小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

一触即発の謎解き

INDEX|7ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 

「むげには断れない」
 ということで、正当と言えるかどうかわからないが、持ってきた家財道具に見合うくらいの食料を分けてあげた。
 といっても、いくら農家でも、果てしなくものがあるわけでもない。
「できる限りのことで勘弁してください、
 ということであったが、この家では、
「こちらには、鏡をおかせていただきます」
 ということで、すべてを引き取ることのできない負い目もあって、相手が指定したものしか、受け取ることができないというのが、暗黙の了解であった。
 その家族が置いていった鏡は、物置に置くことになった。
 ちょうど、使っていないものを、物置に押し込んでいるが、霊の鏡も押し込んでしまっていた。
 そこで、鏡が一つできたことで、
「娘の部屋に、霊の、売ってはいけないという鏡を持ってこようか?」
 ということで、父親は、今回鏡が来たことで、その、
「売ってはいけない鏡」
 のことを主出したのだ。
「娘が使っていれば、むやみに、、捨てようなどということは考えないだろう」
 ということで、押し入れから取り出して、娘の部屋に設置することにした。
 鏡といっても、鏡台のようになっていて、前の台には、化粧品も置けるので、
「娘もそろそろ女学校を卒業する時期なので、化粧も普通にしたいだろう」
 ということだったのだ。
「どこかにいい人がいれば、娘を貰ってくれればいいんだけどね」
 ということであったが、
「その時には、この鏡を、花嫁道具として出さないようにしないとな」
 ということで、ちょうど、今回、物々交換で手に入った鏡が、花嫁道具には、ちょうどいいということになるだろう。
 それを思うと、
「実にいいタイミングだったな」
 ということで、今のところ、その鏡は、
「娘の花嫁道具として持っていく時に、日の目を見ることになるのだろう」
 ということであった。
 実際に花嫁道具となる時が、そんなに遠くはなかった。
 戦争中であれば、いろいろなしがらみもあっただろうし、何と言っても、大日方ん帝国は昔の流れをくんでいた・-。
 特に、自分が好きな人と一緒になるというのは難しいことで、
「家と家のつながり」
 ということで、いわゆる、
「許嫁」
 なる言葉があり、下手をすれば、物心つく前から、
「結婚相手は決まっていた」
 というのは、当たり前にあったことだ。
 しかも、戦時中などというと、戦争が激化してくると、
「赤紙」
 と呼ばれた召集令状が、容赦なくやってくる。
 そうなると、出征の前に結婚させて、
「一度でいいから、男としての喜びを味わわせてやる」
 という目的だけで、結婚させられるのだ。
 その頃の出征ともなると、
「死にに行くようなものだ」
 ということは当たり前にあった。
 さすがに国民も、戦争が怪しいところに来ているのは分かったであろう。
 戦争に負けていることも分かっているはずで、そうでなければ、まだ結婚前の、しかも、働き盛りの子供が、そんなにたくさん、召集されるわけはない。
 となると、
「生きて帰ってくるというのは、望みすぎか?」
 ということから、
「男の喜びを最後に」
 ということになるのだろう。
「じゃあ、女はどうなる」
 というのか?
 男に童貞を捨て去れるためだけに、結婚し、
「一日だけの結婚生活」
 ということで、後は、出征させるだけで、後は旦那のいない家で、
「銃後を任される」
 ということになるのだ。
「銃後というのは、夫が出征した後の家庭を守り、旦那が戻ってくるのを待つことになる。
 しかしあの時代の庶民は、女と言えども、
「竹槍訓練」
 であったり、
「軍需工場への徴用」
 であったりと、いろいろな仕事もあった。
 その、
「たった一晩の営み」
 で、子供ができたとすれば、その子を育てながらということになる。
 もちろん、旦那の親も手伝ってくれるだろうが、親も軍需工場への仕事で赴いたり、義母も婦人会であったりと、忙しいので、なかなかそうもいかない。
 しかし、家としては、大切な跡取り、大日本帝国では、
「大切な天皇陛下の子供」
 ということになるであろう。
 だから、粗末にもできない。
 そんな毎日を送っていると、今度は、夜中にも、B―29が飛来して、夜間爆撃が行われたりした。
 昭和20年に入ると、日本の大都市では、毎日のように、2,3の都市が爆撃にあった。
 大空襲で、ほとんどが焼け野原になる。
 何といっても、
「日本家屋を焼き払うことを目的とし、それに特化した戦術で投下される、焼夷弾というものの威力は激しく、空襲が終わってから、防空壕から出てきた時は、街のほとんどが焼け落ちている」
 ということになっている。
「これは、どうしようもない」
 自分の家が燃えずに残っているというのは、運のいいことだろう。
 そもそも、
「防空壕を掘って、そこに逃げ込む」
 ということでしか身を守れない。
 そこまで頑強な防空壕だったのかというのは、正直残っていないので、よくは分からないが、
「いずれは、空襲に合うかも知れない」
 ということで、いろいろな工夫がなされていた。
 その一つが、この
「防空壕」
 というものであるが、もう一つとしては、
「灯火管制」
 というものがある。
「相手は、夜間爆撃なのだから、明かりを消してしまえば、目標がどこなのか、分からない」
 というものであった。
 これは、日本以前の空襲に遭ったところでは当たり前のことであった。
 しかし、そんなものは、日本を爆撃するに際しては関係がない。
 何しろ、
「無差別爆撃」
 なのだから、相手は、
「まったく目標などを見ずに、爆弾を投下する」
 ということなので、灯火管制をしようがあまり効果がないということであった、
 さらにもう一つというのは、
「建物疎開」
 と,呼ばれるものだ。
 これは、出征していない男性で、軍需工場に行っていない連中の仕事でもあった。
 建物疎開というのは、
「空襲における爆弾が投下された時、住宅密集地であれば、誘爆を伴い、一発の爆弾で、数軒の家が、燃え上がることになる」
 ということを分かったうえで、
「だったら、街を歯抜け状態にしておけば、ひどいことにはならないだろう」
 ということだったのだ、
「誘爆を防ぐ」
 というのが目的だったが。それも、今回の爆撃では、あまり効果長かったのだ。
 なぜなら、相手が投下していくものは、通常の、TNT爆弾だけではなく、
「日本家屋を焼き払う」
 という意味で投下される焼夷弾だったのだ。
 しかも、その新型た爆弾は、大きな爆弾が投下されると、空中で、束が破裂し、鋭利な爆弾として日本家屋の壁や屋根を突き破って、そこから火災を起こさせるのだ。
 だから、
「建物疎開」
 なるものは、
「ほとんど役に立たなかった」
 といってもいいかも知れない。
 そんな爆弾が降り注ぐ中において、国民は、
「防空頭巾をかぶって、防空壕に逃げ出すのだ」
 たぶん、爆撃は都市の規模に寄って違っているのだろうが、2〜4時間くらいの間、続くことになるだろう。
 ほとんどの家は焼け野原、焼け残ったところも、とても人が住めるところではないだろう?
作品名:一触即発の謎解き 作家名:森本晃次