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裏表の日本

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 今回の戦争において、戦争犯罪人を裁くという意味で、一番の問題は、もちろん、
「天皇の戦争責任」
 ということであった。
 もちろん、憲法上でも、実際の流れであっても、天皇の戦争責任を逃れることはできないのかも知れない。
 しかし、天皇を処罰してしまうと国民感情は大変なことになる。
 しかも、
「極東国際軍事裁判」
 において、ほとんどの証人、いや、すべてといってもいい人たちの口から、
「天皇の戦争責任を口にする人」
 など、誰もいなかったのである。
 そんな中において、
 当時の最高司令長官であった、マッカーサーは天皇にも謁見して、その人柄に、
「天皇には戦争責任がないということにすれば、スムーズな占領政策を打つことができる」
 ということであった。
 そして、新憲法には、天皇というものを明記し、
「天皇は国民の象徴」
 ということで、その存在を記したのだ。
 ということは、戦争犯罪を問うことはできないということで、
「日本を平和な民主国家に生まれ変わらせる必要があったのだ」
 と言えるだろう。
 日本という国は、地理的な条件からしても、
「アジアの玄関口」
 として、重要拠点である。
 かつて、ペリーが日本にたいして、
「砲艦外交」
 を行い、無理やりにでも開国させた理由が、またここのクローズアップされたということなのだ。
 アメリカにとって、日本という国は、少なくとも、太平洋上での、物資補給国であり、さらに、アジア政策の、
「前線基地」
 ということでもあるのだ。
 特に、大東亜戦争後というものは、一見世界は平和になっているようだが、問題は山積みだった。
 それぞれの国の処遇など考えていれば、
「何日あっても、大変である」
 ということになる。
 日本は比較的、問題にはならなかった。
 マッカーサーを総司令官にして、
「やるべきことを、一つ一つこなしていけばいい」
 しかし、他国はそうもいかない。
 特にポーランド問題だったり、朝鮮半島や、ベルリンはそうもいかない。
 第二次大戦勃発時の、ポーランド侵攻によって、国土がそのまま横に移動する形になったポーランドの
「国土復旧」
 というのも問題で、
「朝鮮半島における、社会主義国であるソ連と、民主主義の代表であるアメリカとが、一触即発だった」
 と言ってもいいだろう。
 しかも、
「国連からの、委任統治などという、統治のやり方がしっくりしていなかったという理由からもあって。終戦後5年もしないうちに、南北がそれぞれ、主義の違う国家が分裂という形で出来上がったのだ」
 といえるだろう。
 さらに、ベルリンは、市内の途中で、社会主義と民主主義が争う形になり、プロパガンダ合戦などで、絶えず相手をけん制していた。
 ソ連による、電気供給のストップなどということをして、相手国に逃げ込む市民を止めるのに必死だった。
 しかし、最後には、そう簡単にいかず、最終的に、
「ベルリンの壁」
 というもので、強制的に、民族を分けてしまうということである。
 その頃から、
「社会主義」
 と、
「民主主義」
 による争いが、各国で起きていたのだ。
「社会主義国というのは、本当に、民主主義の限界から作られた、究極の政治体制なのだろうか?」
 ということであった。
 日本も、当時、再軍備を考える一部の集団や、
「戦争は終わった」
 ということで、自由を感じている人、それぞれなのだろう。
 民主主義を押し付けてきたアメリカの属国になることを恐れている人と、とにかく、戦争はダメで、平和を求めるという人との間で、日米安保理を巡っての学生運動に発展したりしたものだが、結局、日本はアメリカの属国に成り下がってしまった。
 結局、押し付けられた平和憲法の下、日本は、
「戦争のない時代」
 というものを過ごすことはできたが、結局は、アメリカの言いなりになり、
「軍隊が出せなければ、金を出せ」
 という世界からの圧力で、
「金でしか、その存在をアピールすることができなくなった」
 ということである。
 だから、今のソーリなどは、国民が困っているのに、外国に金をやるようなことをするのだ。
 それも、仕方なくではなく、自分が、
「外国にいい顔をしたい」
 という理由だけでである。
 まぁ、しょうがないといえばしょうがない。
「国民が選んだソーリ」
 だからだ。
 いくら他に入れる政党がないということであるから、選挙に行かなあったり、与党に入れるのだから、
「こんな男しか、ソーリになれるやつがいないのか?」
 と思うと情けなくなるが、そういうことだというのであれば、
「しょせん、これこそが民主主義」
 というものだ。
「あの時代に-おける大日本帝国と比較して、果たして今の時代、いい時代だと本当に言えるのだろうか?」

                 侵略

 実は、この今の日本と、寸分変わらぬ体制の国がある。
 その国は、
「本人たちには分かっていないが。絶えず他国からの侵略に怯えている」
 という国であった。
 というのは、この国の体制は、ある意味今の日本のようなところがあり、
「名目上、ほとんどの自由が許されている」
 という国であった。
 しかし、その実態は、よく分からない国だった。
 確かに存在している国なのだが、情報も入ってこない。入ってくる情報としては、
「日本とよく似た国だ」
 ということであり、
「その国のことは、アメリカとしか話をしてはいけない」
 というのが、日米間で決められていたのだ。
 つまりは、
「アメリカだけが、その国の存在を知っていて、日本には分からない」
 そんな不可思議な国の存在を、アメリカはどうして、日本にだけしか言わないのか、政治家の中には、バカなやつもいて、
「さすがは、日本の同盟国。日本にだけ話をしてくれたということは、それだけ日本を信頼して、同盟国の中でも、一番の存在だと思っているのかも知れない」
 と感じていた。
 しかし、普通に考えればおかしいだろう。
 そもそも、そんな国が存在しているとして、
「なぜアメリカだけが知っているのか?」
 あるいは、
「なぜ、公表しようとしないのか?」
 ということが不思議ではないか?
 世界には、
「国際連合」
 というものがあり、基本的に世界的な問題はそこで話し合われなければいけないわけで、
「アメリカだけが知っている」
 というのは、おかしなものだったのだ。
 しかし、不思議なことに、日本の政治家の誰もが、そのことを問題にしない。
「そっか、アメリカだけが知っている国が存在するのか。どんな国なんだろう?」
 ということで、そんな国が存在していることを問題視する政治家はいなかったのだ。
 これはアメリカ政府も分かっていることであり、たぶん、他の国も、似たようなことがあれば、
「日本という国が、どうのこうのというわけではなく、世界がすべて、そんな国だったんだ」
 というのを、いまさらながらに知らされた人がいたのだ。
 その人は、外務大臣の秘書をしている人で、
「本来なら、常識ともいえるそんなことを知らなかったというのが、自分でも、不思議に感じることだった」
 のである。
作品名:裏表の日本 作家名:森本晃次