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答えを出してくれる歴史

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 ということであり、結婚どころか、最初から逃げる男性の子供を宿したことに、後悔しかなく、完全に恋は冷めてしまったとすれば、後は、
「子供の始末」
 しかないのだ。
 そのためのカンパということなのだが、みずきは、まだまだ、そのあたりのことに関しては、知識がなかった。
 そうなると、感情や理屈もよく分かるわけはなく、
「せっかく授かった命を」
 という、正当派な考え方しかできないのであった。
 だから、みずきは、
「私はちょっと」
 といって、カンパはできなかった。
 そうなると、まわりからすれば、
「何をお高く留まっているのよ」
 と、協調性のなさしか、みずきに感じない。
「そんなに、お金がもったいないというのかしら?」
 と友達の危機だと思っているので、皆はそうとしか思わないが、みずきにしてみれば、
「そこまで仲良くもないのに」
 という思いの方が強く、
「決して交わることのない平行線を描いている」
 ということであった。

                 教育問題

 みずきは、そのカンパには、お金を出す気にはなれなかった、中には、そんな女の子もたくさんいたようだ。実際に、妊娠した女の子というのが、普段はおとなしい子であったが、自己主張の強い子で、クラスの中ではあまり好かれる子ではなかったのだ。
 だから、普通であれば、まわりから助けてもらえるような女の子ではなかったはずなのだが、助けてもらえるというのは、
「相手に何か含みのようなものがなければいけないだろう」
 ということであった。
 そう、カンパしてもらったお金の中から、いくらか、抜こうとしていたのだ。
「いわゆる、
「中抜き」
 というもので、彼女たちからすれば、
「手数料だ」
 ということで、いくらでも言い訳はできるだろう。
 そもそもが、口外できない募金であり、特に学校側にバレれば、問題となり、最悪退学案件であろう。
「お金がなければ、堕胎もできないし、かといって、自分から、バレずにお金を作ることはできないし」
 ということであった。
 今の彼女がお金を集めようとするなら、普通にアルバイトをしても、とても集まるものではない。
 学校を休んで、その時間、ずっとアルバイトしても、足りるかどうか。
 親に言うなどできるわけはない。まず、間違いなく、彼女が考える、
「最悪の結果」
 しかもたらさないだろう。
 彼女は、頭が悪い方ではない。頭の回転もいい方だ。
 親は、
「私たちがロクな学校を出ていないので、娘には、いい学校を出て、幸せになってもらいたい」
 という思いを抱いていた。
 それはそれで悪いことではないし、気持ちも分かるというものだ。しかし、それだけに押しつけのような教育になり、子供が大いに反発するだけの親だったのだったのだ。
 そういう意味ではみずきの親とは正反対だった。
 みずきは、そんな親を、
「羨ましいとは思わないが、自分の親だったら、恨んだりはしないだろうな」
 と思っていた。
 やはり、
「なんといっても、他人事」
 なのである。
 だから、彼女に対して、
「可愛そうだ」
 とは思わない。
「自業自得なんだ」
 ということは間違いではなく、彼女の行動の半分は、
「親に対しての反発なのだろう」
 というところだけは、自分と同じなので、分からなくもないが、浅はかすぎるというものではないだろうか?
 しかも、子供は最初から作ろうとしたわけでもない。
 もちろん、結婚のために、既成事実として作ろうというのも、吐き気がするほど胸糞悪い気分にさせられるが、
「できちゃった婚」
 というのも、もっと腹が立つのであった。
「避妊くらいすればいいじゃない」
 というのが、すべてであり、それ以上でもそれ以下でもなかった。
「だって、気持ちいいもん」
 とかいう、
「お花畑」
 の中にいて、自分がそのお花畑にいるという自覚すらないという、能天気を通り越したやつに、誰がカンパなどするというのか。
 それこそ、
「そのあたりの野良犬にでもやった方がいいくらいだ」
 と、徹底的に、避妊もせずに赤ん坊ができてしまい。しかも、その子を安易に堕胎しようということに対して、
「お金を出すなど、ありえない」
 と思った。
「皆、どういうつもりで、お金を出すんだろう?」
 と考えたが、これに関しては、みずきにもすぐに分かった。
 それは、
「明日は我が身だ」
 ということを考えているからだろう。
「いつ、自分も、誰かの子供を宿して、堕胎しなければならない」
 と思っているからなのかも知れない。
 それだけ、自分たちも避妊もせずにえっちをしているのか、それとも、将来彼氏ができて、同じことにならないとも限らないということを考えていることだろう。
 いや、
「今回の件に限らず、ここで運を売っておけば、自分が今後何か窮地に陥った時、誰かが助けてくれる」
 ということにならないだろうか?
 ということを考えているからであろう。
 そういう意味で、
「カンパを集めることをまるでアルバイト感覚でやっている」
 という人が出てくるというのも分からなくもない。
 みずきは、正直、
「確かに、堕胎しようとする人間も嫌いだが、人の弱みに付け込んで、カンパ役を引き受けようという輩は、もっと嫌いだった」
 というのも、
「あの人たちは、楽して金を稼ごうと考えているだけだからだ」
 と思うので、みずきは、
「避妊に対してお金を出すのも嫌だけど、あんなカンパ役の連中に、みすみす金を抜かれると分かっていて、お金を出すなど。本当に、野良犬にくれてやった方が、まだマシだ」
 と思うのも、無理もないことだったのだ。
 まわりの人がどれほどのことを考えていたのか分からないが、実際に、カンパしようという人は、想像以上に少なかったようだ。
 カンパ役の人たちは、昔の話も誰かに聞いていたようで、
「昔は、クラスメイトに頼めば、堕胎費用くらいは、いくらでも、カンパできたのに」
 と思っていた。
 だから、クラスで堕胎する人は一人ではなく、次から次に現れても、
「またなの?」
 とは言っても、2人目も、3人目も、同じようにカンパに応じてくれていたようだ。
「本当に今の時代は、世知辛い世の中になったようだ」
 とカンパ役は嘆いているが、自分たちも、その世代なのである。
 もし、立場が分かっていれば、
「自分もカンパなどしなかっただろうな」
 と感じることだろう。
「今と昔とでは、どっちが、堕胎する人が多かったんだろう?」
 と、カンパ役は考えていたが、時代の違いということもあり、
「あまり、それは関係ないのではないか?」
 と思っていた。
 カンパ役として集めた金を抜いているのだから、もちろん、
「数が多いに越したことはない」
 といえる。
 しかし、彼女たちも、何も、
「お金に困って」
 というわけではない。
 別に、そのお金がないならないでいいのだ。ないからといって、困るわけではない。
「じゃあ、なぜ、そんなことを?」
 ということであるが、実際には単純なことで、
「楽して金が手に入る」
 ということだったからだ。