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一触即発の謎解き

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 というような発想になるのだった。
「この事件は、最初、
「合わせ鏡」
 という少しホラーめいた話が最初に出ていたが、何もそこから最初に話が出てくるというのはおかしなことであり、それだけが問題ではないと思うのは、いちかだった。
「ここにブービートラップがあるのでは?」
 ということを考えているのであって、それだけではなく、問題として考えることとしては、
「あまり、余計な質問を浴びせてしまうと、誤った知識をあたえられ、却って、混乱してしまうかも知れない」
 と感じたのだ。
 もっとも、一緒にいる飯塚は、そんなことまで分かっていないだろうから、思ったことはどんどん質問してくるだろう。
 要するに、いちかとしては、
「トラップには引っかからないようにしよう」
 と考えるのだった。
 さすが、そのあたりは、大学で、ミステリー研究会に入っているというだけのことはあった。
 実は、いちかも、
「ノックスの十戒」
 くらいのことは、ミステリー研究会に入会しているのだから、それくらいは分かっていて当然であった。
 しかも、叙述トリックというのも分かってるつもりで、敢えて何も言わなかったのは、
「こっちが、トラップに引っ掛けてやろう」
 という考えだった。
 だが、こうやって話が進んでいくうちに、いちかは、少し頭の中が脱線した気分になっていた。
 というのが、今ここで話している三人というのが、実は。
「三すくみの関係」
 にあるのではないか?
 と感じたのだった。
「三すくみ」
 というのは、
「それぞれの関係が三つ巴にある」
 ということであり、それぞれに、圧倒的な優劣的な関係にあるのだが、その関係が、それぞれ、最初から、
「身動きが取れない」
 というような、
「力の均衡」
 の中に入っているということであった。
 力の均衡というと、二つのものが、そんな均衡の間にあるという場合、よく言われることとして、
「核による力の均衡」
 というものがあった。
 これは、接待的に、相手を完膚なきまでに抹殺できる兵器を持っているということであり、例として。
「二匹のサソリを、密閉されたかごの中に入れたようなものだ」
 ということであった。
 つまりは、
「サソリは、相手のことを一撃で殺すことができる。しかし、それをしてしまうと、自分も死んでしまうということを意味している」
 というものだ。
 力が均衡してしまっているので、襲い掛かることができないということであり、ここでの例として挙がった、
「核による均衡」
 というのは、自国間だけの問題ではなかったのだ。
 もっといえば、
「一発の核ミサイルを撃ち込む」
 ということは、まずは、
「お互いに核の応酬」
 ということで、両国の滅亡」
 ということになるのだが、他の核兵器を持っている国が同盟を結んでいたりすれば、それに伴い、ミサイルを打ちかねない。
 それどころか、黙っていても、核兵器を撃ち合うということは、
「核の汚染が、世界中に広がる」
 ということを意味している。
 ヒロシマ、ナガサキの原爆とは違い、その数百倍ともいわれる破壊力を持ったミサイルが都市を破壊するのと同時に、成層圏までに放射能汚染が広がり、爆発で死ななかった人も、そのほとんどが、地上にいるだけで、死に絶えていくということになるのであった。
 実際に死ななくとも、食料となるものもなく、
「餓死を待つ」
 というこちらも、悲惨な状況になるだろう。
 核兵器の放射能によって、動物や昆虫。植物にいたるまでの、
「突然変異」
 というのもありえなくもない。
 だとすれば、
「人間だけが、変異しない」
 と言えるわけもなく、化け物になってしまうかも知れない。
 そうなると、
「地球というところは、人が生きられるところではなくなってしまうのだ」
 ということになるだろう。
 そんな、
「悪魔のような場所に生きているくらいなら」
 ということで、自ら命を断つ人も多いだろう。
 昔にあった、
「核戦争後の地球で生き残る」
 ということがテーマの栄華であったり、
「生き残った世界で、サバイバルというよりも、渡り歩きながら、仇を探す」
 というような、イメージとしては、テーマがよく分からないようあマンガもあったりした。
 似たようなマンガは多く、有名な作品は映画にもアニメにもなったりしたが、ほとんどは、
「二番煎じ」
 とでもいえばいいのか、作品が、よく分からない、
「カオスの世界」
 のようなものも結構あったであろう。
 そんなことを考えると、
「力の均衡」
 というものは、
「一対一では、諸刃の剣であり、とても、いつまでも、均衡を保てるものではない」
 ということであった。
 だとすれば、
「三か国だったら?」
 と言われるが、それは無理な話であった。
 だが、これが核戦争のようなものではなく、
「それぞれ一匹ずつの生物による三すくみであったら?」
 ということを考えると、そこに、均衡というのが生まれることになるのだ。
 というのが、
「ヘビ、カエル、ナメクジ」
 という三匹のお話でああり。
「ヘビはカエルを食べる」
「カエルは、ナメクジを食べる」
「ナメクジはヘビを溶かしてしまう」
 というのが、いわゆる、動物の中でも有名な三すくみの関係と言われている。
 この時に問題なのは、
「最初に動いた方が、負ける」
 ということが、分かっているからである。
 だからこそ、相手に襲い掛かることができないのであり、最後には、自分を食べたやつが生き残ることになる。
 しかし、それだけであろうか?
 問題は、
「誰も生き残るものがいない」
 ということになるのだった。
 ということになるのだ。
 つまり、どういうことかというと、
「自分が、倒せる相手を倒しに行こうとして、先制攻撃を加えたとすれば、どうなるか?」
 ということになるのだが、
「当然相手は、逃げ出して、自分に対して弱い相手に襲い掛かることだろう」
 というのは、当たり前のことで、さて、そうなると、今度は、
「誘い出されるように、自分が強いと思っている相手、つまり、自分に襲い掛かっくる」
 というものである。
 これは、一種も
「第四次川中島合戦」
 における、山本勘助が考えたとされる、
「キツツキ戦法」
 のようではないか。
 だが、キツツキではなくとも、別の方法だってあるだろう。
 というのが、
「もし、自分が、襲い掛かって、襲い掛かった相手が、動けなくなって。あっさりと自分に滅ぼされるとなると、どうなるだろう?」
 普通に考えられるのは、
「動かないことで、自分に食われてしまうということは、自分に襲い掛かってこようとする相手への抑止がなくなるということである。天敵がいなくなるのだから、後はこちらをいかようにして食い尽くすか?」
 ということを考えるだけになってしまうからだ。
 そうなると、結果としては。
「最後には、自分に襲い掛かってきた方の一人勝ち」
 ということになる。
 そして、
「前者と後者では、どっちがいいのか?」
 ということを考えると、
「三すくみを崩す」
 という意味では、後者になってしまう。
作品名:一触即発の謎解き 作家名:森本晃次