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生きてはいけない存在

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 ということになるのではないだろうか?
 そう考えることで、入社すぐのモテキを、
「来るべき時が来たんだ」
 と感じたのも、正直、無理もないことのように思えた。
 入社してから、
「ここから、またスタートラインで、皆と競うことになるのかな?」
 と感じたのは、
「果てしないゴールのない道を、その節目でいったんリセットして、歩んでいくことになる」
 という思いがあったからだ。
 これは、
「時間内に、ゴールしなければ、また頭から、振り出しに戻る」
 ということで、基本的に、最初から、
「ゴールなどできない」
 という、まるで、
「出来レース」
 をさせられているかのようだ。
 と感じていたのだ。
 だから、正直いうと、
「こんなスパイラルな生活から抜け出したい」
 という思いにいたっていたのも事実であり。
「出来レース」
 をするくらいなら、
「違う道を歩みたい」
 とも感じていた。
 そこに飛び込んできたのが、
「予期せぬ、モテキ」
 だったのだ。
 それまでとは違う感覚に、どこか癒される気分を感じながら、
「自分を中心に争っている男たち」
 という構図から、
「これまでは、自分の努力だけで勝敗が決していたのだが、この場合は、自分を取り巻く環境が勝ち負けを決めてくれる」
 という感覚から、
「出来レースではない」
 ということを感じると、少し、
「このモテキに乗ってみたいものだ」
 ということで、周りに対して、あざとい態度を取ることにしたのだった。
「あざとさというものが、どういうものなのか?」
 と感じていると、
「自分がまわりに取っている態度が合っているのか、間違っているのか分からない」
 というものであった。
 それでも、
「合っている」
 と思わないと、自分の意思がフラフラしているようで、どうしようもない状況に追い込まれていると思えてならなかった。
 自分の態度がどこまで正しいのかということを考えると、それまでの経験がないので分からない。
「私はこれまで、これだけの勉強をしてきたというのに」
 ということを考えていたが、
「勉強など、あくまでも、予行演習にすぎなくて、実践ともなれば、まったく役に立たない」
 ということになるのではないかと思うのだった。
 もっとも
「まったく役に立たない」
 というのは、あまりにも大げさであり、役に立つということも正直あるに違いない。
 さて、大人になってからというもの、
「社会人になれば、学校時代とは違って、さらに、厳しい現実が待っている」
 と思っていた。
 それは、あくまでも、
「今まで勉強してきたことを、最大限に生かして、成長していく」
 というのが大前提だと思っていたが、
「まさか、ここまで学生時代の勉強が役に立たないなんて」
 と思うのだった。
 人間関係であったり、要領の良さなどというものが、社会に出ると役に立つというのは聴いたことがあったが、
「まさか、それだけだったとは」
 というほどに、勉強は役に立たない。
 下手をすると、中学レベルでも知識としては十分だということなのかも知れない。社会人というものが、いかなるものか、正直、それを感じるのが、
「五月病だ」
 ということであろう。
 そんな彼女は、次第に、会社の男性陣と、女性陣、それぞれの思惑の中で、振り回されていった。
 それだけ、素直で実直だったということだろうが、その分、
「自分を苦しめるかのように、融通が利かない性格だった」
 ということになるであろう。
 結果、一人で、自分の中に引きこもってしまい、引きこもったことを、すべて自分のせいだと思うことで、逃げ道を失い、結果、精神疾患に見舞われた。
 最初は、
「鬱病」
 ということであったが、そのうちに、
「パニック障害」
 であったり、
「幻聴、幻覚」
 を見るようになることで、
「他の病気ではないか?」
 と言われるようになった。
 調べてみると、
「双極性障害の、鬱状態だった」
 ということで、再度精密検査をすると、
「会社への出勤は、厳しい」
 ということになり、ドクターストップがかかったのだ。
 最初は、
「休職扱い」
 であったが、それも、期間が長引けば、その分、会社からの、
「退職勧告」
 が厳しくなった。
 すぐには、退職はしなかったが、よくよく考えてみると、
「こんな風になったのは、会社での私の知らないところで、勝手に標的にされて、自分がこもってしまったことが原因だ」
 と、気が付いた。
 しかも、どうしてこのようになったのかというと、
「私は、自分のことを、絶えず客観的に見ることができると思っていたが、実際には冷静に見ることができなかったことで、そのギャップに、苦しんでいた」
 ということであった。
「自分で分かっているつもりでいるのに、そうではなかった」
 ということを、無意識に感じたのだ。
「本来なら、自分で気づかなければいけない」
 ということから、
「気付けなかった自分がすべて悪い」
 と思うようになり、自分を責めるようになってしまった。
 それを考えれば、
「自分が無意識だったのは、分かっていて、分かりたくないという自分の気持ちが、余計に、矛盾となって、襲い掛かったのではないか?」
 と感じるようになった。
 そういう意味で、
「無意識というのが、どれほど恐ろしいというのか?」
 それが怖いと思う、一番の原因ではないだろうか?
 と、感じるのだった。
 そんなことを考えていると、
「彼女が精神疾患になったのも分かるというものだが、なった原因や、状況は分かったとしても、それを治すというのは、至難の業ではない」
 と言えるだろう。
 とりあえず、病院で処方された薬を飲みながら、先生のいうことを聞いて、何とかやっていくしかない。
「誰だって、病気になんかなりたくはないんだ」
 というのは、病気の人、精神疾患に限らず、誰もが思っていることに違いない。
 特に、人の影響で病気になった人は、そのやり切れない気持ちどこにぶつけたらいいのだろうか?」
 そう思うしかないのだ。
 そんな状態において、精神疾患になったことで、惟子は会社を辞めてしまった。そこで、
「障害年金を貰ったり、生活保護を受けたり」
 などと、いろいろあったが、その中で、
「日本という国が、どれほど、弱者にひどい国かということが分かるというものだ」
 収入があれば、生活保護から、引かれるであったり、クーラーやテレビなども制限されたりする。
 それこそ、昔、江戸時代くらいまで、百姓などに言われていた
「生かさず殺さず」
 とはまさにそのことである。
 そして政治家は、票になるところには、贈収賄で、いくらでも金を使う。それこそ、税金ではないか。
 さらに、外国に金をやるのも、何かの下心があってのことであろう。
 しかも、数年前のソーリが、
「国民に金がいかないのなら、生活保護があるじゃないか」
 と言った、バカソーリもいた。
 また、庶民の生活をわかっていないのか、まだ物価がそんなに上がっていない時、
「カップラーメン、一つ500円とかいう、とんでもないブルジョワな政治家もいたくらいである」
作品名:生きてはいけない存在 作家名:森本晃次