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ステルスの村

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 だったのだ。
 アメリカを中心とした、
「民主主義陣営」
 さらに、ソ連を中心とした、
「社会主義陣営」
 というものが、朝鮮半島で一触即発だったのだ。
 そもそも、南部と北部でそれぞれが支配する状態というのは、ドイツのベルリンにおいても同じであり、ベルリンは、
「壁の建設」
 ということで、戦争には至らなかったのだが、朝鮮半島では、
「統一を合言葉に同一民族の戦争が起こったものを、それぞれの陣営が、後ろ盾となっての、代理戦争が巻き起こった」
 ということであった。
 緒戦戦争では、そもそも、アメリカにおける。
「お花畑」
 と言われる発想が引き起こした戦争だった。
 それは、アメリカとしては、
「ソ連は戦争を恐れて、仕掛けてくることもないし、中国は、統一がなったばかりで、外国に兵を出すだけの余裕はない」
 ということを考えて、韓国軍に、ほとんど武器は与えていなかった。
「武器弾薬は、ほとんどが、旧日本軍が残していった旧式のものが多く、さらには、軍隊としての統率もなっていなかった。さらには、いざとなると、アメリカが守ってくれる」
 という思いもあったのか、韓国軍は、戦闘機に関しては、
「練習機はあるが、戦闘機は一機も持っていなかった」
 というのが、実情だったのだ、
 しかし、北朝鮮の金日成は、スターリンに対して、
「韓国に攻めこむ」
 ということの許可を貰い、さらには、
「表立って協力はできないが、戦闘員の訓練や、武器供与などの、後方支援は行う」
 といってくれたのは、北朝鮮にとって、ありがたいことであった。
 北朝鮮は、訓練に訓練を重ね、ソ連や中国からの武器供与を受け、満を持して、38度線を越えたのだ。
 ふいをつかれ、武器も兵器も満足にない韓国軍はひとたまりもなかった。
 首都ソウルが、たった3日で、降伏したというのも分かるというものだ。
 何といっても、朝鮮半島における支配として、占領軍は、まったく予測もしていなかったことだろう。
 総司令官のマッカーサーは、韓国に入ることもなく、日本にいて、統治をしようとしたのだから、当然。何もできなかったのだった。
 北朝鮮軍は、一気にプサンに迫る勢いで、
「このままだったら、韓国軍は全滅し、朝鮮半島は、社会主義国家になってしまう」
 ということだったのだ。
 中国が、社会主義国家となってしまったことで、アメリカはその面目が潰れていただろうから、今度朝鮮半島が社会主義化するということは、許されないことだっただろう。
 そもそも、中国が社会主義化したというのも、当時の中国は、日本との戦争が終わり、そもそもくすぶっていた、
「当時の中国の政府であった国民党」
 と、
「反日というスローガンにおいてだけ結びついていた共産党」
 というのが、内線をしていたのが、再燃したのだった。
 相手が社会主義の共産党ということで、アメリカは、最初国民党を支援していたのだが、国民党の態度に怒りを感じたという理由で、国民党への支援を辞めたのだ。
 その真意に信憑性があるのかどうか分からないが、国民党は、アメリカに見限られ、支援がないまま、ソ連に支援され続けた共産党が、一気呵成に、国民党軍を破り、台湾に追いやったのだ。
 これが、今も遺恨として残る、
「一つの中国問題」
 であり、中国が、
「台湾政府の存在を許さない」
 という形で、
「台湾は中国だ」
 と主張していることだった。
 そもそも、アメリカが見限った台湾政府であるが、社会主義と立ち向かっているという意味で、
「台湾は、こちら側」
 ということになり、こちらも、
「第二の冷戦」
 といってもいい、
「台湾問題」
 というのが、世界平和を脅かすということで、今でも大きな問題として、くすぶっているのだった。
 朝鮮半島は、まだその時、北を、ソ連に、南をアメリカに、
「分割統治」
 されていたのだった。
 そんな時代に、また、日本は、
「戦争特需」
 というものが、巻き起こった。
 今回の戦争特需は、
「国連公認」
 ともいうべきもので、
 何といっても、アメリカが、
「自国の名誉」
 というものを取り戻すためのものであった。
 さすがに、このまま、朝鮮半島を社会主義国家に占領されてしまっては、まずい。せっかく日本を民主主義陣営に取り込んでいても、肝心のまわりを社会主義に固められると大変だ。
 しかも、中国や韓国、さらには、東南アジアの国は、日本がそもそも、スローガンとしていた、
「欧米列強に食い物にされている東アジアの国を開放し、自分たちだけで自立できるという、大東亜共栄圏というものを目指して戦争をしていた」
 ということで、実際には、東南アジアの植民地を、日本のものにしようと思っていたと考えているので、
「日本の民主化、平和主義は有難いのだろうが、だからといって、社会主義に取り込むというのも、過去の歴史を考えると難しい」
 と言えるだろう。
 そうなると、
「黙っていてもらう方がいい」
 ということで、中国、韓国と周りを固めるという方がいいのではないだろうか?
 朝鮮戦争は、その後、国連軍による、
「仁川上陸作戦」
 が功を奏して、一気にピョンヤンあたりまで、連合軍が押し返したが、そこでまたマッカーサーの考えが甘かったようで、
「来るはずのない」
 と思っていた中国軍が参戦してきたのだ。
「中国人民解放軍」
 が人海戦術で攻めてくると、今度は、また、一進一退を繰り返すことになる。
 それによって、今度は、マッカーサーがキレるのだ。
 当時のトルーマン大統領に向かって、
「中国の数都市に対して、原爆投下の許可を」
 というものを申請したことで、今度は、トルーマンがビビッてしまった。
「さすがに、そんなことをすれば、第三次世界大戦となり、核戦争が勃発する」
 ということになるのだ。
 すでに、ソ連は原爆開発に成功していて、ここから先は、
「破滅戦争になる」
 ということが分かり切っているからであった。
 それを考えると、
「戦争はできない」
 ということになり、原爆投下は、明らかに、
「パンドラの匣」
 を開けてしまうことになるのだった。
 それを思うと、さすがに、
「日本に原爆を投下したトルーマン大統領」
 といえども、
「原爆投下の許可など出せるはずがない」
 ということで、結果、
「マッカーサー元帥の更迭」
 ということになったのだ。
 マッカーサーは解任され、アメリカに帰るが、戦争は、休戦協定が結ばれないまま、今だ戦闘状態というおかしなことになっている。しかも、その休戦協定の調印に反対したのは、
「なんと、韓国だった」
 というではないか。
「朝鮮の統一を目指す」
 ということであったのだろうが、これが、その後の、
「代理戦争の火種」
 となったのは、間違いないことだっただろう。
 朝鮮戦争、ベトナム戦争を経て、好景気に沸いた日本だったが、いつの間にか、日本は、バブル期を迎え。それがあっという間に崩壊したのだった。
 その間に、世界情勢はかなり変わった。何よりも、東西両陣営の対立の象徴とまで言われた、
「ベルリンの壁」
 が崩壊し、
 さらに社会主義帝国最大の、ソビエト連邦が、崩壊したのだ。
作品名:ステルスの村 作家名:森本晃次