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因果のタイムループ

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 それを考えると、身バレというのは、本当に女の子にとっては、大きな問題となるのであった。
 だから、身バレに対しては、店側も結構注意をしているという。
 お客さんが、待合室にいる時、マジックミラーで確認したり、防犯カメラを見せて女の子に確認させたり、店によっては、客に対して、
「防犯カメラの方を見てください」
 といって、客に協力させることもある。
 さらには、この間までの、
「世界的なパンデミック」
 の影響で、
「マスク着用義務」
 があったが、受付まではマスクをさせていても、待合室から先は、
「マスクを外してください」
 と言われる。
 もちろん、嬢と対面の時には、マスクを外すことになるので、別に待合室から外していてもいいのだが、そこからも、
「待合室では、客を女の子が確認する」
 ということでの、
「身バレ防止」
 が施されているということが分かるというものだ。
 実際に、それで知り合いがいたりしたことで、その日の女の子が、
「仕事ができない」
 ということにもなるかも知れない。
 女の子としても、その日は、仕事をするつもりで、頑張って出てきているので、仕事ができないということは、その日一日の収入を考えると、その分がもらえないというのは、結構大きかったりする。
 お金だけではなく、実際に、
「接客が好きだ」
 という女の子で、その日、その客が、
「鍵開け」
 だったりして、その後、ずっと予約が詰まっているなどということになると、まったく計画が狂ってしまうことになる。
 それは、本人にとっても、お店にとっても、大きな問題ということになるだろう。
 神崎は、最初から、そんなに詳しい話を知っていたわけではないが、最初についた女の子が、こういう話をするのが好きな子で、特に、
「私、童貞さんの筆おろし、結構多いんですよ。私も好きだし、男性の方が、私を選んでくれることもあるし、最初はそうだったんだけど、最近では、フリーで来た客を見て、受付の人が、童貞だと思うと、私を推薦してくれることが多くなったんですよ。私も、おかげで、童貞キラーとか言われて、その気になったというわけなのよ」
 といって、彼女は、ニコニコ笑っている。
 こういうお店では、もちろん、本名を名乗ることはなく、
「源氏名」
 というもので、通っている。
 彼女は、源氏名を、
「みなみ」
 といい、みなみさんは、いろいろ教えてくれたのだった。
「私は、童貞に当たる率はそういう意味では多いんだけど、その人たちが、私のリピーターになってくれるかというと、微妙なんですよ」
 という。
「どうしてなの?」
 と聞くと、
「半分くらいのお客さんは、他の女の子とも遊んでみたいという人が多いのかな? だから私は、彼らにいろいろ教えてあげるんですよ。どうすれば女の子に好かれるか? もっといえば、嫌われないようにするにはどうすればいいかってね。意外と女の子って、相手がお客さんでも、好き嫌いがハッキリしている女の子も多いので、男性も慣れてくると、自分が、塩対応されているということに気付くことがあるの。だけど、どうして、そんな対応をされるのかってことが、よくわかっていない場合が多いのよね。そう思うと、結構大変だったりするようで、結局、いろいろな子に入っては、ずっと塩対応されるようになり、こういうお店では、皆そういう対応をすると思い込んで、次第に来なくなるという人も少なくないみたいなの、私は、できれば、それを防ぎたいと思っているのかな? だって、せっかく来てくれたんだから、仲良くなりたいし、リピーターになってほしいもの」
 とみなみは、いうのだった。
 みなみは、お店でも、ランカーと呼ばれていて、いつも予約でいっぱいということであった。
 だからなのかも知れないが、必要以上に、
「リピーターになって」
 というようなことは言わなかった。
 逆に、
「他の女の子に入ってみるのも、いいわよ」
 といってくれた。
 「それじゃあ」
 ということで、神崎は、他の女の子にも入った。
 同じ店でも入ってみたし、他のお店の女の子にも入ってみた。しかし、相手はどんどん、劣化していくように思え、やはり、
「みなみが最高だ」
 と感じたのだ。
 しかし、神崎は、
「人間というのは、必ず飽きがくるものだ」
 と感じていた。
 だから、
「俺は、結婚というものをしたいとは思わない」
 と感じたのだ。
 もし、相手のことが好きになって結婚したとしても、恋愛期間とはまったく違う結婚生活しか待っていないと考えると、
「結婚生活のどこがいいというのだ?」
 と思えば、
「寂しくなれば、風俗にくればいいではないか?」
 ということもあって、風俗遊びをするようになったのだ。
 もちろん、
「彼女がほしい」
 と思ったり、
「好きになった女性と一緒にいたい」
 という思いがないわけではないが、一度、一緒になってしまうと、簡単に離れることはできないと思うと、
「最初から、一緒になることをしなければ、いいのではないか?」
 と思ったのだ。
 だから、恋愛をしたことがないわけではない。相手が、結婚を迫ってくるような相手でなければ、それでいいと思っている。
 今の時代は、女の子も、
「交際するということは、結婚ということではない」
 ということを割り切っていて、
「恋愛と結婚は別だ」
 とよく言われるが、結婚相手を探すわけではなく、
「一緒にいて、楽しい」
 という人を探すだけである。
 そういう意味では、女性にそういう考えの人は多いと思えるが、男性にはどうなのだろう?
 やはり、昔ながらに、
「恋愛をすれば、結婚というものが待っている」
 と考えるのは、男性の方が多いのかも知れない。
 だから、
「すぐに飽きる」
 というような考え方の男性は珍しいような気がするが、
「結果としては、その通りになるというのが、一般的ではないか?」
 と考えるのであった。
 確かに、飽き性なのは、女性よりも男性なのかも知れない。それは、
「男女の身体の違いから考えられるだろう」
 というのも、男性には女性にはない、
「賢者モード」
 というのが、存在するからだ。
「賢者モード」
 というのは、男性は射精をする際に、絶頂を迎えたその後、虚脱感や、根拠のない、罪悪感のようなものに見舞われる時の状態をいう。
 急に
「冷めてしまった」
 というような態度になり、相手の女性に対しての、感情よりも、自分のことで精一杯になってしまうことをいう。
 つまり、身体全体で虚脱感を感じてしまったことで、身体がだるかったり、億劫だったりして、倦怠感のようなものが襲ってくるということだ。
 女性の場合には、そういう感情はない。
 男性が、一度絶頂に達すると、しばらくは、
「放心状態」
 であったり、
「賢者モード」
 となって、何もできなくなるのに対して、女性の感情が消えることはなく、
「何度でも、絶頂を迎えることができる」
 というものだ。
 男性には、女性のそんな感情が理解できるわけもなく、女性も、男性の、
「賢者モード」
 が理解できなかったりする。
 後は、それぞれの、
「個人差」
 であろうが、
「飽きやすい」
作品名:因果のタイムループ 作家名:森本晃次