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 が多いようだった。
 ここも、少しかんがえさせられたのだ。
 そして、もう一つは、こちらは、完全に同人誌、いわゆる、
「二次創作」
 というものであり、元々、誰か有名作家であったり、昔から伝わっている童話の、
「続編」
 というものを書いている感じだった。
 それを見ると、
「ここは、最初から、論外だな」
 と思った。
 そもそも、
「二次創作など小説ではない」
 と思っていたからだ。
 そういう意味で、ノンフィクションも論外である。
「あれは、小説では九、随筆だったり、作文ではないか」
 ということになるのだ。
 そうなると、サークル選びは、難航した。
 何といっても、機関誌を発行していないようなところは、そもそも論外である。
 今から機関誌発行を
 ということを言っても、実際に発行できるようになるまで、労力が必要だ。
 労力を使うのが嫌というわけではなく、
「そんな時間と労力があるのであれば、それをサークル活動としての、執筆活動に全力を投入したい」
 と考えているとするならば、今の時点で、機関誌を発行していないサークルなど、興味もないということであろう。
 となると、選択肢は、少し富本にであるが、最初にもらった、
「ポエムが多いサークル」
 ということになったのだ。
 話を聴いてみると、向こうも、
「男性の部員は大歓迎なんですよ。今はポエムが多いというだけで、皆、小説に憧れは持っているんですよ。だから、小説をお書きになる人は尊敬できるし、ぜひ入部していただきたい」
 といってきたので、
「そこまでいうのであれば」
 ということで、入部することにしたのだ。
 入部してみると、
「なるほど、女性が多いな」
 と思った。
 新入生の新入部員も、女性が多かった。
 男性はというと、2年になって入部してきた自分と、先輩に2人いるだけだった。
 部員は全体で、30人ほどいるということであったが、ここでも、
「サークルあるある」
 ということで、
「約10人近くが、幽霊部員なんですよ」
 と、部長は悲しんでいた。
「でも、男性の部員は、真面目にサークル活動に当たっていて、皆一様に言っていることは、自分の活動に集中したいので、部の役員はご遠慮したいということだったんだけど、高杉さんはどうなの?」
 と言われ、
「先輩方の言われている気持ち分かる気がするんです。だから、僕もできれば、部の役員はご遠慮願いたい」
 というと、
「そうですか、分かりました」
 と、少し残念そうに、部長がいうのだった。
「すみません」
 と恐縮すると、
「大丈夫ですよ。気にしないでくださいね」
 といってすぐに笑顔になった。
 そんな部長を見て。
「この部長の下でなら、楽しい、部活生活ができそうだ」
 と感じたのだった。
 ここのサークルの一つのルールとして、
「サークルメンバーは皆、決まった無料投稿サイトに個人で登録し、そこで、部活の半分は行う」
 ということであった。
 大学の文芸サークルくらいになると、
「必要以上に、部活にのめりこむことはせず、集まりも、曜日は決めておいても、参加は自由。ただ、一月に一度は全員集合」
 ということだった。
 その時は、ほとんど顔見世程度となるので、
「サークル活動の成果については、サイト内の活動で十分に足りる」
 ということなのだ。
「サイトで、小説を書いて、そして、そのレビューや感想を書き合う。もちろん、一番は次作オリジナル作品を書くことなのだが、ポエムはOKだが、ノンフィクションであったり、二次創作は不可」
 ということであった。
 それは、高杉にとっては、願ったり叶ったりであり、
「これはありがたい」
 と思っていた。
 実はこのルールも結構、最初の頃に役員が、協議して決めたのだが、決定までには、大いに紆余曲折があったということだった。
 そんな状況だからこそ、サークルといっても、結構しっかりしていた。
 特に、ここ数年は、少し前から流行り出した、
「世界的なパンデミック」
 というものがあったおかげで、
「大学への登校は自粛という時代があった」
 ということも聞いている。
 高校も、リモート授業などということもあり、
「学校には、少ししかいかなかったな」
 ということで、
「暗黒の高校時代」
 とまわりは言っていたようだが、本人はいたって、気にしている様子ではなかった。
 というのは、
「そんなに高校生活がいいものではなかった」
 ということであるが、
「高校時代もやりたい部活がなかった」
 ということで、
「学校にいく意味あるのか?」
 と思っていたところでの、パンデミック。
 実際に、行かないでいいとなると、一抹の寂しさもあったが、それだけではなかった。
 とはいえ、
「病気が蔓延するから仕方がない」
 と言われてしまえばそれまでだった。
「運動会も、文化祭も、修学旅行すらなかった」
 ということであるが、高杉がなくて、悲しいと思ったのは、
「修学旅行ではなく、文化祭」
 だったのだ。
 文化祭を、寂しいと思ってことで、
「俺がやりたいと思ったのは、スポーツよりも、文化サークルなんだな」
 ということで、一番身近は、文芸サークルだった。
 それが、大学に入ってからも変わっていないということであり、
「高校時代においては、できなかったことを、大学でやろう」
 と思っていたはずなのに、
「なぜ、バイトに走ったのか?」
 ということは、きっと、そもそも入学した時に感じた、
「必要以上の開放感」
 があったからだろう、
 それだけ、
「世界的なパンデミック」
 というものが嫌だったということだろう。
 引きこもり一歩手前だったという中途半端な気持ちが、一番、大きな反動を呼ぶのではないか?
 と考えさせられたということになる。
 だから、サークルに入って、楽しみなのは、
「機関誌が出たところの感動を感じることだ」
 というのは間違いないが、それ以上の感動は、高校でいけなかった修学旅行というのもあることから、
「夏合宿」
 というものが楽しみだったのだ。
 昨年の夏合宿は、海だったという。
ただ、先輩に聞いてみると。
「どうも去年の海というのは、少し不評だったようなのよ」
 というではないか?
「どうしてなんですか?」
 と聞くと、
「だって、私たちは女性が多いでしょう? 日焼けを気にするのよ。特にこういうサークルだとインドア派ばかりなので、どちらかというと海に興味がないの。男の人の目を気にする人もいるし、ちょっとハードルが高かったみたいね」
 というので、
「でも、男性目当ての人もいるんじゃないんですか?」
 と聞くと、
「そりゃあ、いるでしょうけど、そういう人は、一人で行動するか、数名の友達となんでしょうね。これだけの大所帯の中で男性の目を引こうなんてすると、他の女性から、変な目で見られるでしょう? 特に男性から意識されたりすると、女って、嫉妬深いんだからね」
 という。
「なるほど」
 と答えたが、確かにその通りである。
「それに、そんなアバンチュールを求めるなら、一人で来るでしょうね。仲良くなっても、それ以上のことは、団体行動なので、なかなかうまく行かないわよ」
作品名:交換幇助 作家名:森本晃次