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ステルスの村

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 と考え、そのあたりに張り込んでいると、一つ、気になることを発見した。
「まったく同じ時間に、毎日。判で押したように、男の子が現れる」
 ということであった。
 しかし、それは、同じ男の子ではなかったのだ。
 毎日日替わりで、入れ替わるようにやってくる。見ている光景は、まるで。
「デジャブ」
 のようで、しかも、
「同じ日を繰り返しているのではないか?」
 と感じるのだが、そうではないということを、
「男の子が違う」
 ということで分かるのだった。
 それを思うと、
「この街の、神社では、何かが起こっている」
 といってもいいような気がした。
「このまま、張り込んでいるよりも、神社を突撃した方がいいような気がする」
 と刑事は考え。翌日から、境内にいてみることにした。
 しかし、実際に。境内にいてみると、そこに、いつもと同じ時間に誰かが境内までの階段を上ってくるのを見ていたのに、待ち構えていると、一向に現れる気配がない。
「おかしいな」
 と思い、翌日も、さらに、その翌日も張り込んでみるのだが、一向に誰も現れないのだ。
「これは一体どういうことか?」
 と考えたので、
「一人では無理だ」
 ということで、さすがに刑事課の人には、単独でやっていることなので頼めない。
 そこで、近くの交番の人に声を掛けてみたが、そこに一人いる人が、
「私もあの村で起こっていることが、不思議で仕方がなかったんですよ。いいですよ、私も協力しましょう」
 ということをいってくれて、強力な味方が現れたのだった。
「ありがとう。そういってくれると、心強いよ」
 ということで、翌日から二人で見張ることになった。
 問題の時間、下から、警官に関ししてもらって、境内では、刑事が待ち構えるという方法だ。
 これであれば、見逃すということはないだろう。何といっても、階段は、一つだけなのだからである。
 この境内までの階段は、結構長いものだ。村の小高い丘、もっといえば、その後ろにある山の中腹と言ったところに建っているのだから、
「村を見下ろす鎮守」
 という言葉がぴったりのところであった。
 二人は計画通り、それぞれの場所に待機して、時間が来るのを待っていたのだ。
 逢魔が時に近づいてくると、生暖かい空気を感じた。
 刑事は、
「いかにも、逢魔が時と言われる時間なだけのことはある」
 と思って、ゾッとした気分になっていると、次第に、風がなくなってきていることを意識していた。
「これが夕凪か」
 と感じていると、さっきまでゆっくりだった時間が、胸の鼓動と同じく、早鐘のように、あっという間に過ぎていくような気がするのだった。
「夕凪って、こういう時間をいうんだ」
 と、捜査の時には、
「逢魔が時」
 だけは意識したが、
「夕凪の時間」
 というものを意識するまでには至らなかったのだった。
 それを思うと、
「丑三つ時にも、同じような段階的な時間があるのかも知れないな」
 と思った。
 夜は夜で、行方不明の女性を捜索は打ち切られたが、ただ、警らの警官は、それなりに意識することを、いつも言われていた。
「女性が一人でいるのを見つけると、すぐに通報」
 ということを言われていたのだった。
 しかし、一向に女性が現れることはなく、そろそろ、子供たちが戻ってきた、
「3カ月」
 くらいになるのであった。
 実際に、行方不明の女性がいるにも関わらず、警察が捜査本部を閉じたのは、
「村人も、そのうちに帰ってくるから」
 という状況で、誰も心配しなくなったからというのが理由であった。
 何と最初にあれだけ、半狂乱になっていた両親が、
「そのうちに帰ってくるから」
 といって、安心しきっていることが不思議だったのだ。
「まるで誰かに洗脳でもされているのかな?」
 と思えるほどで、その気持ちがどういうことになるのか、刑事にもさっぱり分からなかった。
 一つ言えることは、
「あの村は、閉鎖的な村」
 ということで有名だということを知っているので、
「だからといって、娘が行方不明なものを、ここまで安心しきれるものか?
 というのが不思議だった。
 本当に、洗脳という言葉がリアルに感じられるくらいだったのだ。
 そういえば、昔の特撮番組を、有料放送で見たことがあった。
 それは、ちょうど、父親が子供時代に見ていたであろう特撮番組で、
「やっと、カラーテレビが普及し始めた頃」
 といってもいいくらいの頃だった。
 その番組は、三十分番組の、一種の、
「第一期特撮ブーム」
 と呼べる頃であっただろう。
 巨大宇宙人ヒーロー」
 が、地球の平和のために、
「地球防衛軍とともに、戦う」
 という設定であった。
 その中に、
「宇宙からの侵略者」
 というのをテーマにしたものがあり、中には、
「これって、本当に侵略なのか?」
 と思える話もいくつかあったりした。
 そして、その中で、あった話として、
「人々が、急に消失する」
 という、行方不明事件があった。
 最初は、
「誘拐ではないか?」
 ということで警察が捜査していたが、そうではないということが分かってくると、今度は、地球防衛軍に助けを求めてくるのだった。
 地球防衛軍が捜査を続けていると、
「行方不明になった人が、途中で倒れていて、仮死状態だと分かる」
 宇宙人とその後話をすることになるのだが、宇宙人の話としては、
「我々の星では、星人の老朽化が進み、若い人がいなくなった。そこで、若い肉体を求めて地球にやってきて、それらを誘拐し、自分の星で、奴隷として、こき使う」
 という計画だったという。
 それを、
「正義のヒーロー」
 と、
「地球防衛軍で、宇宙人と、宇宙人に操られる怪獣をやっつけることで、何とか、誘拐された人が救われる」
 という話だった。
 実は、似たような話は、それから数年前にも同じ会社が製作した
「特撮番組」
 でも取り上げられていた。
 要するに、
「若い肉体を求めて、誘拐しに来た」
 というところが同じだった。
 今回の事件を考えている時、警官は、その昔のテレビを有料チャンネルで見たのを思い出した。
 彼は、昔の特撮が好きだったからだ。
 ただ、彼がその話を思い出したのには、もう一つ理由があった。
 というのは、
「この話は、今の時代にもい言えることなのではないか?」
 ということであった。
「老朽化して、若い肉体という、労働人口が足りない」
 ということである。
 今、リアルに直面している国家レベルの問題で何かを思い出さないだろうか?
 ということであるが、賢明な読者であれば、作者が何を言いたいのかということくらい分かるであろう。
「そう、少子高齢化」
 である。
「働き盛りが、老後の人間を支える。少子化であり、長寿が進んでいるので、老人が減らずに、若者がどんどん、いなくなり、老人になっていく」
 という問題である。
「前は、5人で1人を支えていたのに、今では、2人で1人を支えている」
 という時代である。
 まったく無視できない問題ではないだろうか?
 そんな話を思い出していると、
「まさかな?」
 と、今回の誘拐というべきか、
「神隠し」
 のような事件では、子供たちは、
作品名:ステルスの村 作家名:森本晃次