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裏表の日本

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 を結んでいて、ソ連はそれを一方的に破って、攻めてきたのだった。
 元々日本は、
「この戦争も何とかして終わらせなければ」
 と、やっと事の重大さに気付き、ソ連に仲介を頼もうとしていたのだった。
 しかし、実際には、そのだいぶ前の、
「カイロ会談」
 だったか、
「ヤルタ会談」
 であったか、アメリカは、ソ連に、
「しかるべき時期がくれば、日本に攻めこんでほしい」
 と依頼をしていたのだ。
 もちろん、ソ連が断るわけでゃない。
「時期ここに至れりとばかりに、今まで日本に取られていた領土を回復しよう」
 と思ったとしても、それはそれで無理もないことであろう。
 実際に、ソ連が満州国境から攻め込んできたということを聞いた時、政府首脳はどう感じただろうか?
 戦争は、
「2発の原爆投下で終わった」
 と思っている人が多いだろうが、実際には、
「ソ連の参戦」
 で決まったといってもいい。
 なぜなら、和平工作がならなかったとしても、
「不可侵条約を結んでいるわけなので、攻めてくるということはないだろう」
 と、思っていたことだろう。
 しかし、考えてみれば、
「不可侵条約」
 など、片方が破れば、簡単に破れるということは、
「ヒトラーが、ソ連と結んだ不可侵条約を破り、独ソ戦に持ち込んだことで分かる」
 というものであろう。
 それを思うと、
「日本だって、どうして、ソ連をそこまで信じることができたというのだろう?」
 というのは、分かり切ったことではないだろうか?
 だから、日本が、この戦争を辞める、最大のきっかけは、
「原爆投下」
 ではなく、
「ソ連の参戦だった」
 といえるだろう。
 何といっても、満州に攻めてきたのであれば、防ぎようがない。
 かつては、
「天下無敵の関東軍」
 と呼ばれていたが、その猛者たちも、すべて、南方戦線にいかされているのだから、関東軍が弱小化するのも当たり前というものだ。
 ソ連が攻めてきた時、居留民を見捨てて逃げ出した兵も結構いたようなことを聞いている。
 特にその混乱で、虐殺なども、かなり多かった。
「通化事件」
 という虐殺事件もあった。
 これは、ソ連軍の赤軍というよりも、
「中国の八路軍によるものだった」
 ということであった。
 結局そのまま、日本兵や、居留民は、シベリアに連れていかれての、強制労働をさせられたという理不尽なことも起こったのだ。
 日本は負けたのだから、それに対して、何も言えない。日本が戦線を広げすぎたために、各地に、居留民が残ったり、兵士が残ったりしていた、彼らが復員してくると、日本国土のほとんどは、焦土と化しているので、
「生きる望みを失った」
 ということで、自殺する人、自殺しないまでも、餓死してしまう人などが、後を絶えなかったことだろう。
 それを思うと、
「あの時に生き残るには、犯罪を犯すくらいのことがなければ生き残れなかったことだろう」
 というものだ。
 闇市であったり、闇物資のブローカーなどでもない限り、生き残っていけなかったことだろう。
 ハイパーインフレのために、お金がいくらあってもどうしようもない、
 それが、敗戦後の混乱期だったのだ。
「物資が圧倒的に不足している」
 だから、いくらお金があっても、売ってくれないということだ。
 札束一握りあっても、一切れのパンも買えない。
 などということがあったりしたくらいだ。
 だから、比較的爆撃を免れた、
「田舎の農家」
 などに、自分たちの家にある、家宝のようなものであったり、着物のようなものを持って、
「物々交換」
 にて、物資を譲ってもらう。
 ということをしに出掛けていたのだ。
 だから、列車は、人が溢れんばかりになっていて、手すりにつかまりながら、落っこちそうな状態のまま、列車で田舎に向かうという人もいたくらいだ。
 しかし、田舎に行っても、なかなか売ってくれなかったりする。
「これは、高級な着物で」
 といっても。
「そんなもの、いっぱい皆が持ってくるからね。それっぽっちだったら、少しだけになっちゃうよ」
 と言われるのがオチだったりした。
 そうなると、
「闇物資」
 に頼るしかない。
 ということになる。
 闇物資は、当局から、
「買ってはいけない」
 と言われているようだが。そんなことを言っていては、
「死を待つばかり」
 ということになるだろう。
 実際に、中には、
「当局のいうことを守る」
 ということで、闇物資には一切の手をつけず、結果、栄養失調で死んでしまったということもあったりしたのだ。
 そのうちに、
「インフレの状態を少しでも緩和しよう」
 ということで、討たれた政策が、
「新円の切り替え」
 というものだった。
 新円に切り替えたことで、今までの紙幣は紙屑になり、しかも、いくらたくさん持っていたとしても、新円に切り替えられるのは、上限がある。そうなると、
「お金を持っていれば持っていただけ、損だった」
 ということになるのだ。
 それが戦後の世界だったが、それでも、民主主義としての体裁は、次第に整っていき、
「新憲法」
 の下で、新しい法律や、社会体制が築かれていった。
 民主主義という、多数決で決議し、基本、
「自由な世界」
 というものが、蔓延ることになる。
 経済も、自由競争になることで、活性化されていて、力のある企業が勝ち残るという、今の世界の基礎がその時に出来上がっていたといっておいいだろう。
 ただ、そんな民主主義にも、大きな問題があった。
「自由競争であるため、貧富の差が激しくなってくる」
 ということ、
「多数決なので、少数派意見がなかなか通らない」
 ということで、どうしても、保守的な考えが残ってしまうということになるのだ。
 そのため、賄賂が横行したりすることで、
「民主主義にも限界がある」
 と言われるようになったのだ。
 民主主義というと、
「格差社会の増長」
「競争によって、倒産が増える」
「賄賂などの悪徳なものが横行する」
 などということで、
「民主主義には、限界がある」
 とされてきた。
 そこで産まれてきたのが、
「マルクス」
 を中心とした、社会主義、共産主義の考え方だった。
 社会主義というのは、基本的に、
「すべて平等」
 ということである。
 そのため、労働者であったり、農民などが支持するのだ。
 平等ということは、
「皆に、均等に報酬を与える」
 ということで、
「そのために、企業の管理も、政府がやる」
 という考え方である。
 つまり、会社のすべてが、
「国営」
 ということになり、自由競争というものは存在しない。
 それによって、各社社会を失くすという考え方であった。
「資本主義、民主主義に対する対抗策」
 ということであれば、筋は通っているが、これによって生まれるデメリットの方が、かなり激しいともいえるだろう。
「皆給料が同じということは、やってもやらなくても、給料は一緒。つまり、怠けものが増えるということだ」
 さらに、
「怠け者が増えると、製品の改良などという創意工夫をしようとする人が少ないだろう」
 といえるのではないか、
作品名:裏表の日本 作家名:森本晃次