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生きてはいけない存在

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 ここの線路は、JRではなく、全国でも私鉄大手としては、有名なところであった。
 それこそ、昭和の時代までは、
「プロ野球球団」
 などを持っていたが、昭和が終わり、平成に入ってからの、
「三公社」
 がそれぞれに、民営化をした時代に、大手企業の、
「業務見直し」
 というものが、どんどん起こってくるのであった。
 ちなみに三公社というと、まずは、
「国鉄」
 であった。
 鉄道は元々は私鉄であり、明治時代の途中で、国営化された。
 それから、政府に鉄道省のようなものができて、
「省電電車」
 などと呼ばれるようなものだったのだ。
 しかし、鉄道省がなくなると、
「国鉄」
 と言われるようになり、昭和が終わる頃まで続いた。
 国鉄というものは、
「慢性的な累積赤字」
 というものを抱えていた。
 今から思えば、実に考えられないような経営をしていた。
 例えば、
「社員全員に、フリーパス」
 なるものをあたえていて、
「このパスがあれば、どこにでもタダで乗れる」
 というもので、当時の国鉄職員は、自慢げに宝物だといって、人に見せびらかせていたものだ。
 竹下巡査も、友達の親が持っているというような話を聴いた、ギリギリの年齢だったかも知れない。
 しかし、だからといって、
「羨ましい」
 とは思ったが、逆に、
「それくらいのことは、働いてもらっているのだから、当たり前のことだ」
 と子供時代には思っていた。
 確かに、どこの会社でも、会社のものを購入すると、すべてというわけではないのだろうが、
「それくらいの、社員への還元は当たり前のことだ」
 と思っていた。
 確かに、自分の父親の会社でも、
「社員割引」
 というものがあった。それが当たり前だった時代だと思っていたのだ。
 そういう意味で、竹下少年が一つ感じたのが、
「医療費」
 というものであった。
 小学生の頃、父親が、風邪をひいて病院に行くことになったのだが、その時、竹下少年にも移っていて、
「一緒に診察してもらおう」
 ということで、父親に連れられて病院に来た。
 普段であれば、近くのかかりつけの小児科があったのだが、
「親と一緒に風邪を引いたのだから、一緒に見てもらえばいい」
 ということで、父親が連れてくることにした。
 父親も、自分も、
「ただの風邪」
 ということで事なKを得たのだったが、
 当時の病院は、今のように、調剤薬局が別れているというわけではなく、むしろ、病院の中に薬局があるのが当たり前だった。
 今の病院からは想像もできないことを、当時の病院は行っていた。
 そのほとんどが、衛生面に関してのことだったのだ。特に今の人から想像できないのは、
「注射器の使いまわし」
 ということであった。
 シリンダーやピストン、さらに、注射針まで、再利用をしているのが、当たり前のことだったのだ。
 だから、病院には、金属の四角いものがあり、今の人なら、
「これは何に使うものなのか?」
 ということは分からないだろう。
 竹下巡査よりももう、ほんの少し若い人くらいまでは見たことがあるだろう、そのものは、
「煮沸器」
 と呼ばれるもので、中には沸騰するくらいの熱湯が入っていて、そこには、
「見たこともないような大きなシリンダーや、注射針が入っていて、
「煮沸することで、再利用している」
 ということだったのだ。
「衛生面で、不潔だから」
 という理由で、それを今では再利用しない。
 ということだと思っている人が多いだろうが、もっとハッキリとした理由があった。
 それは、昭和の終わりことから、忽然と現れ、騒がれるようになった、
「エイズ」
 という病気であった。
 当時は、ある意味、
「不治の病」
 と呼ばれるようなもので、
「国民のほとんどは、その怖さに恐れおののいたもの」
 だったのだ。
 潜伏期間が、
「5年から10年」
 ということで、恐ろしいものだということも分かっていた。
 最初は、
「謎の病衣」
 ということで、いろいろなウワサが飛び交ったものだ。
 それが、デマだったのかどうなのか分からないが、子供心に気になったのが、
「ベトナム戦争時代に、米軍の手によってばらまかれたとされる兵器によるものではないか?」
 と言われていた。
 それは、
「枯れ葉剤」
 と呼ばれるもので、
「森や密林に潜む、ゲリラ部隊をせん滅させるためのもので、まるで、それは、敵に対しての、害獣駆除だ」
 といってもいいだろう。
 それの影響から、流行り出したというようなものであったが、
「戦争からの帰還兵」
 から流行したということを、実しやかに言われるようになっていたのだった。
 そして、エイズに対していろいろなことがあった。
「同性愛者に多い」
 あるいは、
「病院で観戦した」
 などというものである。
 エイズで職の頃に分かったこととして、
「体液によって感染する」
 ということであった。
 だから、最初は、
「性交渉で危ない」
 と言われていたので、性風俗などは、危ない」
 と言われていた。
 しかし、
「ゴムをつけていれば安心」
 ということであったり、それによって、
「正しい知識」
 というものが、次第に判明していった。
 今では、
「不治の病」
 と言われていた頃ほどのひどいものではなくなっているようで、ただ、
「潜伏期間が長い」
 ということが厄介であった。
「同性愛者に多い」
 というのも、理由も分かっていて、
「皮膚の粘膜が薄いところが破れて、そこから体液が体内に流れ込んでしまう」
 ということのせいだというのだ。
 皮膚が破ければ、なるほど、身体に入り込んで感染するのも分かるというものであったのだ。
 そんな時代もあり、当時は、
「人類にとっての危機」
 とまで言われ、
「ノストラダムスの大予言」
 というものの理由の一つになるのではないか?
 というようなことも言われるほどの衝撃的な流行だったのだ。
 そんなエイズには、
「薬害エイズ」
 というものがあり、
「輸血で感染した」
 というものや、
「誤って、注射針が刺さってしまったことで、感染した」
 という、
「院内感染」
 というものが多かったのだった。
 それを考えると、
「注射器の使いまわし」
 というものが、タブーとなったのも分かるというものだ。
 もちろん、衛生面からでもそうなのだ。
 昔であれば、
「使い捨てなど、まだまだ使えるのにもったいない」
 ということであった。
 そういう意味で、今は使い捨てだということで、注射器もそんなに大きなものは今はないだろう。
 昔であれば、子供が見ただけで、震えてくるほどの、大きな注射針だったものが、今ではそんなに大きなものを使っていない。
 それだけ、
「子供が怖がるということはなくなった」
 というものだ。
 だから、今の子供は、
「注射器は使い捨てだ」
 ということは分かっているので、
「煮沸器」
 などというもの、そして、その煮沸器から取り出す時に使っていたピンセットで掴みあげるところなど、見たことはないだろう。
 煮沸器のようなものとして、どこかで見るとすれば、そう、
「コンビニなどの冬の風物詩」
作品名:生きてはいけない存在 作家名:森本晃次