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人を呪えば穴二つ

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「中学生になってから、初潮を迎える人もいれば、小学4年生くらいで初潮を迎える人もいる」
 ということで、個人差は激しいのだ。
 男性の場合には、女性のように、特徴的な変化があるわけではないので、分かりにくいと言ってもいいだろう。
 胸が大きくなるわけでもないので、分かりにくいのだ。
 それに、身長も、思春期であれば、女性の方が高い子が多いくらいに成長が早いと言ってもいい。
 身体がそもそも違うのだから、その違いがどこから来るのかということを考えると、
「身長の高さ」
 というくらいしかないだろう。
 ただ、女性というものを見た時、明らかな男性との違いから、その成長を見ることで、男性が女性に対しての、性を感じるようになったとしても、それこそ、
「思春期というものの感情だ」
 といえるのではないだろうか?
 女の子も、男の子も、
「性に対しての感情は同じくらいに大きいのではないだろうか?」
 ただ、女性というのは、その身体の変化の大きさと、子供を産むために、デリケートになっているということから、男性と違って、
「大胆にはなれない」
 ということではないだろうか。
 特に、思春期を迎えた後、大人になるということは、
「身体も大人になっていく」
 ということで、
「別に思春期の成長で、身体の発達が終わる」
 というわけではないといえるだろう。
 まわりも、そのことを必要以上に意識するからか、特に男性の見る目のいやらしさは、
「潔癖症でなくとも、気持ち悪いと思うに違いない」
 といえることだろう。
 かずきは、高校生の時、
「もう少しで襲われる」
 というところまできたことがあった。
 ちょうど、自転車が通りかかったことで、襲い掛かってきた男が逃げ出したので、
「事なきを得た」
 と言ってもいいだろう、
 かずきは、それを誰にも言わなかった。言ってしまうと、
「後が面倒くさい」
 という考えだったのだ。
 彼女は、
「潔癖症」
 ではあったが、
「勧善懲悪」
 というわけではない。
 ある意味、
「面倒くさがり屋だ」
 と言ってもいいだろう。
 そんな中学時代に、
「レズビアン」
 というものを知ったかずきだったが、その時にかかわったことがあった女性の中にいたのが、みさきだったのだ。
 みさきが行方不明になったということで、いろいろ調べられたのだが、みさきを、殺人の
「重要容疑者」
 ということで、犯人というよりも、保護という意味を含めたところでの、捜索願から、
「指名手配」
 という意味合いの深い、捜索願だったのだ。
 そして、同時に、みさきの部屋も、
「捜索令状を取って調べられることになった」
 のだが、そこで、意外なものが発見されたのだった。
 事情を知っている人は、それほどの驚きもなかっただろうが、事件の概要を分かっている警察としては、この事実は、事件を考えるに、唸ってしまうようなことであった。
 というのも、
「みさきの部屋にあったのは、かずきの部屋の合鍵だった」
 ということである。
 確かに、みさきとかずきが、レズビアンであるということを分かっているので、そこまで考えることはなかったのだが、合鍵ともなると、
「レズビアンの関係」
 であることを、決定づけるものであった。
 そして、もう一つ見つかったものがあったのだが、それがなんとも意外なものだった。
 というのは、
「これは、店の誰も知らない」
 と言っていたことであったが、かずきの
「借用書」
 であった。
 これは、二人の間のものということではなく、どうも、れっきとした会社の借用書であった。
 しかも、
「法律的には生きているもの」
 ということで、
「なぜそんなものが、個人の女性の部屋にあるというのか?」
 しかも、それが、
「知り合いの借用書だということがどういうことになるのか?」
 ということを考えると、
「二人の関係が、まさにどういうことになるのか?」
 と考えると、難しいと言ってもいいだろう。
 これは、
「二人がレズビアンだ」
 という事実よりも、リアルで深いものなのだが、それだけ、
「レズビアン」
 という関係が、歪なものであり、
「そこに金銭が絡んでいる」
 ということになると、理屈が分からないという状態ではないだろうか?
 そして、かずさが残していったではないかと思われる言葉が、その借用書の近くに置かれていた。
 その言葉は、
「裏切者」
 と書かれていて、
「それが誰のことを言っているのか、そして、今回の事件にどのようなかかわりがあるというのか?」
 ということを、桜井刑事は、考えていた。
「裏切者」
 という言葉が、かずきに対してのものなのか?
 だとすれば、この借用書を自分が持っていることで、
「もし、かずきの死体が見つからなければ、これを持っていることで、
「誰かから逃げている」
 と言ってもいいだろう。

                 大団円

 今回の殺人が、実は、
「交換殺人ではないか?」
 と考えたことで、どこかの理屈がかみ合ってきたような気がした。
 今回の犯罪と。
「切っても切り離せない」
 という関係にあるのが、レズビアンという関係であるが、この関係に、最初から嫌気を出していたのが、かずきであった。
 かずきは、みさきのことを最初は気に入っていたが、次第に、相手の方がその気が強いことに気づくと怖くなってきた。
 そこで、最初は、自分から切り離すということと、自分に付きまとっている男から逃れるということを考えて、
「二人を殺したい」
 という衝動にかられた。
 しかし、その時、
「どちらか弱い方が、自分をそんなに問題としないことを考えた時、そっちを、
「誰かに殺させよう」
 と考えた。
 その時に使う手段として、
「金銭的なことであれば、相手も従うしかないだろう」
 ということで、かずきを最初は、
「誰かを殺させる実行犯」
 にしようと考えた。
 しかし、かずきは、それを知ってしまうと、
「みさきという女を、手下のように使う」
 という計画が狂ってしまった。
 だから、彼女に借金を背負わせることで、その力をそぐことにしたのだった。
 相手の男は、かずさという女を自分のものにして、自分で操りたい」
 と思っていたのだが、それが、バレたのか、かずきに、利用されることになった。
 それ、まるで、
「三すくみの関係」
 と言ってもいいだろう。
 それぞれに、相手に対して力が及ぶことで、
「三つ巴」
 になり、
「お互いに手が出せる関係にはない」
 ということを、
「利用しよう」
 と考えたのだ。
 交換殺人というと、
「本来の動機のある人間に、絶対的なアリバイを作る」
 ということで成立するものであるが、逆にい、それは、
「自分も相手も動けない」
 という、
「もろ刃の剣」
 ということになるということを示している。
 それを考えると、
「動機が何か?」
 ということが、まずはっきりとしていないといけない。なぜなら、その人のアリバイを完璧にすることで、
「犯人は存在しない」
 とでもいうかのように仕立てあげ、
「完全犯罪」
作品名:人を呪えば穴二つ 作家名:森本晃次