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パラレル国家の真実

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「自由に行動するということは、行動を起こした人間が優位に立つということで、高みの場所では、それを平等というのだろうが、行動を起こすことのできない、諸事情を持った人もいるわけで、それが、肉体的な、あるいは、精神的な疾患を持った人間であると考えると、そこに、本当の平等というものがあるのかどうかということになる」
 ということではないだろうか?
 逆に、
「平等を最優先に考えるのであれば、自由競争というものはできなくなる。平等ということは、皆が同じ立場ということになり、それこそ、貧富の差があることは、許されないということになるだろう」
 それぞれの考えが、少なくとも相手の主張をことごとく否定するという形であり、そこに、
「共存」
 という形はありえないのだ。
 そして、この考えが、前者を、民主主義だと考えると、後者は、社会主義ということになる。
 その二つは、絶対に共存できない。なぜなら、社会主義というのは、
「資本主義の限界」
 という考え方から、生まれたものだからである。
 その考えが、裏となり表になるということで、精神疾患を患っている人にとっては、生きていくうえでの大きなヒントになる場合があるということであった。
 そのことをさらに研究するために作られたプロジェクトを、この、サナトリウムで実践するというわけである。
 サナトリウムというのは、かすみは、以前に一度だけ覗いたことがあった。
 それが、いつ、どこでだったのか?
 ということを忘れてしまっているが、今でも夢で思い出すということは、そこにある何かの結果が、形となって現れるということであり。
「夢と現実」
 というものが、
「自由と平等」
 の発想だと思うと、
「どちらかが、どちらかの限界を踏まえて、生まれたものではないか?」
 と考えるのであった。
 サナトリウムでの研究において、かすみの先祖が、どうやらかかわっていたということは、以前から分かっていたような気がする。
 母親から聞いたのか、誰かから聞いたのか、自分では意識はなかったことで、どこまでが意識のうちなのか、よくわかっていなかった。
 しかし、時々、その研究を行っていると思われる、
「ご先祖様」
 というような人が出てくるのだが、その人は、最近の人ではない。
 どちらかというと軍人に見える。
 サナトリウムが、結核病棟から、精神疾患相手に変わったのだとすると、軍人であるのはおかしい。
 ということは、かすみの中の考え方として、
「結核患者と、精神疾患には、何か関係があるのではないか?」
 ということが考えられるのではないか?
 という考え方であった。
 確かに、戦前では、サナトリウムは、完全に、
 「結核病棟」
  であった。
  結核患者を隔離することで、結核菌というものの蔓延を防いでいたわけだが、ここで結核患者から、何かを採取することで、これを、
「細菌兵器」
 という形で使おうと考えていたということは、聞いたような気がする。
 しかし、細菌兵器というだけではなく。結核菌を、
「精神疾患患者の特効薬として、利用できないか?」
 という研究が行われている部署があったということも聞いたことがあったのだ。
 しかし、それは、あくまでも、何かの対策だったと聞いたことがあった。
 それを夢の中で、最近よく感じるようになった。
 というのが、
「結核菌による、覚醒を使い、それが、戦争において、恐怖心を和らげる効果に使う」
 というものであった。
 当時は、日本でも、
「麻薬使用」
 というのは、厳禁だった。
 特に隣国の中国、さらには、日本の傀儡国家と言われた満州国でも、その猛威はすごいことになっているようだ。
 何しろ、
「アヘンというものの蔓延は、それ以前からすごいもので、特に、アヘン戦争からこっち、患者が増え続け、収拾がつかなくなっている」
 という。
 しかし、当時の傀儡国家を統治し、さらには、大日本帝国というものの存在を危機に瀕しないようにするためには、その存在は、
「絶対不可欠のものだ」
 といってもいいだろう。
 そうなると、大日本帝国は、アヘンを中心とした、
「化学兵器」
 の研究を行うしかなかった。
 特に、現代では、
「貧者の核兵器」
 と言われるほどの、核兵器や化学兵器。
 しかし、これを敵にまともに使うと、国際法上の問題となる。
 確かに、日本は満州国建国という既成事実と引き換えに、
「国際社会からの孤立:
 というものを選んだ。
 これは、考え方によっては、
「仕方がない」
 といってもいいくらいだったが、正直、あまりにも簡単に、脱退したということを考えると、
「日本は、国際的な孤立というものを、最初から予知していたのではないか?」
 ということも言えるだろう。
 国際的に孤立するとどうなるか?
「物資の致命的な不足は、日本だけが把握しているわけではなく、他の国にも分かっていることだった。だから、日本に対しては、経済制裁を行うと、必ず、南方資源を求めて、戦争に踏み切ることになる」
 ということは、どの国にも分かり切っていたことだっただろう、
 だから、相当な準備を他の国でもしていたのだろうが、実際に、日本の戦略をあそこまで完璧に青写真通りに行わせたことに、違和感を感じる人間は、少なくないような気がする。
 確かに、ナチスにしても、日本軍にしても、最初の電撃戦は、あまりにもうまくいきすぎている。
 かといって、ドイツと日本の間では、同盟を結んでいるとはいえ、事情がまったく違う。
 何といっても、第一次大戦が終わった時点では、正反対だったことは明らかだ。
 ドイツは敗戦国として、ベルサイユ体制で、虫の息状態だったのにも関わらず、大日本帝国は、逆に、戦勝国として、
「世界の大国」
 として君臨していた。
 それが、世界恐慌から始まる昭和恐慌などによって、
「天国から地獄」
 へと叩き落されたことで、満州の権益を手に入れ、中国問題との一気呵成な問題解決ということで、行われた、
「電撃作戦としての満州事変」
 が、ある意味、日本の運命を決定づけた」
 といってもいいだろう。
 その時、ある程度、
「日本は行く末が見えていたのではないだろうか?」
 というのは、
「孤立した時点で、国家の存亡は見えていた」
 つまりは、
「天国へ行く場合、地獄へと突き進む場合」
 とそれぞれに、運命が分かっていたことだろう。
 しかし、最初に進む道は、一つしかない」
 ということであれば、どちらい転ぶにしても、日本は前に進むしかない。
 本来であれば、見えているのは、
「天国か地獄か?」
 というそのどちらかなのだろうが、実際にその道を探ってみると、出てきた答えは、
「それぞれ極端な道」
 だということであった。
「まるで、人間の二重人格性のようなものではないか?」
 と考えられたようだ。
「国家が、二重人格性を持っているということは、人間というものを研究しないと、先に進めない」
 ということで、
「ひそかな、人間研究が行われていた」
 といってもいい。
 実際に、どこまでが本当か分からないとは言われているが、ある程度ハッキリした形での言い伝えとして、ハルビンに存在したという、
作品名:パラレル国家の真実 作家名:森本晃次