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交換幇助

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 ただ、アマチュアに関しては、そのようなことはない。何しろプロではないのだから、契約金というものはない。
 せめて、
「特待生扱い」
 ということでの、
「授業料免除」
 というところであろうか。
 ただ、この制度は、受ける生徒にとっては、
「諸刃の剣」
 である。
 なぜなら、あくまでも、
「そのスポーツができてこその契約なので、いかなる理由があっても、スポーツができなくなれば、特待生対偶は、即刻取りやめということになるだろう。
 ということは、
「けがをしてもダメなのだ」
 つまりは、たとえば、
「チームのために、監督命令などで、ケガをしているのに、勝利のためということで選手を酷使して、それで、ケガが再起不能になってしまった場合でも、特退を外される」
 ということになるだろう。
「くそっ、あの監督が出ろというから、命令には逆らえないということで出たのに、この仕打ちはひどい」
 ということである。
 もちろん、チームの統率という意味で、
「監督命令は絶対だ」
 というのが、団体競技の、
「鉄の掟」
 だといってもいいだろう。
 それを思うと、出場した、いや、無理矢理に出場させられた選手に非はないということではないか。
 だが、一番悪いのは、監督であり、この監督は監督としての、裁判のようなものがあるかも知れない。
「監督解任、理由としては、前途有望な選手を潰したから」
 ということでの退団ということになるだろう。
 しかし、だからといって、選手が、擁護されることはない。契約通り、
「野球ができなくなれば、特待生扱いはなし」
 ということには変わりはないのだ。
 選手が何を言おうとも、
「契約書に書いてあるじゃないか。それを分かっていて、お前は契約したんだ」
 と言われてしまえば終わりである。
 最初は、
「君なら、プロだって目指せる」
 などということを言われ、その気になった自分が情けない。
 ただ、実際に、チームに入って、中心選手になり、そのため、監督に無理矢理出場させられ、その結果招いた最悪の事態だったのだ。
 もし、これが監督の指示ではなく、自分が無理に出場するということを選んでいたとしても、
「チームのために」
 と言ったところで、
「無理をすることはないんだ」
 と言われるだろう、
 下手をすれば、
「チームとしても、学校としても、君が一時の感情で、これから生み出す無限の可能性を、自分で切ってしまったんだ」
 と言われてしまうと、どうにも言い訳ができそうにもない。
 確かに、チームにも学校にも迷惑を掛けたのは間違いのないことなのである。
 それを考えると、
「特待生扱いの破棄」
 というのも仕方がないことだ・
 ということになるだろう。
 ただ、思い知るのは、
「本当に血も涙もない」
 ということであった。
 特に、
「今まで、野球しかやってこなかったのだから、これから、自分がどうすればいいのか、まったく分からない」
 と言えるだろう。
 正直、
「野球のために、学業をおソロ化にしてもいい」
 というほどのことを言われていたのに、今度は、野球というものがなくなれば、
「成績が悪ければ、もう、成績だけで、お前は判断されるんだ」
 ということだ。
 今までは、赤点であっても、進級は約束されていた。しかし、これからは、成績だけが自分の評価となるので、下手をすれば、退学した道は残されていないという現実が待ち受けているだけではないだろうか。
 高橋つかさが探してくれたところは、湖はそんなに大きくないが、そのまわりを囲っている森しか、表からは見えないので、
「相当に大きなところではないか?」
 と思われていて、
「この中でなら、相当に大きなテーマパークでもできるんじゃないか?」
 と思えるほどだが、実際に入ってみると、
「湖をぐるっと散歩しても、30分もあれば、一周できる」
 というくらいの、そこまで広くないところであった。
 一度、ネットで、ここの航空写真を見たことがあったが、本当にキレイなところだった。
 何と言っても、湖面が、エメラルドグリーンに見えていて、その明るさは、まったくまだらさを感じさせない。
 つまりは、
「波がない」
 ということだ。
 それだけ、森が高いところで、表からの風を遮っているのだろう。
「ここまでキレイな湖面は見たことがない」
 と思っていたが、考えてみれば、
 今までに、湖面を意識して見たことなどないかも知れないな。
 ということであった。
 今までに、そんなに湖面を見たことがないはずなのに、いくらネットとはいえ、
「こんなにきれいな光景が、この角度で見えるとは、思ってもみなかった」
 ということであろう。
 それも、
「ドローンのおかげだろう」
 と感じた。
 ここ、数年くらいで、よく聞くようになったドローン。
「おもちゃだとすれば、これほどしっかりしていて、精巧にできているというものもないだろう」
 さらに、
「軍事兵器」
 ということであれば、
「これほど、お手軽であり。しかも、敵には、おもちゃにしか見えないものは、実に使い勝手がいい」
 と言えるだろう。
 もし、相手に見つかったとしても、映したのものは、伝送されることで、本部に送られ、ドローンの中には残っていない。
 もし、
「相手から攻撃を受けて、逃げられない」
 となると、
「相手から捕縛される前に、自爆する」
 という方法もあるだろう。
 ドローンを、
「無人偵察機」
 として使用するのであれば、目的が終わるか、途中で目的完遂よりも、相手に秘密が漏れるのがまずいと思うと、自爆してしまえばいいのだ。
 それを思うと、
「最近の兵器は、手軽に使えて、おもちゃのような小型化したものを、量産型で作る」
 というのが、主流になっているのかも知れない。
 昔であれば、戦闘機も
「高価なものを、開発し、実際の戦闘では、普通に考えても、戦術的に、ありえないような戦闘能力を有していても、宝のものくされというものである」
 といえるだろう。
 それよりも、軽量で安価な戦闘機を、量産型として製造する方が、コスト的にも戦略的にもいいというものだ。
 最近では、
「ステルス機能」
 さえあれば、かなりの成果が期待できる。そういう意味で、最近の兵器は、無駄がないといえるだろう。
 そんなドローンで見たような光景が二人とも秒で気に入って、すぐに、
「ここにしよう」
 ということになった。
 さすが、あまり気にされていないという場所なだけあって、宿泊客も、少ないようだった。
 金銭的にもリーズナブルで、
「これなら、部員から、変な文句が出ることもないだろうな」
 ということであった。
 期間は、5日間であった。
「長すぎるのではないか?」
 とも思えたが、
「作品を何か一つでも完成させるのが目的」
 ということなので、5日から、一週間という意見となったが、さすがに一週間というと、厄介であった。
 ということで、部員には、その趣旨を話しておいて、
「小説を書く人で、長めのものを考えている人は、まず、プロットを考えておくことをお勧めします」
 ということで、部員からも、5日異存はないようだった。
作品名:交換幇助 作家名:森本晃次