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一触即発の謎解き

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 なぜなら、キツツキ戦法の場合は、襲い掛かった相手が先に逃げてしまうと、自分が思っているよりも、動きが早くなり、
「自分が危ない」
 ということが先に分かってしまうことで、またしても、
「位置が変わっただけの、三すくみ」
 であることに変わらなくなるというものだ。
 このことが実際に起こったのが、
「第四次川中島合戦」
 であり、キツツキで、背後をついたつもりが、相手に察知され、相手が先に飛び出したことで、最初は、飛び出した方が、数的有利になったのだが、とどめをさせずにぐずぐずしていると、別動隊としての。最初にキツツキをしかけた相手が、背後に回り込んで、結局、
「挟み撃ち」
 にあってしまい、結果として、敗走するしかなくなり、お互いに、
「痛み分け」
 となったということであった。
 この場合は、
「三すくみではなかったので、うまく行かなかったわけ」
 であるし、逆に、三すくみでは、
「こちらが滅んでしまっていた」
 ということになるだろう。
 それを考えると、
「そもそも、この作戦には無理があった」
 ということであろう。
 そもそも、
「第四次」
 ということは、過去にも同じ相手と三回、戦を行い、
「決着をつけることができなかった」
 ということなのだから、
「戦力が拮抗している」
 ということは分かり切っているということだ。
 三すくみというのも、そういう意味では、
「諸刃の剣だ」
 といってもいいだろう。

                 大団円

「死体を隠すには、どこがいいか?」
 ということであるが、出題者の川崎としても、
「前提として、あくまでも考えられることということでなので、実際に犯罪において、それが本当に正しいのかどうかというのは、正直分からない」
 ということであった。
 相変わらず、いちかは、これが、
「ウミガメのスープ」
 としてのクイズであると覆っているので、いろいろ質問していた。
 もちろん、これが、正解としてのクイズではないことは分かっていた。本来の海亀のスープというのは、
「最初と最後が分かっていて、どうしてそうなったのか?」
 ということを、考察していくゲームだということだ。
 今回のように、
「ただの命題の投げかけ」
 ということであれば、本来なら、
「ウミガメのスープ」
 という考え方は成立しない。
 要するに、
「質問をぶつけて、回答に近づく」
 ということが同じであって、結論が分かっていないだけに、一歩間違うと、
「回答が無限にある」
 ということになるに違いない。
 それを思うと、
 かなりの弾を打ち続けなければならないだろう。
 いちかもさすがに疲れてきたようで、それを見越したのか、
「ちょっといいかな?」
 と、飯塚が言い出した。
「ここまで聞いてきた中で、僕が思った二つのことがあるんだけど、まず一つは、土の中の方が、発見されにくいというものなんだよね? そしてもう一つは、一度捜査を受けたところは、警察が二度と捜査をしないということが、一番の鉄板じゃないかと思うんだ。それを考えると、ハッキリとした答えが出てきたわけではないんだけど、考えられることとして、誰か、身代わりになる人がいて、その人を罠にかけるという意味での、犯行なんじゃないかって思うんだ」
 と、飯塚は言った。
「さすが、飯塚君」
 と、さっきまでは、親しく、
「つかちゃん」
 と読んでいたのに、今度は敬意を表したかのように、
「飯塚君」
 というではないか。
 それを聞いた飯塚はビックリした様子で、
「あてずっぽうだったんだけどな」
 といって頭を掻いたが、その様子は、
「そうでもなさそうだな」
 と、いちかには見えた。
 いちかの目には。今まで仲の良かった二人が、バチバチになって、言い争いをしているかのように見えた。
 ただ、そこに言葉はなく、言葉というよりも、本来なら、
「言葉にならない絆」
 というようなものが存在しているような気がするが、どうもそうでもないようだった。
 いちかの目には、どのように写ったのだろうか?
「僕が一つ考えたんだけど、この話は、この間の失踪者の話に繋がっているんだよね?」
 とばかりに、飯塚は、まるで、
「ここぞとばかり」
 に、話し始めた。
「ああ、そうだよ」
 というと、飯塚は、一度頷くと、
「その行方不明者というのは、今までの流れから言って、殺されて埋められているということだよね?」
 と言った。
 いちかと、川崎は黙っている。
「その男は、きっと、見つからないと思っていたところに隠しておいて、今、なぜか表に出してきた。それは、何か時間的に今でないといけない何かがあったのかも知れない。債権か何かかも知れないが、まさか、その程度で殺人を犯すとも思えない。これも、金銭的なことにカモフラージュした何かなんだろうね?」
 という。
 いちかは、興奮しているように見えたが、川崎は腕を組んで考え込んでいる。
「それと同じようなトラップがここにあると考えると、一つ思ったのは、土の中というのは、意外と死体が腐敗しにくいと聞いたことがある。だとすると、身元が分かるくらいにしておかないといけないので、穴の中に埋めておいたと考える方がいいだろう。そして、穴の中で腐らない方法と考えるのと一緒に、見つからないといううことを両方で考えた場合に出てきた結論が、動物の死体が埋まっているところの下であれば、大丈夫なのではないか? ということなんだよ」
 というのだった。
 それを聞いた川崎は。
「それが君が見つけた結論なのかい?」
 と言われたが、飯塚は、うなづくわけではなく、先ほど川崎がしていたように、腕を組んでいて、考え込んでいる様子だった。
「まぁ、そういうことだね」
 と飯塚が、中途半端に答えると、
「どうして、そんなに、中途半端な顔をするんだい?」
 と川崎も飯塚の様子が、
「何か変だ」
 と思ったのか、その様子が、いかにも不可思議に見えたのだ。
「ウミガメのスープ」
 と、飯塚が呟いた。
「それがどうしたんだい?」
 川崎は少しビビっている。
 少し前までと、完全に立場が逆転しているようだった。
「ウミガメのスープの話を俺たちにしたのも、当然、川崎君のことだから、当然、何もかも計画済みということだよね?」
 と言った。
「どういうことだ?」
 と川崎が聞くと、
「いやね。君がいうことにはすべて計算されていることであり。それをわざわざ、ウミガメのスープのようにしたということは、まるで、石橋を叩いても渡らないともいうべき話に見えるのさ。だから、この裏には裏があり、さらに、それがきちっと合っていなければいけないということなんだろうと思ってね」
 と、飯塚は言った。
 飯塚の方が、少し先を見ているようだが、それでも、どこまで分かっているのか正直、川崎にも分からない。
「何が言いたい?」
 と川崎がいうと、
作品名:一触即発の謎解き 作家名:森本晃次