「辻褄と、理屈の合致」
「宇宙からやってきたヒーローに助けてもらわなければ、地球人だけではとても相手にならない」
しかし、宇宙人も地球に、そのヒーローがいて、侵略しにくるパターンと、まったく知らないでやってくるというお―パターンがある。
だが、相手も侵略にくるのであれば、それくらいのことを調べていてしかるべきだ。
それを知らないということは、よほど自分たちに自信があるのか、
「地球人など、事前調査することなく、総攻撃で簡単に落とせる」
と思っているのだろう。
しかし、いつも戦うのは、一人だけで、
「複数で、一人をやっつけるのは、卑怯だ」
というのであれば、侵略行為自体が卑怯ではないか。
それを思うと、
「宇宙人の地球侵略は、甘いものであり、まさかやられるとは思っていないので。それだけで、戦略の立て直しを考える余地ができてしまった。
ということになるのだろう。
しかし、それは、
「敵の宇宙人側」
から見た考え方であり、何よりも、侵略を受けているのは、地球ではないか。
確かに、相手の星人を一人倒したのだから、
「勝利には違いない」
とはいえるのだろうが、相手がそれで引き下がるということを、誰が予見できるというのか。
しかも、たまにナレーションで、
「宇宙人の侵略は終わった。しかし、またいつ同じような宇宙人が地球を狙っているか分からない」
ということで、ドラマとしては、
「完全に事件は解決した」
ということで、締めに掛かっているではないか。
「地球人というものを、甘く見ていたから、やられてしまった」
ということであれば、
「次は油断しない」
とさえ考えれば、
「何もそこで侵略を辞める」
とどうして思えるのだろうか。
「侵略を続けるか辞めるか?」
という選択は、あくまでも、相手が決めることであり、地球人がそれを判断することではない。
してもかまわないが、
「本当に侵略は終わった」
と考えたとしても、相手には関係のないことで、却って、そう思ってくれた方が、侵略を進めやすいというものだ。
それを考えると、地球人がいかに宇宙人を舐めているかということになるので、宇宙人としては。
「あんな馬鹿な人類というものであれば、再度、作戦を練り直してくれば、いつだって侵略なんて簡単だ」
ということで、焦ることなく、母星に帰っていったのかも知れない。
さらにもう一つ、特撮番組を見ていて懸念がある。
そもそも、
「宇宙人のことを、十パ一絡げのような言い方で、○○星人というが、地球人であれば、名前があるように、彼らにも、何か識別するための、人間でいえば、名前のようなものがあってしかるべきだろう」
といえる。
それを言いだせば、
「地球上の生物でも同じことが言える」
と言われるかも知れないが、
「それは、地球上の生物で、人間の言葉が分かり、人間に同じ動物の言葉が分かる種族がいない」
ということである。
もっといえば、
「人間と会話ができる動物がいない」
ということで、
「人間と会話ができない動物、それは、下等動物ということである」
ということになるのだ。
ただ、地球を侵略しようという宇宙人は、間違いなく地球人よりも進化しているであろう。
地球人は、月、あるいは、火星まで行けるかいけないかという程度の科学力しか持っていないのに、相手の円盤は、間違いなく地球に来れていて、あるいは、
「地球まで、飛来することができる、身体的能力を保有している」
ということなのだ。
だから、人間としても、
「敬意を表している」
ということなのか、それ以上に、相手に対して、
「恐怖を感じている」
ということになるのだ。
「そんな宇宙人は、明らかに、我々地球人よりも、高度な科学力を持っている」
ということになるだろう。
しかし、もう一つ、少しうがった形の解釈をするのであれば、
「自分たちのことを、地球人」
というのは、ある意味、
「思い上がりも甚だしい」
といえるのではないだろうか?
「地球に住んでいるのは、人間だけなのか?」
ということである。
地球人という表現をすると、確かに、
「地球にいる人間といえば、地球人しかいない」
ということになる。
しかし、それ以外の動物を、
「地球犬」
であったり、
「地球猿」
などという言い方はしないはずだ。これこそ、
「人間だけが優れている」
という発想になるだろう。
また、特撮モノのテレビを見ていて、もう一つ、
「何かおかしい」
と感じるのは、
「宇宙人が攻めてくる」
あるいは、地球侵略の拠点にするのは、いつも、
「なぜか日本」
ではないだろうか?
確かに、ドラマ作成側でいえば、
「日本で作成しているのだから、日本に攻めてくるという考えは当たり前のことではないか?」
ということになるのだ。
しかも、地球防衛軍のようなところの世界本部は、
「パリ」
であったり、
「ニューヨーク」
なのに、攻めてくるのは、日本なのだ。
しかも、もっといえば、日本にある地球防衛軍の基地の近くに、ピンポイントに攻めてくるのだ。
「確か、設定では、防衛軍基地は、敵から見つからないように、秘密基地となっている」
ということだったはずなのに、なぜ相手は
「極東基地」
の所在地を知っているかのように、ちゃんと、基地を目指して攻めてくるのだろう?
と考えるはずである。
子供心にも、
「何かおかしい」
という違和感はあった。
しかし、その理由がハッキリとは分からないのだが、
「何で、秘密基地の所在地が、侵略者には分かるのだろう?」
と思い、結果として、
「それだけ、優秀な宇宙人なのだ」
と考えると、
「そんな宇宙人に侵略相手に選ばれて、相手が、地球を敵だということを認めてくれたことで、攻めてくるんだ」
と感じた。
「相手は、日本人、いわゆる地球人をリスペクトしてくれていて、さすがに、地球の代表である人間だ」
ということを感じたのだった。
「宇宙人というのは、それだけ人間を、そして、日本人をリスペクトしているのだろうか?」
というようなことを、子供心に考えて、おかしいとは思いながらも、ついつい見てしまうのだった。
そういう、特撮であったり、アニメを見ていると、確かに、
「日本で製作される作品なので」
ということで、まずは、地球人が、まるで、宇宙人の代表のように映り、侵略してくる宇宙人と組織的に戦い。
しかし、これも、考えてみればおかしなもので、
「相手だって、宇宙船に乗ってやってきているのだから、相手も、組織で戦えばいいものを、地球側は、正義のヒーローと、地球防衛軍とが、タッグを組んで戦っているではないか」
と言われるだろう。
まあ、もっとも、実際には、地球防衛軍では歯が立たないので、正義のヒーローが現れて戦ってくれるというわけでの、完全な他力本願なのである。だから、正義のヒーローが戦っている時は、地球人は、高みの見物をしているように見えるのだが、ただ、これは、言い訳もできるというもので、
「今攻撃をすると、ヒーローに当たってしまう」
ということである。
作品名:「辻褄と、理屈の合致」 作家名:森本晃次