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疑心暗鬼の交換殺人

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 と言われたが、実際には、この4年間に、何度も発症している人もいる。
 それは、たぶんであるが、
「変異によって、前にできた抗体の効き目がない状態になっているのではないだろうか?」
 と言われるのであった。
 確かにそれはいえるかも知れないが、流行出した時に、誰かが、
「抗体を早めに作っておけば、皆後になっての大流行がない」
 ということと、
「最初に集団でかかることで、集団免疫」
 というものができて、それ以降の、流行はなくなるので、
「最初に、皆罹ってしまえばいいんだ」
 というような、極論と言っていたやつがいたが、さすがに、有識者の人たちからは、
「根拠のないデマ」
 ということで、一蹴されていた。
 そもそも、
「未知のウイルス」
 というのだから、有識者であっても、完璧に分かっているわけではないが、
「少しでも、いい方向に導こう」
 ということでの、
「専門家」
 の意見として、聴く分にはいいのではないだろうか?
 実際に、4年くらいの間に、どれだけの変異があったのか?
 実際の
「波」
 というのは、国によってかなりの差があったが、日本の場合は、
「大きな波が3つくらいで、小さな波を含めると、10個未満くらいだっただろう」
 といえる。
 その時の、
「大きな波」
 というのが、
「変異の時だったのではないだろうか」
 つまりは、
「変異を重ねることで、強くなっているのか、弱くなっているのかは、よく分からないが、それも、ウイルスの種類によって違うのかも知れない」
 特に、今回は、未知のウイルスだけにそうなのだろう。それこそ、
「作った連中にきいてくれ」
 ということであった。
 一般的に、ウイルスは、
「変異を繰り返すたびに弱くなる」
 と言われている。
 つまり、
「変異を繰り返しながら、衰えていき、パンデミックが終わる」
 というのが、ウイルス系の伝染病が流行った時のパターンであるということを聞いたような気がしたのだ。
 そんな時代の中で、世の中もいろいろと変わった。
 まずは、
「マスクをして、人との距離を取るのが当たり前となり、レジの前には、大きなビニールシートが張られていたり、お店などのレジでは、入り口と出口が別だったりするではないか」
 そんな状態で、特にマスクをしている人が、当たり前のようになってくると、
「本来であれば、怪しい人というのが、よく分からなくなってくる」
 ということである。
 しかも、今の時代は、
「いたるところに防犯カメラがある」
 という時代である。
 しかも、今の時代は、
「コンプライアンス違反」
 と同じくらいに、ここ数十年で言われるようになったこととして、
「個人情報の保護」
 というものである。
 つまりは、
「プライバシーの尊重」
 ということなのだが、それは、主に、
「ネット詐欺」
 というものから身を守るためということが大切になってきているということであろう。
 そして、もう一つ、言われるようになったことからの派生としてになるのだが、
「ストーカー問題」
 によって個人を特定されることで、プライバシーが守られないどころか、身の危険にも晒されるということになり、実際の犯罪を誘発するということになるのではないだろうか?
 そんな世の中で、
「ネットの普及によって、それまでにはなかったものが、当たり前といわれるようになったことで、犯罪が増えてくるのを防止する」
 という意味で、
「個人情報保護」
 という観点が大きくなってきたのだろう。
 だから、本来なら、
「個人情報保護」
 という観点と、
「防犯カメラの設置」
 というのは、それぞれ反転している問題だといえるのではないだろうか?
 そんな防犯カメラに映っているかどうか? それを調べてほしいという人がいたのだ。
 というのが、どうやら、
「何かおかしい」
 ということを警察に言ってきたので、話を聞いてみると、何やら、殺人予告のようなおのがあったというのだ。
「殺人予告?」
 と、警官は、キョトンとしている。
「そんな今の時代に、まるで小説のようじゃないですか」
 と聞くと、
「そうなんですよ。しかも、それがおかしなことに、その殺害をするという相手なんですけど、その人は、もうすでに死んでいる人なんですよ」
 というではないか。
「それじゃあ、ただのいたずらなんじゃないんですか?」
 と警官がいうと、
「ええ、それだったらいいんですけど、実は、今回の殺害予告を受けた人が、日記の中に。自分が殺されるかも知れないということを書いていたところがあったんですよ」
 というのであった。
「それはビックリですね。ところで、その殺害予告をされた人が亡くなったのは、病気か何かですか?」
 と聞くので、
「ええ、そうなんですよ。余命宣告も受けていて、その日記の部分には、自分を殺したい人がいれば、遠慮なく殺させればいいということまで書いていて、普通だったら、どうしてそんなことを書くのかということが気になるんですが、どうしても、余命が分かっているということで、何か精神的にも蝕まれていたのかも知れないと思って、あまり気にしていなかったんです。でも、実際に、その殺害予告というものが実際に来たので、ちょっと気持ち悪くなってですね」
 というではないか。
 その人がいうには、
「マンションの集合ポストに投函されているので、そこにある防犯カメラを確認したいということなんですよ」
 ということであるが、
 さすがに、一般市民が、
「実際に、殺人事件が起こったわけでもない」
 ので、管理人に、
「見せてほしい」
 とは言えないだろう。
 もし、そんなことを言ってしまえば、防犯カメラに誰が映っているか分からないわけなので、それこそ、
「プライバシー保護」
 という観点から、基本的には、警察が介入するような事件でない限りは、開示はできないだろう。
 だが、実際に、その開示が必要なことがあったという。
 実はその二日前に、マンションのオートロックを、配送員を装って入り込み、そこで留守宅に窃盗に入ったという事件があった。
 ちょうど、
「殺人予告」
 があった時の二日後くらいだったので、同じカメラで収められた内容が映っているということで、その
「窃盗に関しての捜査として、防犯カメラを押収することができた」
 ただ、その時の捜査として、前後2、3日くらいは見ておかないと、
「犯人は、きっとこのマンションを最初から狙っていたので、その分下調べをしているだろうから、怪しい人物が映っていないか、念のために見ておく」
 ということを、捜査の鉄則ということで、言われていたので、実際に、見ていると、その2日くらい前に、怪しい人物が、いかにも挙動不審で写っていた。
 その姿は、窃盗犯に関係があるかどうか分からないが、挙動不審な男は、防犯カメラを気にしながら、何かの手紙を、誰かのポストに入れていた。
 そのカメラを見ている人は、それが、
「殺人予告といわれる手紙」
 だということを知らなかったので、それを見ると、てっきり、今回の窃盗犯によるものだと思っていたのだという。
作品名:疑心暗鬼の交換殺人 作家名:森本晃次