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悪魔への不完全犯罪

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 の時代から分かっていることであった。
 だから、先代の頃から、そのあたりの変格化は模索していた。そして、会社自体も、任侠から、正統派へと変わろうとしたが、急な変化に、耐えられず、他に吸収されるところが多かった。
 何といっても、財閥とまで言われた会社だったので、さすがに、バブルがはじけた時は、少し大変ではあったが、会社の大きさと、参謀の起点とで、乗り切ることができた。
 しかも、まわりの同業が潰れそうになっているところを、吸収したりして、会社がでかくなっていった。
 それは、会社存続ということではよかったのだろうが、実際に中の運営ということでは結構大変であった。
 会社として、何とか軌道に乗り始めた時、だいぶ社員もリストラすることになった。ひょっとすると、他の会社よりも、えげつないリストラだったのかも知れない。
 昔からの充実な、役職についている人を、クビにするのだから、ある意味、
「血も涙もない」
 と言われても無理もないことだっただろう。
 それを考えると、
「俺たちが、なぜクビになるんだ?」
 というほどであった。
 だが、彼らが、
「優秀な人材である」
 ということは、紛れもない事実で、しかも、
「坂下財閥出身」
 ということで、他の会社の人からすれば、ほしい人材であったのだろう。
 だから、彼らが他の会社の面接にいけば、
「一発採用」
 というのも、当たり前のことだった。
 中には、クビになったという時点で、すでに、引き抜きが行われ、
「すぐに次の会社が決まった」
 という人もいただろう。
 さらには、
「クビになる」
 という情報を掴んでいて、まだ、その人が会社にいる時から、声を掛けていた人もいただろう。
 本人は、まさか自分がクビになるなどと、想像もしていなかっただろうから、最初は相手にしなかったが、
「もし、何かあった時は、ご連絡ください。悪いようにはしません」
 と言われれば、誰が嫌な気持ちになるというのか、
 本当にクビになったことで、
「あれは、そういうことだったのか?」
 ということで、理屈が分かり、
「それならば」
 ということで、
「自分を引き抜こうとした会社に、お世話になる」
 という当然の状況が生まれるわけである。
「ありがとうございます。この会社のために、がんばります」
 ということで、もう何も、坂下財閥に遠慮することもない。
「ターゲットは、坂下財閥だ」
 ということで、ライバル会社としては、有力な参謀を得て、意気揚々としているのだった。
 そういう意味では、どちらの会社にも、悪影響があったわけではない。
 坂下財閥くらい大きくて、しかも、参謀が、
「いい人材」
 ということで、危なくなるということはないだろう。
 まわりの会社も、
「さすがに、坂下財閥のライバルとしては、役不足であったが、坂下財閥出身の役職者がいることで、少なくとも、潰されるということはなく、うまく業界内を渡り歩いていけたのだ」
 そういう意味で、坂下財閥の、
「独占企業化」
 というものを防げて、業界が活性化し、
「一党独裁」
 ではないということは、それだけ、業界的には発展したことはいいことだったに違いない。
 そんな時代がうまく流れていくことで、今の時代を渡ってこれたのだった。
 坂下少年は、そんな時代をハッキリとは知らなかったが、教育係の先代から、
「過去の会社の歴史」
 として、話には聴いていた。
 いわゆる、
「帝王学」
 というものであるが、会社の歴史を知ることは、当然大切なことだというのは、分かり切ったことであろう。
 そのおかげで、
「学校の勉強だけでなく、家に帰っても勉強しないといけないというのは、厄介だな」
 とは思っていた。
 だが、この家にいる限り、他の人が味わうような、あの地獄の受験戦争を味わうことはなかった。
 高校、大学と、それぞれに、推薦入学ということで入学できた。
 それは、もちろん、彼が、
「坂下財閥の御曹司」
 ということであり、そこには、
「家での帝王学を学ぶ」
 ということが必須であったことで、高校、大学というところは、一種の、
「一般教養」
 というものを学ぶだけのことであった。
 というのも、
「一般教養」
 と言っても、専門は大学での
「経営学」
 というものであり、それはそのまま帝王学の専門性と同じものであった、
 そういう意味では、大学の勉強は、一種の
「ダブり」
 ということあることから、そこまで真面目に大学に行く必要もなかったのだ。
 しかし、さすがに大学の卒業に、
「坂下財閥の息子」
 という力が及ぶわけではなかった。
「単位を取得できなければ、卒業できない」
 ということは誰もが同じことで、それは、仕方がないことであった、
 ここから先は、自分の力だったが、帝王学も学んでいるので、大学の単位取得くらいはできたのだった。
 何とか大学を卒業できるようにはなったのだが、その大学時代にも、結構な、本人曰くというところでの、
「武勇伝」
 というのもいくつかあったことだ。
 これも、財閥側が、何とか表に出ないように、解決したということもあった。
 それこそ、
「金で解決」
 というものがいくつか存在していた。
 中には、
「言語道断」
 と、人道的には許されないものであったり、
「世間にバレれば、坂下財閥としても、その損ザクを危ういところまでにした」
 というものもあったりした。
 決して、
「許されることではない」
 ということも少なくはなかったことで、
 さすがの財閥側としても、坂下氏の、
「行動制限」
 を掛けざるを得ないということもあった。
 それは一種の、
「謹慎処分」
 という程度で、
 もちろん、その程度のことで許されるなどということはあり得ないというような内容のことであったのだ。
 その時、本人が、それをどの程度に考えていたのかというのは、いくら教育係やまわりが、優秀であったとしても、分かるはずがない。
「人の心の中まで、入りこむことなどできっこない」
 というもので、それこそ、
「催眠術師」
 であったり、
「超能力者」
 でもない限り分かりっこなどないに違いない。
 それを考えると、
「坂下氏は、まわりの人間の想像を絶するというくらいの人間だったのではないだろうか?」
 というところであったのだ。
 ただ、これは、坂下氏本人にとっても、意識できていたことなのかどうかは分からない。一つ言えることは、
「都合の悪いことは簡単に忘れてしまうところがある」
 ということで、これは、ある意味致命的なところでもあったのではないだろうか。
 坂下氏にとって、大学時代というのは、
「本当に遊ぶところ」
 と言ってもいいだろう。
 しかも、できた友達は、明らかに、
「何らかの目的」
 というものがあって、近づいてきたのだった。
 それが、
「坂下氏のお金」
 であったり、
「やつと仲良くしていれば、就活の時に困らない」
 と思っていたからだ、
 実際に、お金に関しては。坂下がいることで、困ることはなかったが、それだけではなく、
「悪事に加担させられる」
 ということもあった。
 中には、
作品名:悪魔への不完全犯罪 作家名:森本晃次