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因果のタイムループ

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「自分は童貞なんだから、余計なことを考える必要はない。だから、すべてを任せる意味で、高級店がいい」
 と考えたのも、無理もないことであろう。
 そう考えると、
「少しお金が張ってしまうが、それで満足して、しばらくいかなくてもいい」
 という程度が一番いいのかも知れないと思ったのだ。
 その頃の神崎は、風俗というと、昔から言われているような、
「自分、あるいは、親の借金で、お金が必要になり、やむなく、このような商売に身を落とした」
 という偏見を持っていた。
 いや、童貞、つまり、
「風俗童貞」
 というのは、そう考えるに違いないが、今はどちらかというと、
「女の子が好きで働いている」
 というイメージの方が強いのではないだろうか?
 もちろん、昔からのパターンの人もいないとも限らないが、ほとんどは、
「セックスが好きだ」
 ということで、自分から働いている人もいる。
 中には、看護婦免許を持っているのに、
「こっちの方が私に似合っている」
 といって、わざと、ナース服がコスプレの店で、
「現役看護婦」
 という触れ込みで働いている人もいる。
 実際には働いてはいないが、免許をもっていて、いつでも働けるのだから、まんざら嘘ではない。
「リアルナース」
 といっても、過言ではないだろう。
 実際に、風俗嬢の中には、
「コスプレが好きだから」
 という理由と、
「まとまった金が入る」
 というリアルな思いも含め、働いている人もいるのだった。
 そんな中で、コンセプトがナースの店があったので、そこに入ってみることにした。当時は、まだ、呼び込みのような人が表にはいたが、こちらが迷っていたりしなければ、声を掛けてこないというのだ。
「私は、そんな連中には引っかからない」
 と言っていた人もいたが、引っかかるも何も、迷っていない限り、寄ってくるようなこともなかったのだ。
 だから、歩いている人も、そんなにそわそわしていない。最初から予約を入れていれば、変に誘い込まれるということもない。
 よく、Vシネマなどでは、一人彷徨って歩いていると、呼び込みに引っかかって、入ったところが、
「30分いくらポッキリ」
 という看板で、実際に入ると、何もしてくれないで、
「ビールが飲みたい」
 とおねだりすれば、そのたびに、サービスをしてくれるというようなことであった。
 気が付けば、
「数千円ポッキリ」
 と書いていたものが、会計の時点で、ゼロが、一つ多かったりする。
 そこで、文句でもいうと、奥から、怖いにいちゃんが、数人出てきて、裏に連れていかれ、最後には、
「ゴミ袋に倒れこむ形で、赤いものが流れている」
 というようなことになるのであった。
 もちろん、有り金は全部取られてのことである。
 そんな闇の時代が、昭和にはあったが、今もそんな、ぼったくりというようなお店が存在するのかどうかは分からないが、ほとんどなくなったのは、間違いないだろう。
 特に、
「ソープ」
 などというところは、基本的に、風営法に守られている。
 彼らの商売は、
「風営法を守りさえすれば、合法の売春」
 といってもいいだろう。
 そのかわり、かなり、性風俗関係になると、その法律は相当厳しいものとなっている。
 例えば、営業時間であったり、経営にしても、
「全国共通で決まっていること」
 そして、
「各自治体によって違うもの」
 それぞれである。
 そもそも、風俗営業を取り締まっている法律は、風営法ではない。書く自治体における、
「都道府県条例」
 などだ。
 つまり、
「風営法で全体的なことを決めておいて、最終的に、その土地土地によって最終的な体制が決まる」
 ということである。
 営業時間も、深夜帯を除くということで、午前0時から、6時までは、営業してはいけない(ただし、デリヘルは除く)。だから、その間で都道府県で自由に決められる。まるで、タクシー料金のようである。
 さらには、
「営業範囲も条例で違う」
 というのは、
「ソープなどは、どこでも店を開いていいわけではなく、条例に定められたところ以外では店を開けない」
 ということになる。
 しかも、それは、他の条文で、当たり前のこととなっている。
 というのは、ソープなどは、
「新規参入ができない」
 というのだ。
 だから、店を開くには、前営業していた店のオーナーが退居したところに店を開くしかない。しかも、大規模な店の改修は、
「新店を開いた」
 と見なされて、違法ということになるのだ。

                 ソープ嬢「みなみ」

 その時行ったお店というのは、昔からあるお店のようで、最初は、お店を決めていかなかった。
 もちろん、
「どんな女の子がいるか?」
 というのが楽しみの一つではあったので、最初から決めていくのは、嫌でもあった。
 それでも、呼び込みに引っかかるのは嫌だったので、そういう風俗街には、必ず存在するという、
「無料案内所」
 というところに顔を出したのだ。
 そこでは、看板のようなものが、所せましとかかっていて、お店と、女の子の写真が、数人、宣伝用に掛けられている。
 どうしても、昔から、
「看板に偽りがある」
 というのが、当たり前のように言われていた。
 特に、昔からあるもので、田舎道などにある、
「ビニ本などの自動販売機の表紙だけを見て買うと、中身は、似ても似つかぬ、おばさんが出てくる」
 ということで、
「あれは、詐欺だわ」
 とよく言われていたものだ。
 それを思い出すと、
「風俗などで、出されるパネルというものは、写真を加工してきれいに見せている」
 と言われるだけに、なかなか、パネルを見ても信じられない場合が多かったりする。
 いわゆる、
「パネマジ」
 と呼ばれるもので、正確には、
「パネルマジック」
 というものだ。
 その名の通り、
「写真を加工して、よく見せている」
 という意味で、
「詐欺じゃないか?」
 と言われているが、
 実はこれに関しては、
「致し方がない」
 と言われることもあった。
 というのも、
「女の子にとって、こういう仕事をしていて、一番リアルに怖いと思っていること」
 というのを考えると、
「しょうがない部分m多いのだろう」
 と納得できるところもある。
 というのは、女の子にとって、一番怖いのは、
「身バレ」
 ということである。
 つまりは、あまり写真などを、加工もせずにばらしてしまうと、本人が特定されてしまう。
「客がストーカーになる」
 というのも怖いが、何よりも怖いというのは、
「家族や上司に、自分が、こういう仕事をしているのがバレる」
 ということである。
 親であれば、すぐに辞めさせられるということにもなりかねない。昔は、星人が二十歳だったので、二十歳未満の女の子は、親が、
「辞めろ」
 と言えば、辞めなければならない。下手をすれば、親から店が訴えられかねないからである。
 会社の上司であれば、今度は昼職を辞めなければいけなくなり、その分収入が減ったり、「卒業後の進路に、決定的な問題が起こってしまう」
 ということになってしまうだろう。
作品名:因果のタイムループ 作家名:森本晃次