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破滅に導くサイボーグ

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 ということだった。
 それは、あくまでも、
「満月の夜に、男の子ばかりが生まれる」
 ということに気づいた村人が、
「その理屈を大義名分として、説明がつくように、伝説として口伝で伝えてきた」
 ということではないだろうか?
 そのうちに、その伝説を、
「おとぎ話の口伝」
 であるかのように仕立てれば、
「大義名分も、そんなに騒がれることもないだろう」
 ということであった。
「満月の夜に、男の子ばかりが生まれる」
 などというウワサガ立てられれば、その原因を勝手な理屈をこねて、
「妖怪の類だ」
 ということで、一刀両断されてしまうと、村の存続というものが、問題だということになるだろう。
「伝説の一つ」
 ということにしてしまうと、
「他の村にも伝わっている妖怪の類だ」
 ということで、ごまかすことができるというものだ。
「木を隠すなら森の中」
 という言葉があるが、まさにその通りではないだろうか。
 特に、このような、
「村の存続にかかわる」
 というようなことは、
「村の伝説」 
 として。しかも、
「口伝」
 ということにしてしまうと、ごまかしも利くということである。
 そんな伝説をさらに深くしようと考えたのが、
「祠の隣にある神社ではなかったか?」
 村人の一人が、そのようなことを口にしていた。
「村に昔あった神社なんだけど、あそこは、今は取り壊されて、祠を立てたということなんだけど、その時の神社にあったものが、近くに埋められているということなんですが、それがどこにあるか、まったく分からないんですよ。未来の人間に分かっては困るということだったのか、昔から、その秘密を探ろうとしていた人が、災難にあったということは、伝説として残っているわけですよ」
 というのだった。
「それもおかしな話のような気がしますね。どうして、神社を壊したのかということも問題だし、その神社の存在を知られたくないということなのかも知れないけど、その理由が分からないですよね」
 というと、そこで、この村人が、
「昔から伝わっているはずの伝説がこの村にはあるはずなんですが、それが何かということを分からなくするためではないかと思うんですよ。今残っている伝説としては、満月の夜に、男の子が生まれるというもので、先生は、その伝説を調べにきたんですか?」
 と言われた。
「ええ、そうなんですが」
 というと、
「なるほど、この村に、今までにも何組か、大学の先生が調べに来たことがあったんですが、結局、どこまでわかったのかわかりませんが、学会などで、分かった秘密を暴露できるものではないということでしたね」
 ということであった。
「伝説というのは、公開してはいけないと感じたのかも知れないですね」
 と、鮫島教授は、そう考えたのだった。
 その次に訪ねてきた村人からは、
「この村に伝わる伝説というのは、海外の物語に似たものがあると聞いたことがある」
 ということを言っていた。
 それが、
「オオカミ男」
 なのか、
「吸血鬼ドラキュラ」
 なのかということまでは分からなかった。
 相手が、敢えて言わなかったということなのか、それとも、
「いわない方がいい」
 ということで、ヒントのようなものだけにとどめておいたのか、
 とにかく、教授ということで、
「ピンとくる」
 と感じたのだろう。
 そもそも、
「満月」
 ということで、
 最初に思い浮かんだ伝説というと、
「オオカミ男だ」
 というのは当たり前のことである。
 そして、月という発想から、
「吸血鬼ドラキュラ」
 を思い浮かべるのも当たり前ということだ。
 それぞれの話に、
「月が絡んでいる」
 ということは、
「満月の夜」
 というキーポイントを聞くことで分かったことだったのだ。
 だから、この村の伝説として、
「満月の夜」
 という言葉を聞いた時、教授は、その言葉が気になったのだ。
 自分が、
「軍医を目指している」
 ということも、その一つに入っているのだろう。
 この時代になると、戦争というのも、
「大量殺戮兵器」
 というものが開発されていく時代だった。
 元々は、第一次世界大戦であるが、最初は、
「そんなに長引く戦争ではない」
 と言われていたが、実際には、
「塹壕戦から始まり、大量殺戮の時代」
 に入っていったということである。
「塹壕戦」
 というのは、相手の弾丸が当たらないように、壕を掘って、少しずつ相手に近づいていくというものであった。
 その頃になると、大砲や機関銃というものが、戦争で使われるようになり、
「隠れて進まないと、ただ、相手の標的となり、兵を減らしていくだけだ」
 ということになるのだった。
 だから、穴を掘って、そこを進みながら、相手が出てきたところを、
「撃っては隠れる」
 という、相手から身を守るために、実に原始的な方法で、進むしかないという戦争形態であった。
 だから、戦争では、
「完全な膠着状態」
 ということになり、それこそ、
「大消耗戦」
 ということになるのだった。
 実際に塹壕というと、そこには、水たまりができたりして、衛生面では最悪となり、
「病気の蔓延」
 であったり、
「塹壕の後遺症」
 というもので悩まされるという人が増えるのだった。
 元々、
「クリスマスまでには帰ってこれる」
 というようなことで、
「数か月で戦争は終わるだろう」
 と言われていたが、実際には、
「数か月どころか、4年も戦争をしていた」
 ということだったのだ。
 最初の方の、
「塹壕戦」
 によって、兵もくたびれてしまい、完全に、戦闘意欲を失うような膠着状態に陥ったことで、各国ともに、
「一気呵成に、戦争を終わらせるにはどうすればいいか?」
 ということで、いろいろと模索された。
 しかし、膠着状態を打ち破る方法としては、結局、
「相手を撃滅するしかない」
 ということで、塹壕戦の膠着状態を打ち破る兵器が必要になってくるのであった。
 それが、向かう先というのは、結局、
「大量殺りく兵器」
 ということになるのだ。
 まず考えられたのは、
「相手の機関銃を跳ね返す、鋼鉄の馬とでもいえばいいのか、それが、戦車というものだったのだ」
 鋼鉄で守られ、相手に攻撃を加える
 という新兵器である。
 もう一つは、航空機というものだった。
 ライト兄弟によって発明された航空機が、実際に戦場で大いに威力を発揮するのは、第一次大戦以降になるのだが、それでも、偵察などの任務をこなしたのだから、立派な兵器といえるだろう。
 そして、大量殺戮という意味で、
「人類の歴史を、黒歴史」
 にしてしまった最初の兵器として、
「毒ガス製造」
 というのがあった。
「無色無臭の毒ガスは、相手の風上に陣を張って、そこから空気中にまけばそれでよかった」
 ということである。
 たくさんの兵士が死亡し、死ななくても、失明したりなどの後遺症に悩まされることになる。
 今でも、
「戦争においては使用禁止兵器」
 ということで、毒ガスは、言われている。
 何といっても、毒ガスを開発したドイツ人の科学者に、
「毒ガスの父」
 と呼ばれる、
「フリッツ・ハーバー」
作品名:破滅に導くサイボーグ 作家名:森本晃次