「辻褄と、理屈の合致」
だが、それでも、地球防衛軍は、正義のヒーローが現れると、嬉々として有頂天になり、
「頑張れ〜」
と応援を始め、まるでヒーローが現れた瞬間に、
「勝った」
と思い込んでいるのは、いかがなものか?
と思えるのだ。
本来なら、攻撃は簡単にはできないかも知れないが、自分たちが盾になって、相手を攪乱するくらいのいわゆる、
「援護射撃」
のようなものはできるだろう。
それをしないということは、完全に、ヒーローに任せきりで、
「買ったも同然」
とばかりに、喜んでいるのは、情けないとしか思えない。
そんな姿を見て、将来の隊員候補の子供たちが、
「僕の大きくなったら、地球防衛軍に入って、怪獣をやっつけるんだ」
という気概が持てるというものだろうか?
絶対にありえないだろう。
そしてまた、これは大人になって感じたことだが、
「専守防衛しかできないはずの日本に、地球防衛軍の基地があってもいいのだろうか?」
ということであった。
そもそも、
「地球防衛軍」
という組織が、どの機関の傘下に入るのかということが疑問なのだが、入るとすれば、
「国連」
ということになるだろう、
もし、これが、宇宙からの侵略者に対してのものだと考えれば、
「NASA」
になるのだろうか?
いや、もし、そうだとすれば、地球防衛軍は、アメリカのものということになるので、それはありえない。
国連か、それとも、単独の組織ということになるのであれば、
「平和憲法」
の日本に基地を作ることって許されるのか
と考えられるのだ。
「相手が攻撃してくる前の、先制攻撃すらできない日本国に、相手の秘密基地を見つけたとしても、日本は、攻撃ができない」
のである、
あくまでも、向こうが打ってこなければ、攻撃ができない。
「それは、本当にそれで正しいのか?」
ということである。
「地球の先住民の住居の可能性もあった施設を、勝手に宇宙人の侵略基地だ」
ということにして、攻撃を加え、破壊したという話があったが、それはきっと、専守防衛しかできない日本という国の体制を、皮肉って描いたものだったのではないだろうか?
それを思えば、昔の特撮は、おかしなところもあるが、ところどころに、皮肉を織り交ぜているので、子供だけではなく、その時の子供が大人になって見返したとしても、
「面白い作品だ」
ということになるのである。
とにかく、特撮において、地球侵略というものは、あくまでも、
「自分中心の考え方」
というものは、考えれば考えるほど、不思議と思える感覚になってくる。そんな特撮番組において、よく見られるものとして、いくつかのパターンというものがあるのが分かってきた。
これが、当時の社会問題に対しての、
「皮肉めいた」
というようなことであり、それが、たとえば、
「核開発競争」
や、
「宇宙開発競争」
というものへの皮肉を込めたものであったりする。
特に、当時であれば、
「東西冷戦」
と呼ばれるものがあり、その時によく行われていた、開発競争などというものは、大義名分があったとしても、それは、あくまでも、
「戦争に対しての準備行動でしかなかった」
と言ってもいいだろう。
そして、そんな社会問題の中で、一つ大きなものとして、
「代理戦争」
という状態が続いたことがあった。
代理戦争
一つは、
「朝鮮戦争」
と呼ばれるもので、
「一つの民族を、二つの国、しかも、陣営のまったく違った国どうしが、分割統治をしているのであり、しかも、それぞれが独立国家を形成し、そして、お互いに、朝鮮半島の統一をもくろんでいる」
ということだから、当然、お互いに攻めこむことを考えたとしても、無理もないだろう。
特に、南側を統治していた民主主義陣営とすれば、
「北が攻めてくることはないだろう」
という、
「お花畑的発想を抱いていた」
ということもあって、虎視眈々と南を狙っている北の国家は、その軍事態勢を整えていた。
ただ、大っぴらには行わない。
なぜなら、大っぴらに行うと、超大国同士の戦争になり、そうなると、全面核戦争ということになると、
「世界は地獄を見る」
ということになるのが分かっているからだった。
だから、密かに、武器弾薬を渡したり、戦闘訓練で、戦闘技術を伝授したりということを行っていた。
それだけでも、
「攻めてくることはない」
とタカをくくっていた南からすれば、まったく戦力も違っている。
何と言っても、南側は、戦闘能力はひどいものだった、
戦車や弾薬は、ほとんどなく、戦闘機にいたっては、練習機が少しあるだけで、それ以外は、
「旧日本軍が、放置していった、旧式の武器弾薬だけで、それでも、
「ないよりはましだ」
という程度だったのだ。
そんな状態では、ソウルが、3日で陥落したというのも、当たり前だというものだろう。
あっという間にプサンまで侵攻されて、さすがに日本にいた、
「朝鮮統治部隊」
もこれに驚いて、何とか、
「仁川上陸作戦」
などを成功させることと、国連軍を送り込むことで、今度は体制が逆になった。
ただ、そうなると、今度は相手も、非公式に、
「中国人民解放軍」
を大量に送り込み、
「人海戦術」
というものを使って、何とか、
「38度線くらいまで押し返す」
ということに成功し、ここから先は、膠着状態になってしまった。
これも、連合国側が、
「中国人民解放軍」
の侵攻はないだろうという考えが、
「お花畑的な発想だった」
ということだったのだ。
結局、膠着状態のまま、休戦状態が今まで続いている。
それは、あくまでも、その時の南のダイトウリョウが、
「あくまでも、朝鮮半島は、武力によって、統一されなければいけない」
と言い張ったからだろうが、ひょっとすると、
「ここでの休戦は、自国に対して大いなる不利になる」
と考えたからかも知れない。
戦争を辞めない決断をした韓国に対して、アメリカが何も言わなかったというのは、
「ひょっとすると、この状態を作ったのはアメリカかも知れない」
という妄想も考えられたりした。
この戦争は、戦線が、南のギリギリまで追い詰められたり、さらには、北まで追い詰めたりと、それぞれが一度は有利になったりした状態だったので、
「アコーディオン戦争」
ともいう。
しかし、この戦争の一番の特徴は、
「超大国がお互いに攻めこむことがない」
という、
「代理戦争」
というものが徹底されていたことだった。
時代は進んで、途中、超大国の間で、中南米が絡むところでの、
「キューバ危機」
という、
「全面核戦争の危機」
と言われるようなものがあり、その恐怖が冷めやらない間、東南アジアの、インドシナ半島において、
「インドシナ問題」
というのが、持ち上がっていた。
ここは、元々、宗主国としてフランスがいたのだが、戦後、フランスは、宗主国ということで、戻ってこようとしたのだが、ゲリラ戦において、インドシナ軍の抵抗に遭い、結局、局地戦で敗北を重ね、撤退するしかなくなった。
作品名:「辻褄と、理屈の合致」 作家名:森本晃次