということになる。
 警察というところは、
「雁字搦めで、まるで猪突猛進」
 ということを考えれば、犯人側にも、
「ワンチャンある」
 といえるかも知れないが、交換殺人というものを形成していると考えると、
「どちらがどちらともいえないところがある」
 やはり、
「三すくみの関係が、先に動いた方が負けだ」
 という理屈に当てはめることができるのだろう。

                 目撃者の証言

 ここに目撃者として名乗り出てきた男は、名前を
「木下」
 と名乗った。
 彼が名乗り出てきたのには、
「殺されていた人が、いまだに不明だ」
 とされていたことで、
「ひょっとして」
 として名乗り出てきたのだった。
 少し汚い方法であったが、警察は、少しの間だけ、被害者の身元を隠しておいて、犯人からすれば、身元を隠そうとしていないのに、
「警察が身元を公表しないのはなぜなんだ?」
 ということで探りを入れてくるかも知れないと考えたのだ。
 本当であれば、
「身元を公開し、さらに、公開捜査に踏み切った方が手っ取り早い」
 とも考えられたが、実際には、被害者の身元が分かっても、その先はまったく追えないということが、何を意味するか?
 と警察は考えたのだ。
「まさか、警察を愚弄するために、殺人を犯したわけでもあるまい」
 ということであったが、それ以上に、
「犯人は、身元の分からない人を狙ったのか?」
 と考えるとb、それこそ、これがただの序章で、これから、どんどん、無差別殺人が続いていくのではないか?
 と考えると、
「犯人も何かの意図をもって、警察の捜査をかく乱させようとしているのではないだろうか?」
 と考えると、警察も、
「自分たちのやり方で、犯人をいぶり出すか?」
 と考えたのである。
 だから、警察とすれば、ここで、一人の目撃者ということで現れた男が、何かを知っているのではないかと思うのだった。
 桜井刑事は、最初に警官が、彼から聞いた話として、被害者が、
「平岩」
 という男だということを知っていたという。
 そのうえで、平岩がどうにかなるところを見たというのか、桜井刑事は、そのことが気になっていたのだ。
 桜井刑事が到着するまでには、
「大したことは聞けなかった」
 ということであった。
 そもそも、この木下という男は、
「担当刑事が来るまでは、口を開かない」
 と決めていたようで、その心としては、
「下手に警官に話して、また聞きにされたとして、自分の意志とは違った形になってしまっては、困る」
 と思っているのではないだろうか。
 桜井刑事が到着するまで、
「頑として口を割らない」
 と決めているのか、ある程度は、
「肝が据わっている」
 ということなのか、しかし、実際に刑事がやってくると、その態度が一変したのであった。
作品名:異次元交換殺人 作家名:森本晃次