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一触即発の謎解き

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 と思っていたことが、解消された気がした。
 というのは、
「どんどん、小さくなっていくが、決してゼロになることはない。理論上。無限に続いていくものだ」
 ということなのだが、それを表現しようとすると、
「限りなくゼロに近い」
 という理論となるのだ。
 しかし、今の、
「地球が丸い」
 ということで、
「合わせ鏡というのは、無限ではない」
 ということになると、最後に合わせ鏡でできた小ささというのは、ひょっとすると、
「粒子のような、確認できる、最小の細胞の単位なのではないか?」
 とも考えられる。
 人間だけに限ったことでないとするならば、それは、
「元素の、最小単位」
 とでもいえるのではないだろうか?
 人間というのは、
「何か、最後まで、理屈をつけて考えるものだ」
 ということで証明できるものなのではないだろうか?
 そんなことを考えていると、
「合わせ鏡」
 というのも、
「地球という大きな力学のようなものが影響しているのではないだろうか?」
 と、考えるのであった。
 そんな合わせ鏡において、以前に、こんな都市伝説があった。
 あれは、戦後のまだ、焼け野原になった時のがれきなどが残っていて、建物といっても、バラックであったり、闇市のようなものが存在しているくらいの時のことであった。
 鉄筋コンクリートの建物も、少なからず残ってはいるが、ほどんど壊れていて、床には、がれきが散乱していて、壁も半分破壊され、雨漏りを防ぐ屋根もない状態の場所があった。
 子供の遊び場としては、ちょうどいいということなのかも知れないが、それにしても、破壊の度合いがひどいことで、
「子供が危ない」
 と、警察が、敷居線を張り、立ち入り禁止にしたところがあった。
 本来なら、区画整理をして、建て直すのが一番で、その最初に手を付ける場所なのだろうが、自治体は、その建物を何とかしようとはしなかった。
 さすがに、近所の住民は、
「早くしないと、建物が老朽化と爆撃の跡から、壊れてしまって、危ない」
 というのだが、それをしないのは、どうやら、
「近くのお寺の反対がある」
 ということからだった。
 本来なら、警察は、そんなことは気にしないのだろうが、実際に、
「近所の子供が入り込んで、数日行方不明になる」
 という、
「事件なのか、事故なのか?」
 ということが数件起こったのだった。
 1,2件であれば、気のせいということで片付けられるのだろうが、そこに持ってきて、お寺の反対なので、
「何か、恐ろしいものがついているのではないか?」
 ということで、どうしようもない状態になってしまったのだ。
 警察としても、それ以上のことを、どうすることもできないとして、
「このまま、とりあえず放っておくしかない」
 ということになった。
 しかし、
「原因が分からない」
 というだけで、
「そのまま放っておくわけにもいくまい」
 と、自治体の方でも、この状態を何とかしなければいけないということになったのだ。
 そこで、そのお寺に聞いてみると、
「何かの霊がついているのだが、それを私どもが何とかできるわけではない。どこかの霊媒師に聞いてみるしかないのではないか?」
 ということであったので、早速、有名霊媒師に来てもらうことにした。
「このビルのがれきの先に、合わせ鏡のようなものを感じる」
 というではないか。
 その霊媒師の言う通りに探して見ると、果たして、そこには確かに、鏡が一つ、綺麗に残っている。
 しかし、合わせ鏡となっているはずのもう一つがないのだ。それを聞いてみると、
「本来なら、ここに合わせ鏡があって、その合わせ鏡のおかげで、霊が静まっていたのだが、その片方が行方不明になったことで、その神通力が通じなくなった。しかも、戦争の残骸となって残ってしまったことで、霊を収めることができなくなったんだろうな」
 ということであった。
「じゃあ、子供たちが定期的に行方不明になるというのは?」
 と聞くと。
「子供たちに、壊れてしまったのか、もう一つの合わせ鏡がみえるんだろう。それで、子供が近寄ると、子供を吸い込んでしまい、一定期間、閉じ込めておくようじゃな」
 と答えるのだった。
「子供ばかりというのは?」
 と聞くと、
「それは、その鏡というのを、純粋な心を持った子供にしか見えないものだということなのではないだろうか?」
 という。
 それを聞いて、
「なるほど、言っている意味が分かる気がするな」
 ということであった。
 それだけ、この話は、怖くて、信憑性のあるものだった。
 この話は、今の時代であれば、恐ろしいということを純粋に、ホラー、オカルトなどとして聞くことができるが、戦後の人たちにとっては、どう感じることなのだろう。
 時代としては、本当に激動の時代である、
 明治から、日本というと、元々は、
「国防」
 という意識が強く、国家の存亡を、
「欧米列強に追いつけ追い越せ」
 ということであった。
 何と言っても、
「不平等条約の撤廃」
 というのが、その一番であり、そのために、産業を興し、
「殖産興業」
 を目指した。
 そして、今度は、
「貿易などで国を富ませて、兵を強くする」
 という、読んで字のごとし、
「富国強兵政策」
 を推し進めてきた。
 今度は、ロシアの脅威と、列強による植民地支配、さらには、欧州での、
「民族主義や、君主国による戦争によって、世界大戦が巻き起こる」
 という時代であった。
「一次大戦のドイツへの締め付け」
 あるいは、
「世界恐慌による、国家の貧富の差の激化」
 さらには、
「社会主義、ファシズムなどの体制に対しての、締め付けであったり、民族間の争いなどで、今度は、一次大戦が終わってからすぐに、第二次大戦が、20年も経っていないのに勃発したのだ」
 ということである。
 そして、ほとんどの国、アメリカ以外は、ほとんど、焦土となり、そこからの復興が大きかったといってもいい。
 特に日本は、アメリカの焼夷弾攻撃による、
「無差別爆撃」
 で、ほとんどが焦土となってしまっているのであった。
 そのため、ほとんどの日本家屋は焼けてしまい、鉄筋コンクリートのビルでも、廃墟と化してしまうというほどになっているのだ。
 そんな中で、
「ここまでがれきがひどくて、外側が残っていないのに、それでも何とか建っているというのは、ある意味すごい」
 と、建築の専門家にも言われたものだ。
 最初はこのビルも、優先的に、廃墟の状態を撤去され、新たなビルに生まれ変わるという計画だったはずだ。
 しかし、なぜか、ずっとこのままだったというのだが、それを気にすることがないほどに、
「世の中がカオスだった」
 ということであろう。
 まわりのことを気にしなければいけないほど、このあたりの被害は尋常ではなく、その理由は、近くに軍需工場があったということもあるのだろうが、
「人がたくさん住んでいる」
 ということも理由の一つだろう。
 アメリカは、本来であれば、
「軍需工場などの軍需施設に向かってのピンポイント爆撃しか、国際法では許されていないのに、それを無視して、大都市などへの、無差別爆撃を行っていた」
作品名:一触即発の謎解き 作家名:森本晃次