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人を呪えば穴二つ

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 が拍車をかけたのだ。
 外人どもを雇うのは今に始まったことではないが、いろいろと問題もあった。
「パンデミック」
 が起こり、
「緊急事態宣言」
 や、
「マンボー」
 などというもののせいで、経済が回らなくなり、しかも、
「パンデミックが収まらない」
 という、アリジゴクのような状態になったことで、企業が潰れたり、リストラが横行したりと、悲惨であった。
 だから、収まってくると、今度は経済が回るようになったのに、いざ金儲けということになれば、
「首を切りすぎた」
 ということで、人手不足なのは当たり前のことだ。
 しかも、そんな状態で、安い賃金であれば、誰が来るというのか。ただでさえ、
「ブラック企業」
 というものが多かった時代ではないか。
 それを思うと、日本人でなければいけないような仕事でも、低能な外人どもを雇うという、
「安物買いの銭失い」
 ということになるのだ。
 最近では、そんな街の中心部のビルが、老朽化してきたということで、改築ラッシュが続いている。
 ほとんどのビルが取り壊され、新しいビルに生まれ変わるということであるが、何といっても、最初に計画されてから、すでに2年が経つのに、どのビルも、まだ、更地のままである。
 何といっても、この街から伸びている私鉄があるのだが、この私鉄が、市内の端あたりから、隣の市の間の4つの駅を高架にするということで、立ち退きが行われてから、実際に高架工事が進み、列車が高架で運行されるようになるまでに、何と、四半世紀、25年もかかったのだ。
 言語道断もいいというところであろう。
 しかも、高架になってからの線路の下は、ほとんどのところで柵が貼られていて、まったく運用されていないという体たらくであった。
 これは、一説に、
「私鉄会社の力が強くで、県庁所在地である市が頭が上がらない立場だから、私鉄側が、市から金を出させる計画をしていたので、なかなか工事が進まなかった」
 ということであった。
 嘘か本当かは分からないが、
「簡単に否定できない」
 というのも、本当のことだ。
 実際に、大雨や台風。大雪で電車が運行困難な時など、結構、自分たちで勝手に決めることが多い。
「さすが、殿様商売ときたものだ」
 と昔からのこの会社を知っている人は、そういうだろう。
「地元大手企業に、自治体ですら頭が上がらない」
 というもの、本当のことなのだろう。
 しかも、ここの市長というか、市の上層部の、
「頭の悪さ」
 というか、バカさ加減には、
「閉口してしまう」
 ということも結構ある。
 この計画を、
「ビックバン」
 などと称しているのだが、今回の計画を聞いた時、開いた口が塞がらなかった。
 というのも、
「ビルを立て直し、そこに、郊外へ移っていった企業を誘致し、街を活性化させる」
 などというものだったからである。
「都心部の家賃が高いから、郊外の埋め立て地であったり、以前、博覧会などで使った跡地にできたビルに移るという計画が、今から20年以上前くらいには、行われ、今では都心部の大手企業は、
「ほとんどない」
 といってもいいだろう。
 流通関係の会社などは、郊外に流通センターを建設し、そちらに本社、あるいは、支社機能を移転させるということをしているのに、
「誰が高い家賃の都心部」
 になど、戻ってくるというのだろう。
「ちょっと考えれば、子供にでも分かる理屈ではないか」
 ということであった。
 しかも、最近では、
「どんどん、支店を減らしていき、一部の機能だけを残す形のところだけを事務所化する」
 ということが増えていくことだろう。
 つまりは、
「都心部の本社、支社機能は、総務、経理くらいにして、営業などは、基本自宅を事務所扱いにして、こじんまりとした部屋を借りるだけの、経費節減を目指しているのが、今の主流だ」
 ということである。
 だから、
「5年後には、支店の数を半分にする」
 などという、
「大それた」
 計画を真剣に考えている会社もあるくらいだ。
 本部との必要な問い合わせや書類の授受は、
「テレワークによって行う」
 ということが、当たり前のようになるだろう。
 すでに、もう実施している会社も多いだろう。
 というのも、数年前に発生した、
「世界的なパンデミック」
 というものが、その傾向に拍車をかけたのだ。
 まったく未知のウイルスが、世界中ではやることで、
「水際対策を徹底し、人流を抑える」
 ということが当たり前の対策だったのに、
「平和ボケ」
 の政府の甘い考えが、流行を促進し、
「マズい」
 と思った時には、流行を止めることができなかった。
「世界的に流行している」
 と言い始めた時期であったにも関わらず、政府は、4か月経って、やっと、
「学校閉鎖」
 を行い、その数週間後に、
「緊急事態宣言」
 を発したのだ。
 しかも、
「鎖国状態」
 にしたのは、宣言が出るちょっと前で、本来なら、
「初期段階の手立てとしては、鎖国状態にするという水際対策が必須だ」
 と言われているのに、いまさら宣言を出したって、どんどんウイルスがその端から流入しているのだから、
「本末転倒だ」
 といっても、無理もないことであろう。
 そんな状態の街において、さすがに国民も恐怖を感じたのか、
「強制力のない宣言」
 に対して、我慢ができたのは、いいことだったのだろう。
 しかし、政府の対策があまりにも愚策であったり、時期を逸していたりしたので、流行に、対策が追いつくわけなどなかった。
「政府の対策は、後手後手」
 ということで、国民からの非難はひどいものだった。
 しかも、流行中に起こった、
「医療崩壊」
 では、実にひどいものだった。
「受け入れ病院が見つからず、救急車の中で、ばたばたと人が死んでいく」
 という、ひどいものだったのだ。
 現場の人たちは必死にやっているのに、どうすることもできない。
「そもそもの政府の対策の遅れであったり、初動における、水際対策の大失敗が、ずっと尾を引くことになった」
 という。
 しかも、2年目で訪れたオリンピックであったが、国民の8割が反対しているというのに、当時のソーリは、強硬した。
「これを民主主義だといってもいいのか?」
 ということで、オリンピックを強行したことで、次の選挙では、出馬することさえ許されない立場に追い込まれたのだが、明らかに、
「自業自得」
 というものである。
 普通なら、
「気の毒だな」
 と思う人も少々はいるのだろうが、さすがに、
「医療崩壊」
 で、死んでいった人たちを見ていて、
「次は、自分に起こっても不思議のないことだ」
 というリアルな恐怖がそばにあれば、
「もう、笑いごとではない」
 ということになるであろう。
 この時発出された、
「緊急事態宣言」
 であるが、人流を抑えるために活躍したのが、テレワークというものであった。
「学校は閉鎖になっていて、サラリーマンも必要最小限での出社以外では、テレワークなので、電車も少ない」
 ということであった。
 朝のラッシュ時間など、
「これじゃあ、日曜日の朝の方が多いくらいだ」
 といっていたくらいだった。
作品名:人を呪えば穴二つ 作家名:森本晃次