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二つの世界と同じ顔

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 つまり、頬を札束で叩くかのような態度に出て、言葉では、謝罪を述べながら、やんわりと、
「裁判を起こしても、利益がない」
 あるいは、
「起こすことによってのデメリット」
 というものを離すのであった。
 何と言っても、
「裁判を起こしても、未成年だから、そんなに重い罪はない」
 ということを言われ、さらにデメリットとして、
「裁判において、被害者はいいたくないことも言わなければならなくなる」
 ということであった。
 さらに、
「本当に暴行だったのか? ひょっとすると合意ではなかったのか?」
 というようなことを聞かれたりもする。
 と弁護士はいう。
 確かに、弁護士側からすれば、それくらいしないと、被告を守れないとなれば、そこまでやってくることは当たり前のことだ。
 こちら側に、
「暴行された」
 という証拠を示さないと、
「疑わしきは罰せず」
 ということからも、裁判官たちの印象は、どんなものに写るというのだろうか?
「それなら、示談金を受け取って、本人もトラウマにならないように、早く忘れる」
 という方が、本人のためにも、支えているまわりにもいいのではないだろうかといってくるのだ。
 被害者側のまわりからすれば、はらわたが煮えくり返ってはいるが、
「娘が晒し者」
 になったり、何よりも、
「トラウマとなって後遺症となってしまうのであれば」
 ということで、どうしても、娘が、
「訴える」
 ということにならなければ、これ以上、必要以上に、
「裁判を起こす」
 ということを言い張らないだろう。
 疑わしきは罰せず」
 という世界もあれば、ここのように、
「疑わしくは、罰するので、もし、自分がやっていないというのであれば、その証拠を立証する義務は、容疑者にある」
 という形になった。
 しかも、それを警察に、
「お金で依頼をする」
 という形になるのだ。
「無罪認定をしてもらうのに、金がかかるなんて」
 ということであるが、それはあくまでも、
「警察官が公務員」
 ということだから考えられることであった。
「警察官が、公務員でなければいけない」
 ということはない。
 ただ、警察官というのは、他の職種と比べると特殊であり、その目的が、
「治安を守る」
 ということであり、
「個人を助ける」
 ということではないからだ。
 世界が違えば、
「警察官が助けてくれる」
 という発想は通用しない。
 そもそも、
「警察官が公務員」
 という世界であっても、
「警察官が助けてくれるはずだ」
 という発想は、そもそも間違っているのだった。
「治安を守る」
 ということは、本来であれば、
「犯罪をなくす」
 ということと、同意語でなければいけないのではないだろうか?
 しかし、それが本当であれば、警察に仕事として、
「犯罪を未然に防ぐ」
 ということが、一番の優先順位ではないだろうか?
 しかし、警察というところは正反対であり、
「犯罪が起こらなければ、何もできない」
 というのが実際のことである。
 確かに、別の世界などでは、
「治安を守る」
 というのは、完全に、犯罪というものを、個人に対してではなく、政治体制であったり、公的なものに対して行ったものの場合んい適用されるという、
「治安維持警察」
 のようなものだったのだ。
 だから、下手をすれば、ちょっと逆らっただけで、
「警察に対しての侮辱罪」
 のようなものが適用され、片っ端からの、
「逮捕、拘留」
 さらに、その時に受ける、拷問というと、
「一般市民に対しての、それはない」
 といえるほどだった。
 だが、
「そこまでしないと、治安が守れない」
 という時代は、本当にどういう時代なのか、人間がそれぞれに、主義主張に真摯に向き合っていることで、過剰な状態になり、
「こうでもしないと、治めることができない世の中になった」
 ということなのだろうか?
 世界というもの、確かにちょっと違っただけで、まったく違うのだろうが、
「結界」
 というものを越えて、知らない世界までも考えてしまうと、本当に信じられないという、
「平行世界」
 というものが広がっているということであろう。
 実際に、
「平行世界」
 というものを見た人はいなかったが、創造する人はたくさんいた。
 しかし、時代背景から、
「宗教的な発想だ」
 ということで、発想することすら、反対されていたというものであり、当時は、それまで戦争のために抑圧されていた科学者が、
「やっと、大手を振って、研究に勤しめる」
 ということで、大学の研究室に籠っても研究が繰り広げられていたのだ。
 密かに、国家も、
「大学のプロジェクト」
 という大義名分で、金をいくらか融通していた。
 といっても、まだまだ戦後の荒廃した世界においては、大っぴらにはできない。
 しかも、まだ、占領下において、そんな不審な行動は、
「国家の存亡にもかかわる」
 と言われかねないにも関わらず、研究を続けられるということは、それだけ、
「国家をうまく運営するためには、この研究の成功を持って、独立後に、国家が、他国を寄せ付けない科学力を持っている」
 ということで、
「抑えつけるということよりも、同盟国」
 という感覚を抱いてくれた方が、
「属国扱い」
 されるよりのとでは、まったく違うというものであった。
 だからこそ、この世界では、
「敗戦国でありながら、より早く、敗戦国の中でも、群を抜いて独立国としての様相を呈することができた」
 ということであった。
 そんな中において、
「平行宇宙の研究」
 だけが行われていたわけではない。
 当時世界は、二つの大きな主義によって、分断されていた。
 その世界をそのままにしておいては、
「近い将来、世界を破滅させる、大戦争が勃発する」
 と言われていた。
 今でこそ、
「最終兵器」
 と言われるものが開発され、その、
「抑止力というものによっての平和」
 という、
「完全に、張子の虎」
 のような、
「見せかけの平和」
 で成り立っているので、いつ、間違いが起こるかという、大いなる危険と背中合わせだったのだ。
 そんな時代において、占領している方の国は、その当事者であることもあって、本当は、
「こんな均衡ではなく、わが国が取り仕切る平和でなければいけない」
 と考えていたのだ。
「敵対するということは、ただ憎らしいからというわけではなく、妥協を許さないほどの主義主張の違いから起こった、静かで冷たい戦争であるから、主導権は、わが国でなければいけない」
 ということになるのだ。
 それを、占領している国に委ねると考えたのは、
「相手国が、こちらの軍事力に、すぐに追いついてくる」
 ということが分かるからだった。
 そうなると、お互いの軍事力というものを背景に、
「永遠に終わることのない冷たい戦争が、抑止力という、いつまで続くのか分からない」
 というような世界を終わらせるしかないということであった。
 だから、占領国は、統治している国の研究を、黙って見ているということしかないのだった。
 この国家では、
「世の中をいかによくするか?」
 ということもさることながら、
作品名:二つの世界と同じ顔 作家名:森本晃次