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破滅に導くサイボーグ

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「ねずみ算的に増やす」
 という発想が生まれてきた。
「吸血鬼に血を吸われた人間が、今度は自分が吸血鬼になって、他の人を襲い、また、吸血鬼化してしまう」
 というものであった。
 そうやって、どんどん増えてくると、
「昼間は、普通の姿なのだが、何かのきっかけで、吸血鬼に変わり、獲物を探してさまよい歩く」
 という、まるで、ゾンビ映画のような発想であった。
 そんな状態において、
「変身することによって、まったく違う人間が形成される」
 いや、その人は姿かたち、性格など、すべてが、悪魔のように変わってしまうのだ。
 だから、普段と変わってしまったことで、
「自分がカプグラ症候群に襲われている」
 というように、
「替え玉」
 なのか、それを、
「幻覚だ」
 と思ってしまうことが、それこそ、
「カプグラ症候群」
 ということになるのだろう。

                 悪魔の人間兵器

 このような人間兵器というのは、どういうものなのだろう?
 最初は、オオカミ男として君臨し、それが、人を襲うことで、ドラキュラのように、吸血鬼を増やすということなのか?
 とにかく、発想としては、いかにこの世を、
「人間兵器というものにするか?」
 ということであったが、教授にも、それなりに、人間としての、モラルのようなものがあった。
「もし、研究に成功したとしても、その使用は、最後でなければならない」
 ということだった。
 それは、戦争に勝っている時であっても、負けている時であっても、同じことである。
 まずは、
「勝っている時」
 の発想であるが、
「戦争に勝っている時は、何も、こんな兵器を使う必要はない」
 と考えるが、この兵器を使うことで、
「早く戦争を終わらせることができる」
 ということであった。
 相手に対して、最後のとどめということで、相手に、戦意を喪失させる効果があることで、相手に、
「参った」
 と岩瀬、和平交渉にて、
「自分たちがいかに、優位な条件で、戦争を終わらせることができるか?」
 ということである。
 和平交渉の場合が、一番問題なわけで、
「特に勝っていての和平の場合は、どこまで、自分たちに優位にことが運べるか?」
 ということが大きな問題になるのだった。
 というのも、
「負けている方は、何とか被害を最小限にできるか?」
 ということだけが焦点なのだが、勝っている方はそうもいかない。
 国民が、
「犠牲を払ってまでの勝利を導いたのは、国民一人一人の努力だ」
 と思っているからであろう。
 だから、
「どれだけの褒美がもらえるか?」
 ということが、少なくとも最低ラインを超えることが必要だ。
 そうでなければ、
「暴動が起こっても無理もないことだ」
 というのも、以前の戦争において、
「戦況は、勝っていのであるが、実際には、これ以上の戦闘は無理だ」
 ということで、和平交渉に入れたのは、タイムリーなことであり、結果、
「相手との痛み分け」
 ということで、
「領土獲得」
 というのはうまくいったが、
「賠償金」
 というものが取れなかったということで、世論が沸騰し、暴動化したのだった。
 公園は、焼き討ちに遭い、その時の外務大臣や、全権大使として、和平交渉に臨んだ人のことを、糾弾するという意味で、家に石を投げたりなどして、治安が大きく乱れ、
「大日本帝国初」
 という、
「戒厳令」
 というものが、敷かれる事態になったのだった。
 そういう意味で、
「勝っている時の和平交渉」
 というのは、難しいといってもいいだろう。
 教授が、この村にきて、もう一つ感じたことが、今回の
「変身」
 をテーマにした開発に、もう一つのヒントを与えた。
 というのが、
「時間の感覚が違っている」
 という発想だった。
 変身をさせるためには、
「今の青年男子を、改造手術のようなもので、エージェントいしてしまおう」
 という発想しかなかったが、さすがに、それは、人道的に許されることではなく、結局、「人間が減ってくる」
 ということには変わりはないといえるのではないか?
 と考えられる。
 だとすると、
「満月の夜にだけ、生まれてきた男の子の、何人かは、潜在的に、
「変身機能」
 を持っていて、何かの現象によって、スイッチが入ることで、
「兵士」
 として、覚醒するということになるのではないだろうか?
 そもそも、変身というのは、今回の場合は、
「戦争に使う兵器の開発」
 ということであった。
 この時代には、生まれてきても、それは、
「大日本帝国の子供」
 であり、ひいては、
「天皇陛下のための子供」
 ということで、
 ある程度の年齢になると、
「徴兵」
 ということで、
「兵隊にとられる」
 ということであり、元々の、
「職業軍人」
 というだけではなく、ある年齢の者が一定期間入隊するという、
「兵役軍人」
 というものの二つがあるのだ。
 平時でも、そうなのだから、これが
「有事」
 ということになると、
「国家総動員」
 ということで、一気に、
「戦争機運」
 というものが、沸騰してくるというものである。
 戦争において、どのような、
「国家総動員」
 ということになるのかということを考えると、
「我々は、どのような戦闘をしなければいけないのか?」
 ということであった。
 生まれてからすぐ、
「人間兵器」
 としての変身機能を有した者は、
「兵役軍人」
 というわけではなく、最初から、
「職業軍人」
 ということになるだろう。
 もっと言えば、
「彼らは、最初から軍人になることが決まっているのであった」
 そんな、
「人間兵器」
 の開発は、
「来るべき、戦争に備えて」
 というものであるが、どうも、
「想像していた以上に、その時、つまり、Xデーというものが、早い」
 というのが分かってきた。
 世状は厳しいものだった。
 そもそもの、
「人間兵器」
 の発想は、
「生まれてからすぐに、その返信効果を植え付ける注射を行う」
 ということで、変身という、
「潜在能力」
 を植え付けることが、この研究の基本的な部分であった。
 だから、彼らが、
「いかに、その間、いろいろな経験をすることで、覚醒に近づいてくるか」
 ということが問題で、少なくとも、身体の発育は、そのままでないと、
「最大の兵器としての効果がない」
 ということになるのだった。
 しかし、実際の戦争は待ってくれないようだった。
 何といっても、軍というものが、
「天皇直轄」
 という、そんな状況であることから、
「軍部は、政府も口を出せない」
 という、どうしても、閉鎖的なところが、暴走したということになるのだが、それも致し方ないことであった。
 だから、大日本帝国が戦争に突き進んだ時、一番の失敗の一つとして、
「ドイツと手を結んだこと」
 ということになるかも知れない。
 ひょっとしてではあるが、ドイツと手を結んでさえいなければ、日本が中国に進出してきた時、欧米列強からの、
「経済制裁」
 というものはなかったかも知れない。
 中国侵攻によって、中国側が、どんどん撤退していくことで、
作品名:破滅に導くサイボーグ 作家名:森本晃次