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三人三様

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 たぶん、一人一人の目線に立つと、きっと、それぞれに、あとの二人よりも、
「若干高いところから見ている」
 と感じられるに違いない。
 それは、一番年下の、大迫にしてもそうだ。
 むしろ、
「大迫とすれば、一番下っ端だから、それだけ背伸びしないと、まわりの二人に太刀打ちできない」
 ということになるのではないだろうか?
 それを思うと、
「三人の高さは、それぞれに中途半端で、下手に高すぎて、バランスを崩すということを警戒している」
 といってもいいだろう。
 そのことを一番意識しているのは、実は大迫であり。
 それこそ、
「社会人というものに、染まっていない」
 ということが、幸いしているといってもいいだろう。
 それだけ、社会人というのは、
「底なし沼」
 のようなところで、
「一生懸命にやっていても、結局は、毎日が同じことの繰り返しであり、余計なことをついつい考えてしまうことになりかねない」
 ということだ。
 ここでいう、余計なことというのは、
「今日は、本当に今日なのだろうか?」
 ということである。
「昨日の続きではないか?」
 と思うわけだが、それは、
「同じ日を繰り返している」
 という感覚と、
「午前0時を過ぎても、次の日がやってきていない」
 という時間が歪になってしまったというような感覚が、錯覚となって残ってしまったという思いである。
 どこか、
「SFチック」
 というようなことを考えるのは、坂口だった。
 坂口は、高校時代から、SF小説に興味があり、
「俺も書けるようになりたいな」
 と思ったりもしていたが、その感覚も、大学時代までで、社会人になった時、
「学生時代の感覚は、その場に捨ててきた」
 という思いがあり、最近になって、
「もったいないことをしたな」
 と感じるようになっていったのである、
 それが、坂口という男だったのだ。
 そんなことを考えていると、坂口は、自分の言った言葉で、大迫や、殿山が、それぞれ別の発想をしたのを見ることになった。
 というのも、
 坂口が口にしたのは、
「遊び」
 ということであった。
 その言葉を、大迫の方は、
「遊戯」、
 などのような、本来の意味の遊びを思ったようだ。
「さすがに学生」
 ということであり、その発想が、今までとは別の大迫を感じさせ、少し、不自然だと思えるような感覚になった。
 しかし、殿山の方は、その
「遊び」
 という言葉を、
「余裕がある」
 という意味での
「遊び」
 という言葉で解釈したようだ。
 しかし、その時、坂口が口にした遊びは、普通に、いっただけなのに、それを、殿山は、どうやら、
「余裕がない」
 という意味での、
「遊び部分がない」
 と解釈したようだ。
 それを見て、
「殿山という男は、言葉の裏を読む性格なんだろうな」
 と感じたのだ。
 坂口は、まわりから、
「あの三人の中では、一番いい加減な性格に見える」
 と見られているようだったが、人によっては、
「あいつは、結構しっかりとした考え方を持っている」
 という人もいる。
 確かに人間なのだから、人の見方によって、正反対に見えるということもあるだろう。しかし、
「それにしても」
 と思う人が多いことから、大迫などは、
「坂口さんは、二重人格なのではないか?」
 と感じたのだ。
 だから、なるべく、坂口の言葉を、最初は、
「額面通り」
 に受け取ることにしている。
 それで、辻褄が合わないなどであれば、その時は、疑ってみることにして、
「やっぱり、二重人格なんだろうな」
 と考えるようになったのだった。
 殿山が考えるに、そんな坂口という男は、
「最初から裏の部分しか見えていない」
 ということだったのだ。
 最初は、それが裏の部分だということは分からなかったが、大迫を見ていて、その態度に、裏を見ようとしている態度が見えたことで、
「坂口の見えている部分は裏なのではないか?」
 と感じるようにはなったが、さすがに、
「二重人格」
 とまでは思わなかった。
 そこまで感じたとしても、そのことで自分にメリットがあるわけでもない。
 実際に、
「坂口と一緒にいて、メロっとを感じさせることはないだろう」
 と思っていた。
 だから、それでもいいと思ったのは、
「大迫のことを、殿山が気にしていた」
 からだった。
 世の山は、大迫を意識していた、
「自分にとって、有意義な情報をもらえたり、性格が合うことから、いろいろ広がりが持てるように感じる」
 ということであったが、前述のように、その前には、
「坂口が立ちふさがっている」
 ということで、
「坂口を無視することはできない」
 という考えから、坂口も無視できなくなっていた。
 それでも、直接的な何かがあるわけではないので、それほど仲よくしようとは思っていなかったが、最近になって、坂口の二重人格性を感じることで、
「なぜ、大迫との間に、坂口が立ちふさがるのか?」
 ということが分かってきたような気がしたのだ。
 坂口が、自分たちをどう思っているかということは、殿山にとっては、
「あまり、気になる」
 ということではなかった。
 大迫の方では、坂口を意識しているようだったが、その理由は分からないし、
「知ろうという気もない」
 と思っていたのだった。
 坂口の話した、いわゆる、
「言葉の魔力」
 というものと、さらには、その坂口の、
「二重人格性」
 というものが、どのように、このお話にかかわっていくのか、いよいよ物語は、
「起承転結」
 の、
「転」
 の部分に差し掛かるということになるのであろうか?
 そこに、あかねがいかに絡んでくるか?
「乞うご期待」
 というところであろう。

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 前述の、
「遊び」
 という言葉の、
「言葉の魔力」
 というものであるが、実はこの時、あかねも別の発想をしていた。
 というのは、あかねが、
「遊び」
 という言葉を聞くと、他に何かが思い浮かんだとしても、自分にとって、切っても切り離せない因縁めいたものがあるのだった。
 というのは、あかねにとって、
「二人の介錯とも違っている」
 といってもいいが、逆に、それぞれの共通点を有したという意味で、
「その真ん中に位置している」
 といってもいいだろう。
 というのは、彼女が思った、
「遊び」
 というのは、
「風俗」
 のことであった。
「女と男が、金銭契約において、その一定の時間、架空の恋愛をする」
 という認識でいいのか。それとも、
「男性の性的欲求を、お金を払って、女性が解消してあげる」
 と言えばいいのか。
「潔癖症の人」
 であれば、そんな風俗営業を毛嫌いする人も多いだろうが、ここの三人は、別に、それを、
「悪いことだ」
 とは思っていない。
 むしと、
「お金で、ストレスを解消できるのであれば、女性側も、お金が手に入るのだから、ウィンウィンの関係だ」
 ということで、
「何が悪いということなのか?」
 と考えれば、別に問題ではないだろう。
 実は。あかねは、ここでアルバイトをしながら、こちらに入っていない時、風俗に行っていたのだ。
作品名:三人三様 作家名:森本晃次