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間違いだらけの犯罪

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 ということで、敵がそんなに近くにいるなど、あいつらにとっては、
「灯台下暗しだ」
 といってもいいだろう。
「マナーを守る」
 ということが、どれほど、自分だけではなく、人に与える影響が大きいのかということを分からない連中だからこそ、
「社会から孤立する」
 といってもいいだろう。
「自分の城跡が、世の中の非常識」
 という言葉があるが、まさにその通りだということなのであろう。
 だが、やはり、自分が、
「社会人」
 であったり、
「一般常識」
 というものに対して。キチンとした認識を持っている人間だという思いがあることで、必要以上に気にしている自分がいるのを感じると、
「気分のいいものではない」
 と考えてしまうのだった。
 本当なら、嫌いだと思っているのに。気が付いたら、そのことを考えているというのは、それこそ、
「勝手な思い込みをしているのは、自分ではないか?」
 と思うのだった。
 時々その感情を、自分の中で、
「自分で自分に考えを押し付けているのではないか?」
 と考えると、それは、
「上司に対しての、反発から考えていることであって、誰よりも自分が考えさせられているというのは、洗脳されているのだ」
 といってもいいのかも知れない。
 自分で自分の考えを押し付けるのであればいいのだが、自分の考えなのだから、押し付ける必要というのもないはずだ。
 そうなってくると、
「人に押し付けるのは、一般常識であり、それが自分のものではない」 
 ということが分かっているから、押し付けることになる。
 と考えると、それこそ、
「上司がやっていることと同じではないか?」
 と思い、それが、
「自己嫌悪にさせてしまい、自分の中の考えを、表に出すことで、自分を納得させる必要があるのではないか?」
 と感じるのであった。
 そんなことを考えながら歩いていると、すでに、墓地の半分くらいまで来ていて、普段であれば、
「決して、墓地の方を向かない」
 と思っているのに、その時は、墓地が気になって、無意識に覗いてしまった。
 すると、墓地の奥の方から、
「ザクッ、サクッ」
 というような音が聞こえてきた。
 土を掘っているのはすぐに分かり、そこに金属音のような乾いた音が響いてきた。
 前日、雨が降ったので、湿気を帯びた空気が淀んでいるような気がしたので、聞こえてきた金属音が、乾いた音だったことで、余計に響いたのだ。
 湿気がある空気というと、
「まるで、大浴場にいるようだ」
 と思えるほどで、その向こうに見えるのは、
「金属音というものを、そこから反対方向に向ける空気が働いているようで、それを制御しているのが、月の光ではないか?」
 と感じさせられた。
 まだ、その金属音の正体を確認できていないが、さぞや、月明かりに照らされて、
「さぞや、光輝いて見えることだろう」
 と感じさせられたのだ。
 よく見てみると、
「明らかなシルエットになっているようで、まるで、そこで田植えをしているように見えるその男は、まるで紙芝居の影絵のように、やせ細っているのが分かった」
 影絵というものを、子供の頃に、
「指人形」
 と混乱しながらも、手品師のように、狐を作ってみたりと、いろいろな形にしているのが面白かったのだ。
 そんな湿気を帯びた空気の中で、一人の男が、墓場を掘り返そうとしている。
 それは、今の時代では、見ることのできない光景で、昔の土葬などの時代では、
「墓を暴く」
 などということで、探偵小説の中にはそんなこともあったかも知れない。
 しかし、墓石も上部で、墓の近くを掘り返すなどできるわけもないようなところで、そんな行動は、
「何かの映画の撮影か何かな?」
 とも思ったが、いくら撮影であっても、そんな、
「バチ当たり」
 なことができるはずはない。
 さすがに、撮影するとしても、敷地使用の許可がいるだろうし、当然、立ち合いの問題であったり、墓場などは、管理は、お寺がやっているといっても、その墓地の土地は、所有者がいるわけであって、勝手なことはできないだろう。
 それを考えると、どうにも納得がいかない。
「俺は夢を見ているんだろうか?」
 と考えてしまうが、まさに夢を見ているということ以外考えられない状況で、夜の静寂のこの中で、
「それを確かめるというすべ」
 の、何を持っているというのだろうか?
 とにかく、
「こんな怖いところは、一刻も早く逃げ出すに限る」
 ということで、急いで、墓地から離れていった。
 遠くの方から、犬の遠吠えが聞こえてきた。普段であれば、
「いつものこと」
 ということで、意識はしないことだろう。
 しかし、その時は、とてもいつものことだとして考えることができず。その気持ち悪さを感じたことで、さらに汗が噴き出してくるようで、だいぶまわりが涼しくなってきているのに、メガネが曇ってきているのを感じると、
「やはり、湿気がすごいんだな」
 と感じると同時に、見えているものが、ぼやけて見えてくるようになると。今度は、
「真っ暗だったはずなのに、さっきよりも、明るい部分と暗い部分がハッキリとしてきたような気がする」
 と感じたのだ。
 さっきは、メガネをはめていることで、その明るさも、見え方も、毎日通っている道なので、
「見えなくとも分かっている」
 という感覚からか、
「真っ暗で見えなくとも、何がどこにあるかということも、熟知しているということで、真っ暗だということを自分で納得しながら、見えないものが見えている」
 と思っていたのだ。
 だから、
「見えなくて当たり前」
 と思っていたのが、今では逆に、
「目が慣れてきて、見えたさっきのシルエットが恐怖だったので、さっぱり見えない方が安心だ」
 と思っていたくせに、今度は、湿気からメガネが曇ったせいで、
「中途半端な明るさが感じられる」
 と思うと、その明るさが恨めしく感じられ、
「メガネを外してみるか?」
 とも思ったが、
「メガネを外しても、結局同じようにぼやけているのだから、同じことに、相違ないではないか」
 と感じた。
 実は。ここでメガネを外すというのは、本当は正解だったのかも知れない。メガネを外して見えない状態であれば、湿気からか、メガネをはめていてぼやけているとは違い、メガネを外せば、少しでも見えやすいように、
「目を凝らす」
 ということをするだろう。
 そうした時、見えてくるものは、
「よりまじかに、何かが近づいてくるように見えてくるように感じる」
 ということであるが、結局は、真っ暗な状態になるのではないだろうか?
 ただ、目が慣れてくるスピードは裸眼の方が早いと思っているので、
「やってみる価値はあったかな?」
 と考えさせられるのであった。
 その日見た、
「幻のような光景」
 というのが、
「墓を暴いているのか?」
 それとも、
「埋葬だったのか?」
 と考えたが、結論など出るわけはない。
 ただ、自分で、強引にでも結論付けて、忘れたいと考えるのであれば、
「埋葬ではないか?」
 と思うのだった。
 もちろん、その理由があるわけではないし、実際に、どちらかなのか、分かるわけはないので、あくまでも、
作品名:間違いだらけの犯罪 作家名:森本晃次