影のある犯罪計画
三つ巴の中にある三すくみの関係だが、それぞれでは、三つ巴の三つの一角が、キチンと見えているのだが、その三つは、巴のようになっているが、本来なら見えているはずだ。見えないと、それぞれが、争っているのに、相手が見えないと、その時点で、争いにはならず、簡単に均衡が崩れるからだ。
だが、それでも、三つ巴の関係はうまく機能していて、三つ巴の関係であるがゆえに、一角が崩れるかのように見えたのだ、
というのも、
「それぞれ三つの力が均衡しているということは、同じような三すくみが形成されているわけで、そこでは、力が平衡だから、均衡に保たれているのが、三つ巴の中に三すくみがあるという考えだ」
といえるのだ。
しかし、これが逆の関係で、
「それぞれの三つの力が平衡に保たれているという三すくみの中に、力が均衡している三つ巴があるとすると、表から見れば、いつ爆発するか分からないような、均衡しているがゆえに、歪に蠢いている元素が、重なって、一つの物体を形成しているのだが、それが三すくみで、お互いに身動きができない」
というような状態がもし存在しているとすれば、
「きっと、その分子同士は、力の均衡によって、不安定ではあるが、その分、臨機応変にはなれるが、そのまわりが、力の平衡状態であれば、身動きが取れるわけではないので、一見見た目は、変わっていないように見える」
といえるだろう。
もし、前者の、
「三つ巴が表に存在し、中を三すくみが形成する分子だったとすれば、それは、変身することはできないが、自分以外とはうまく、力を保つことで、集団で暮らすことのできる。人間を中心とした、高等動物と言われるものではないだろうか?」
と考えた。
そして後者の、
「三すくみが表に存在し、中が三つ巴の状態であったとすれば、三すくみの歪な関係性で、均衡が保たれているのだとすれば、そこは、変化であったり変異ができるものではないか?」
と考えるのだ。
だとすれば、それは、人間などの高等動物ではなく、完全に、自分の意思では行動できない。行動オアターンも何もかもが、制限されているという、前述のウイルスを例とするような、下等動物のようなものだとは言えないだろうか。
人間の目であったり、頭脳から考えると、
「細胞の世界」
というものは、想像することはできるが、あくまでも、
「話として、理解したり、解釈させるために、創造する世界」
ということになり、顕微鏡で覗いたような、何かが蠢いていて、平面なのか、立体なのか分かりにくい世界を形成していることだろう。
しかし、最近や、ウイルスのような連中から見れば、自分たちが単細胞に近く、変異などをして、生き残るという本能だけは持っていることから、もし、彼らに意識や、想像力のようなものが存在していれば、細胞の世界というのは、我々人間よりも、はるかに身近な存在なのかも知れない。
そんな存在を、ウイルスが見ているのか、ある青年には、自分の中にある元素と分子という発想で、
「まわりには、三つ巴が存在し、三すくみが、その中にあるということで、本来なら、元素の状態では、力の平衡から、動くはずが逢いものが存在していることを分かっているということだった」
彼は、それを友達に言ったが、
「何をバカなことを」
と言われるだけだった。
彼のいうことがウソか本当かは別にして、その様子はまるで、
「ルネッサンスにおける、ガリレオガリレイを思わせるのではないだろうか?」
いわゆる、
「それでも地球は回っている」
という言葉で有名な、地動説をまわりは誰も信じずに、世間を惑わすということで、投獄されるという憂き目に遭ってでも、自分の意見を貫いたガリレオである。
その青年は、処刑や投獄されることはなかったが、まわりからは、まともに見られることはなく、
「近寄ってはいけない」
ということを皆がいい合っていて、完全に、
「村八分の刑」
といってもいいだろう。
交換殺人の裏表
そんな彼を誰も相手にしていなかったのだが、そんな中で、一人、気にしている男がいたのだ。
その男が考えていることとして、
「実は交換殺人を考えていて、その中でどうしても証人のような人間が必要なのだが、その男は、精神に異常があり、証言に信憑性は疑わしいのだが、なぜかその男が証言をすれば、誰もが信じてしまう」
というような存在の人がいるかいないかということであった。
完全に都合のいい人材を探すことになる。しかし、交換殺人において、そういう証人がいるかいないかということが、計画する方としては、ミソだったのだ。
その計画の、
「白羽の矢」
が、前述の青年に当たったのだ。
その青年の名前は、シノザキと言った。
彼が、この事件に入り込むことになったきっかけは、事件を計画した、
「マツモト」
という男が、たまたま、病院に行った時、精神疾患があるのか、まわりの人に絶え宇煙たがられている青年を見かけた時であった。
それが、
「シノザキ青年だった」
というわけであるが、その時、たまたま病院にいたマツモトは、
「君は精神的に、軽い発達障害がある」
という診断だったので、定期的に病院に行っていた時のことだった。
そんな精神疾患を持っていたが、マツモトという男は、まわりから見ても、
「頭脳明晰」
であったのは、間違いなかった。
というのも、成績は優秀で、そのくせ、いきなり、おかしなことを言いだして、、まわりをビックリさせることがあったが、基本的に、頭脳明晰で、実際に成績優秀だったので、表面上を信じるしかなかったのだ。
それを思うと、
「俺の成績は、そんなに悪くない」
ということでマツモトは、
「自分自身でも、天才肌だ」
と思っていた。
ただ、天才肌の偉人は、伝記などを読んでも、
「必ずどこか変わっていた」
ということなので、少し変わっている自分は、
「他の人には見えない何かが見えているんだ」
ということで、自分のことを、
「天才肌だ」
と信じて疑わなかったのだ。
だから、今回の計画を、
「交換殺人」
ということにしたのは、自分でも、
「交換殺人というのは、小説でだけでしか存在しないものなんだろうな」
と、
「心理的な矛盾と、論理性の矛盾」
というものを、双極的に持っているという交換殺人を敢えて考えたのは、
「交換殺人が、自分の中で閃いた」
からだったのだ。
この閃きが、
「俺を天才肌にする原点であり、これを信じないと、俺というものではない」
と考える、一種の彼にとって、
「交わることのない平行線」
というものが交わる瞬間だったといってもいいだろう。
そう、まるで、
「メビウスの輪」
のようではないか。
そう考えると、精神疾患に見えている人の中には、元々、
「異次元から迷い込んだ」
という人がいるのではないか?
ということを、その人が、、
「頭脳明晰」
であったり、
「成績優秀」
であるにも関わらず、
「世の中において、いわゆる、常識と呼ばれてることに対して、分かっていない」
ということであったり、
「反対意見をいう」