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人を呪えば穴二つ

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 ということで彼女を探すのは当たり前で、他の人の捜査と並行しなかがら、みさきの行方を追っている。
 疑われるには、それなりの理由があった。
 まず、このみさきという女性は、被害者のかずきとは同じ店に勤めていて、お互いに、最初は意識しているわけではなかったが、どうやら、
「お互いに気にかけている男性が同じ男性である」
 ということが分かったからだ。
 店の中では、二人とも、その男性に対してのアプローチは結構なもので、ママさんも、
「なるべく二人を同じ日に勤務させないようにしよう」
 と考えていたのだ。
 ただ、少し気になっていたのが、二人が好きになった男性というのが、どうも、
「素行のいい客」
 というわけではないようだった。
 ママさんは、なんとなく分かっていたが、客であることに変わりはなく、キチンと毎回、普通に金払いもいいので、
「気のせいかしら?」
 と思ったくらいだった。
 だが、実際には、どこかチンピラのようなところがある男で、それだけに、女遊びも慣れているのかも知れない。
 ママさんとしても、二人の従業員が喧嘩になるのはありがたいことであるわけもない。それを思うと、
「勤務日を分ける」
 というくらいしか、方法はなかったのだ。
 そのうちに、今回殺された、
「かずき」
 が、結構お店を休みがちになっていた。
「あの男のせいかしら?」
 と思ったのは、最近、その男が店にくる機会が減ったからだ。
 それでも、みさきが店にくる時を狙ってきていたので、
「疑っては失礼か?」
 と感じるようになった。
 そもそも、
「もし、欠勤が多くなった理由が、男にあったとしても、そのことで客をとがめるということはしてはいけないだろう」
 と思ったからだった。
 男は、名前を、
「河東」
 といい、以前にもらった会社の名刺では、どこかの建設会社の社員ということであった。
 この男がこの店に最初に来たのは、1年くらい前だっただろうか、常連ということになったのは、来初めてから、数か月だったので、結構いい客だと、ママさんは思っていた。
 かずきが、結局最近殺されたわけだが、最初は、その犯人を警察は、
「河東だ」
 とほぼ決めつけて、捜査をしていたようだ。
 しかし、河東には、
「完璧なアリバイ」
 というのがあった。
 というのは、ちょうどその時、
「東京出張」
 にいっていたというのだ。
 東京では、
「出張先は、23区ではなく、だいぶ奥まったところにある支店への出張だったようで、そのビジネスホテルへチェックインして、支店に向かった時、そして、支店での対応を終わり、ホテルに戻ってきた時と、証人もいれば、何といっても、会社の人たち居皆が証人ということなので、これ以上のアリバイはなかった。
 ということになると、一番怪しいのは、
「みさき」
 ということになり、そのみさきが行方不明だということになれば、それは当然。
「第一容疑者」
 ということになるのだ。
 最初こそ、二人は、
「一人の男をめぐって、争っていた」
 という構図があったのだが、そのうちに、違うウワサが流れてきたのだった。
 というのは、
「みさきと、かずきが、レズの関係」
 ということであった。
 ただ、どちらかが、その関係を解消したいと思っていたということで、二人の間に亀裂が走った頃、河東が現れたというのだ。
 解消したいと思った方からすれば、河東の出現はありがたかった。
 そもそも、
「解消したい」
 といいだしたのは、かずきの方だったようだ。
 これは、あとになって分かったことだが、その方が、
「なるほど、納得がいく」
 ということだったのだ。
 二人がどうして、レズの関係になったのかというと、詳しいことは分からなかったが、それに関しては、ママさんが知っていた。
「元々は、かずきさんが迫ったようなんですよ」
 という、
 その理由としては、
「当時、かずきさんは、プライベートで離婚をしたというんです。その理由が、かずきさんの不倫だったようで、かずきさんは、どうも、男性から誘われると、断り切れない性格だったようで、よく男性から狙われていたということだったんですよ」
 と警察に話した。
「そんな時、ちょうど入ってきたのが、みさきさんで、二人は結構意気投合したようなんです」
 というのだった。
「それで、すぐに二人は、レズの関係になったんでしょうか?」
 ということであったが、実際には、
「そんなことはなかったですね、かずきさんには、最初はレズの気はなかったからですね。むしろ、レズ気があったのは、みさきさんの方で、最初は私にモーションをかけてきました。もちろん、私はだの拒否をしました、それで、かずきさんに行ったようです」
 とママさんは言った。
「かずきさんが、引っかかってしまったということでしょうか?」
 と刑事が聞くと、
「それはあるかも知れないですが、彼女も離婚問題があったので、精神的に不安定だったのか、それとも、、計算ずくで、旦那に対しての計算がそこにはあったかも知れないですよね」
 とママさんは言った。
「というと?」
 と刑事が聞くので、
「いえね。どうも、そのすぐ後に、少しもめていたはずの、かずきさんの夫婦が、そのすぐ後に、協議離婚したと聞いたんですよ。あの状態なら、よくても、調停離婚だと思っていたのに、そこまでならなかったのは、とにかうすぐにでも離婚したいという意志があったからではないかと思ったんですよね」
 という、
「じゃあ、旦那の方も不倫していたとか?」
 と刑事がいうと、
「それはあったかも知れないですね。でも、だからといって、そんなに簡単に離婚するなどとは思ってもいませんでしたね」
 というではないか。
「もし旦那さんが急いでいたとすれば、それは、かずきさんにとっては、、願ったりかなったりということだったんでしょうね?」
 と刑事が聞くと、
「そうですね。でも、あの夫婦は、一筋縄ではいかなかったような気がするんですよね。それも、お互いがお互いだった気がして」
 とママさんがいうので、
「それはどういうことですか?」
 と聞くと、
「詳しいことは分からないんですが、離婚交渉は、結構もめていたということですが、それは、別に金銭的なことでもめていたというわけではないんですよ。だけど、表向きには、金銭的なことが理由のように言われていたので、そのあたりとところが、どうにも分からないというのが、まわりの見解でしたね」
 とママさんが言った。
「やっぱり、協議離婚だったというのが何か気になるところなんでしょうかね?」
 と刑事が聞くと、
「それはあると思います。本来なら、調停離婚の方が、きちっとした決め事ができるし、特に金銭的なこととなると、分かりやすいからいいと思うんですよ。もっといえば、時間的にも早いですからね。そして、最大のメリットは、お互いに顔を合わせなくてのいいというところでしょうか?」
 とママさんがいうと、
「そうなんですか?」
 刑事はどうも、この辺りは詳しくないようだった。
作品名:人を呪えば穴二つ 作家名:森本晃次