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三人三様

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 そして、個人情報保護ということであれば、当時、普及してきた、インターネットなどによるものが大きい影響を与えていた。
 というのは、
「コンピュータウイルス」
 という、
「サイバーテロ」
 あるいは、
「サイバー詐欺」
 の魁と呼ばれるものがあった。
 これは、
「ネット回線から侵入し、人の個人情報を盗んだりするもので、さらには、いったこともないサイトで、課金したかのような動作をするという、まるで、人間の身体に侵入し、健康を蝕むという、そんな状態を引き起こす」
 というようなものであった。
 これは、一種の、
「いたちごっこ」
 というものであり、
「ハッカーと呼ばれる連中が、コンピュータウイルスを開発して、それをネット上に蔓延させるところから始まり、その正体を知った、警察や、民間のソフト会社であったりが、その駆除ソフトを開発し、市販させる」
 ということであり、
「その間に、ハッカーがまた新しいウイルスを開発する」
 ということで、
「永遠に終わることのない、堂々巡りを繰り返している」
 といってもいいだろう。
 ただ、その時、少しうがった考え方をするのであれば。
「駆除ソフトを開発している人が、実は、裏で、コンピュータウイルスを開発しているのではないか?」
 ともいえるのではないか?
「そもそも、ウイルスを開発したのだから、その理屈は分かっているので、その仕掛けを解明する手間がいらない分、他の会社よりも早く開発でき、その分、収益が得られる」
 ということになるだろう。
 それが、いわゆる、
「いたちごっこ」
 というものに拍車をかけているようで、
「ただの噂」
 ということであればいい
 ということになるのだ。
 もし、そんな話を、根拠のない状態で、特定の企業を名指しすれば、それこそ、
「誹謗中傷」
 であったり、
「侮辱罪」
 ということになりかねない。
 特に、今の時代は、SNSというものを使えば、いくらでも、人や会社を誹謗中傷したり、侮辱できることで、最近では、
「自殺者が増えた」
 ということで、
「深刻な社会問題」
 となっているのだ。
 だが、この問題は、
「SNS」
 というものが、出てきた時から、
「こうなることは、最初から分かっていた」
 という人もいるだろう。
 確かに、
「SNSは便利だけど、その分、リスクも大きい」
 と言われてもいるようで、それを考えると、確かに、大きな問題となっていた。
 それは、あかねの勤める、
「風俗」
 というものにも言えることで、
「客が、塩対応された」
 ということから、ある種の掲示板などを使って、女の子が、源氏名なのをいいことに、源氏名を名指しで、誹謗中傷や悪口を書いている。
 これは、源氏名なので、
「個人情報の漏洩」
 というわけではない。
「こういう掲示板で相手を誹謗中傷するという意味では、却ってやりやすい」
 ということになる。
 ただ、最近では、規制も緩和されてきたようで、
「そんな誹謗中傷をした相手を特定する」
 という意味で、
「開示請求」
 を行ったり、
「侮辱罪」
「名誉棄損」
 という罪も、今までに比べれば、厳しくなったりしていることだろう。
 しかし、実際に、開示請求を行い、相手を特定したことで、相手を訴えるとしても、弁護士費用などの、
「支出」
 に比べて、相手からもらえるであろう、
「賠償金」
 などは、大したことはないということになる。
 つまりは、
「費用対効果という意味で、裁判沙汰にすると、却って損をする」
 ということになりかねないのだ。
 それなら、そんな相手なのだから、
「余罪もあるだろう」
 ということで、他の被害者を探して、その人たちと、
「集団訴訟」
 ということにすればどうだろう?
 費用対効果が実際に上がらないとしても、
「相手が、もう復帰できない」
 というくらいのところまでは行けるに違いない。
 それを考えると、
「仕返し」
 ということで考えれば、
「できるだけの溜飲を下げることはできるだろう」
 といえるだろう。
 それだけでも、今までからすれば、大いに進歩である。
 ちょっと前までだったら、開示請求すらできなかっただろう。
 開示請求というのは、
「相手を特定する」
 ということなので、それこそ、
「個人情報保護」
 という観点から、まともにできるわけはないということになるのだろう。
 特に、相手が、
「プロバイダー」
 だったりするので、
「顧客の信頼が大切」
 ということであろう。
 実際に開示請求にこたえて、調べてみると、
「間違いだった」
 などということになると、それこそ、
「取り返しがつかない」
 ということになる。
 もちろん、請求者は、一連の証拠を提示してからのことであろうが、今のように、法律で、
「開示請求が緩和された」
 ということであれば、プロバイダーとしても、
「それならそれで、問題ない」
 といってもいいであろう。
 掲示板の誹謗中傷の中には、
「塩対応に対しての、客の恨み」
 というのもあるだろうが、それよりも多いと言われているのが、
「同業者、特に同じ店に勤めている女の子の、嫌がらせ」
 というのが多いという。
「自分よりも人気がある」
 ということであったりの、やっかみや、
「今まで自分を指名してくれていた客が、その人に乗り換えた」
 などということである。
 確かに、
「客を取られた」
 という思いもあるのだろうが、しかし、その選択権は、あくまでも、客にあるわけである。
「毎回同じ子だと飽きるので、たまには、違う子に入ろう」
 と思うのは、当たり前のことだ。
 食事に行って、いくら好きだからといって、ほぼ毎日にように、
「回転ずし」
 を食べていたとして、さすがに飽きたということで、
「牛丼屋に行ってみたら、おいしかった」
 といって、そっちの店に入り浸るようになるというのは、人間なら普通にあることである。
 だから、それを、
「取られた」
 という感覚になり、相手の女の子を恨むというのは、筋違いもいいところである。
 もし、
「そうだった」
 としても、
「それは、彼女の営業努力が足りなかったのか?」
 あるいは、
「相手の女の子が、その男性に性格的にか、身体の相性があったのか?」
 ということなので、少なくとも、
「彼女を恨む」
 というのは、お門違いもいいところであろう。
 それを考えると、
「誹謗中傷」
 というのは、ほとんどにおいて、
「している人の思い込みであったり、被害妄想の表れでしかない」
 といえるのではないだろうか?
 そんなことを考えてみると、
「開示請求ができるようになったり」
 あるいは、
「訴えた場合の費用対効果というものが、それほどの差でなくなれば、
「行動に移す」
 という人が増えてくることであろう。
 それを思うと、
「相手に対して、恨みを晴らす」
 ということはもちろんのことながら、やる方としても、
「そんなに簡単いできることではない」
 ということで、
「抑止力」
 としての効果は、
「しっかりとあるのではないか?」
 といえることであろう。
 これは、同じ抑止力という意味での、
「核の抑止力」
作品名:三人三様 作家名:森本晃次