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裏表の日本

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 そんな時代において、自分たちの政権の正当性を国民に見せつけるかということが、君主になると大切なことである。
 何といっても、新しい政権ができるということは、前の世間を滅ぼすという、
「クーデター」
 によって出来上がったものだからである。
 つまり、信長であっても、秀吉であっても、江戸幕府を開いた家康は、豊臣政権を完全に滅ぼしてしまったということで、
「信長、秀吉と何が違うのか?」
 ということである。
 結局、政権を握るということは、
「皆殺しであったり、相手をジリジリと攻め立てたり、あるいは、前政権を、まったく何もなかったかのように葬ってしまう」
 という意味で、方法は違っても、その残虐性は秘めているということになる、
 つまりは、
「残虐性というものを持っていないと、天下は取れない」
 ということになるのか、
「残虐性はあったことで、天下が手に入ったというのか」
 意識的なのか、無意識なのか、どちらにしても、天下を取るには、残虐性が必要不可欠だといってもいいだろう。
 しかし、これは、
「無意識の方がまだマシだ」
 と思うのかも知れないが、実はそんなことはないのではないか?
 というのは、無意識にやっているわけなので、
「自分で、制御できるはずがない」
 と言えるのであり、
 そうなると、
「制御できないのだから、誰かに制御してもらうしかないのだが、本人が、最高実力者なのだから、逆らうこともできない」
 ということは、
「そんな人物を担ぎ上げた方が悪い」
 ということになり、無意識な人間を担ぎ上げたことでの、その国家の興亡は、国民による、
「自業自得ではないか?」
 ということになるだろう。
 そう思うと、
「歴史というのは、残っている事実だけで判断できないところがある」
 ということえ、
「歴史とは生き物であり、これほど、難しい学問はないのではないか?」
 と言えるのであった。
 そんな国に対して、ある国が、諜報員として、一人送り込んだというウワサが流れた。
 当時の日本は、基本的に、戦争になるということを恐れてはいたが、それも、国家体制で、
「日本を攻撃してはいけない」
 ということを、国連で明記されていたので、
「日本を攻撃したり、占領目的で、侵略をしようとすれば、それは、完全に国連憲章に違反している」
 ということで、攻撃されても仕方がない。
 ということであった。
 それは、日本だけではなく、永世中立国にも言えることであった。しかし、日本の場合には、
「軍備をしない」
 という裁定元の条件付きでのことであったので、
「大っぴらには、日本を攻撃できない」
 ということは、決められたルールの下、絶対ルールでもあるのだ。
 だが、それでも、こちらの国の日本では、政治家は優秀なようで、彼らは、そんな中で、日本にたいしての、
「諜報活動」
 というものには、神経をとがらせていた。
 要するに、
「日本側から、攻撃するように仕向ける」
 ということであり、実際に難しいことではあるが、日本という国を疑心暗鬼にさせることで、
「国家体制を転覆させるか?」
 あるいは、
「日本側から、相手国に攻撃させるような方法」
 ということしかないだろうと、考えていたのだった。
 実際に、戦後、日本が、
「アメリカの属国」
 となるかならない時で揉めていたのをいいことに、社会主義国からの、諜報部員がやってきていて、
「スパイ行動」
 であったり、
「社会主義化」
 というものを模索していた気配があったのだ。
 そんな国家に対して、日本という国が、どのようにすればいいのかということが、問題になっていた。
 もちろん、この話は、最大国家機密だったので、アメリカも知らないことだった。
 もし、こんなことがアメリカにバレれば、せっかく、独立したのに、またしても、占領部隊が入ってきて、今度は、さらに厳しい状況に置かれてしまうと、ロクなことはないというわけであった。
 それを考えると、
「いかに、諜報活動というものが怖いのかということが身に染みて分かり、国家自体が、このようなスパイに対して、完全にトラウマ化してしまっているかということになるのであろう」
 だから、それからの日本は、アメリカに知られないような、特殊な機構を密かに作っていた。
「将来的には、アメリカも、その傘下に収めよう」
 と考えていたのだ。
 これは
「日本だからできること」
 といえるだろう。
「アメリカは、占領下にある日本は、まったくの武装解除状態で、何もできない国なってしまった」
 ということを、ハッキリ感じていた。
「タカをくくっている」
 といってもいいだろう。
 おかげで、日本に諜報活動に長けた人がいるなど、海外はどこも思っていないだろう。そういう意味で。やりやすいといってもいいだろう。
 その人が、名前を、クロイワと言った。本当の名前はもちろん、別にあるのだが、諜報活動をしている時の名前は、
「クロイワ」
 であった。
 そのクロイワが仕入れた情報としては、
「別の国家で、日本を侵略しようとしている国がある」
 という情報だった。
 その国は、アメリカとずっと仲よくしてきたが、最近は、
「アメリカを見限って、アメリカに対抗するだけの社会体制を画策している」
 と言われていたのだった。
 この情報は、ほとんど、誰にお知られていない。日本ではきっと知っている人は、政府の中にはいないだろう。
 何しろ、
「平和ボケしていて、基本的に、自分たちだけのことしか考えていない政府なのだから、しょせんは、自分たちのためになる情報であれば聞く耳を持つが、そうでもなければ、耳障りだというような連中に、誰が、そんな大切な情報を流すというのか?」
 特に、日本国政府の要人に、国際的な情報を流すなどということは、タブーとされている。
 それなら、
「クロイワ」
 たちが所属している組織に話した方が、いくらかマシだということである。
 それほど、日本という国は、
「どこの世界線でも、平和ボケとしてしか見られていない」
 ということである。
 だから、アメリカの属国となっても、ホイホイ従う政府なのだ。
 もっとも、日本が、敗戦後、どうしようもない状態であるということが分かっているから、そんな連中しか、政府に入ろうとは思わないのだろう。選挙の時点で、
「政治家にロクなやつがいない」
 といっても過言ではない。
 正直、クロイワは、日本政府の腐敗した状態はわかっている。
 だからといって、完全に見捨てることができなかった。
「これって愛国心なのだろうか?」
 と感が遭えると、自分でもよくわかっていない。
 ただ、
「自分の力を試してみたい」
 という気持ちがあるのは、事実で、政府とはまったく違った形で、日本という国を憂い、影から支えるという、同じような気持ちのいる連中を知ることで、
「ここが、俺の生きる道なんだ」
 として、活動するようになった。
 しかし、この団体は、そんな深い団体であるのに、
「鉄の掟」
 などというのは存在しない。
 もし、
「自分の命が危機に陥るようなら、まずは、自分が助かることを考える」
 ということを推奨する。
作品名:裏表の日本 作家名:森本晃次