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三つ巴の恐怖症

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 ただし、精神疾患などがある患者に対しては、さすがに病院もシビアだ。
 盗聴や、病室の録音、防犯カメラなどは、普通に設置してある。
 もちろん、プライバシーに関しては、十分に厳しい。
 下手に、録音を表に流したり、ここで得たプライバシーを横流ししたり、しようとすれば、
「最低でも、この人は社会的に抹殺される」
 といっても過言ではない。
「処刑されないだけでも、ありがたいと思え」
 というほどの重大なことであり、さすがに、これは非合法なことなので、表の誰も知らないことだ。
 この秘密をばらしても同じことで、そうなると、まるで、
「国家反逆罪なみに、極刑に、処せられてもしかたがない」
 ということになるだろう。
 そして、ここに入院している人、それは
「深町唯」
 という女の子で、極端な高所恐怖症であり、それが原因で、様々な精神疾患になってしまっていたのだ。

                 大団円

 彼女が、高所恐怖症になったのには、どんな過去があったのかまでは分からないが、それによって今、特殊な能力を持つようになったということであった。
 それは、先生にしか知らないことであり、その彼女もそれは分かっているはずだったのい、彼女が、友達である、いちかに対して、自分が高所恐怖症であり、その特殊な力に対して話した。
 病院側も、別に高所恐怖症の話をするくらいは、何でもないと思っていた。
 しかし、その影響で、他の力が備わっていることをいうのは、タブーだと思っていたので、この病院にある研究所の所長で、心理学や精神科の博士号をもっている先生にそのことを告げて、その様子をカメラで見ていたが、
「やめさせましょう」
 と言った助手をいさめて、
「いや、このままにしておこう」
 といって、その様子をじっと見ていたが、どうやら、助手には、
「博士が興奮している」
 という風に見えて仕方がなかったのだ。
 助手には、
「博士はどうしてしまったのだろう?」
 と思えたのだ。
「博士たる人に限って、おかしな考えをもつわけはない」
 というほどに、助手は博士を崇拝していた。
「この気持ちは俺だけではなく、他の人も同じ感覚になっていることだろう」
 と思う程の、
「唯一無二の博士だ」
 と思っていたのだ。
 そんな状態において、博士が、
「もう少し様子を見る」
 と言ったのだから、この中に何かの秘密が隠されていると、助手は考えた。
 それは、唯が、人と一緒に話すことで、
「それまでになかった何かの覚醒が得られる」
 ということか、それとも、
「相手の女の子に何か秘密があるのか?」
 などということであった。
「彼女阿?」
 と博士が友達のことを聞くと、
「どうやら、最近知り合ったお友達だということでした」
 と助手じゃ答えた。
 博士はそれを聞いて、黙って見ているだけだった。
 中では、唯がいちかに話をしている。
「私の高所恐怖症って、心理学でいう、サッチャー錯視に関係があるんですって」
 という。
 これは、本来なら、口にさせる言葉ではないはずだった。
 しかし、今回は、
「博士の許可がある」
 ということで話をさせているのだが、どうやら、いちかは、
「サッチャー錯視」
 という言葉を知ってはいないようだった。
 しかし、
「上下逆さまに見ると、まったく違って見える錯覚のこと」
 というと、何かを感じたのか、いちかは考え事をしているようだった。
 そして、いちかもおもむろに話始めたのだ。
「私は何か、自分の中で分からないと思っていたことがあって、それが、どうやら、暗所恐怖症じゃないかと思うの。私も、高所、暗所、閉所の三大恐怖症というのは聴いたことがあるし、どれも、病気というほどでないくらいに感じている人がほとんどだって思うの。だけど、それが、自分でも理解できないほどのことであったとすれば、そこに何かの力が備わっているんじゃないかって思うんだけど、唯さんのサッチャー錯視と、高所恐怖症というのは、分かる気がするわ、だって、高いところから見下ろすのと、下から見上げるのでは、同じ場所にいてもまったく違っているでしょう。それは、股の間から覗く、天橋立のようなものじゃないかって思ったりしたんだけど、そこに連想されるんじゃないかしら?」
 という。
 それを聞いて、助手は興奮してしまった。
「こんな中学生くらいの女の子が、こんなことまで分かるなんて」
 ということであった。
これに関しては助手だけではなく、博士も感じていることだった。
「なるほど、博士が話を遮らない」
 というのは、これが分かっていたからなのかも知れないな。
 と助手が感じ、あらためて、博士のすごさが分かったのだった。
 博士は、その後、彼女を研究室に呼んだ。いちかは、怯えていたが、何かを覚悟したかのように、分かりました」
 といって、帰りに寄ることを快諾したのだ。
 そして、保守に耳打ちをするように、
「桜田えいり君も、呼んでおいてくれたまえ」
 というのだった。
 えいりという女性は、同じ恐怖症の中でも、
「閉所恐怖症」
 というものを患っていたのだ。
 つまりは、ここで、三代恐怖症の人間が、ちょうど集まったというわけで、このことに対しての博士の異常なまでの興奮は、助手にも分かったが、
「本当の意味での興奮を、他人が分かるはずなどない」
 と博士は感じたのだった。
 もちろん、別室には、唯も呼ばれ、いちかと、さらに、閉所恐怖症であるえいりの参院が集められた。
「すみませんね。皆さんに集まっていただいて」
 と博士は言った。
 一人だけ、えいりだけが、怯えていたのだが、あとの二人、いちかと唯は、それほど怯えてはいなかtった。
 むしろ、
「これから何が始まるのか?」
 ということに興味津々だったのだ。
 唯はここの入院患者なので、博士も助手のこともよくわかっていた。だから、それほど違和感はないのだが、いちかは、初対面のはずなのに、まったく動じることもない。
 それを博士は、
「まるでここに来ることを予知していたかのようだ」
 ということで、調べていく中で、
「いちかという女の子には、そんな予知能力はないようだ」
 ということであり、ということは、彼女は、
「それだけ順応性があり」
 さらに、
「頭の回転が速い」
 ということになるのだろう。
 それを思うと、
「私の目に狂いはなかった」
 ということだ。
 ここで博士が何を考えているのかというと、
「例のクーデター」
 であった。
 この、
「恐怖症」
 をそれぞれ持った三人というのが、どんな力を秘めているというのか、その全貌に関しては、助手にも分かっていない。
「私が考える理論は、簡単に口にできるものではない」
 といっていて、その中で、
「この三つの恐怖症」
 というのは、
「三すくみが絡んでいる」
 というのが、博士の自論だったのだ。
 というのは、博士がいうには、
作品名:三つ巴の恐怖症 作家名:森本晃次