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マトリョシカの犯罪

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 それを警備会社で話をして、そこから管理会社の許可を得るようにしたようだった。
 それを、森山に説明した。
 森山としては、
「原因の究明が大切なので、それは当たり前のことだ」
 と思い。了承したのだった。
 その後、警備会社の方と、管理会社が話をし、その方向で進めるということであったが。それを、森山の方にも話に来た。
 それは、今度は、警備会社の方が、
「いいアイデアを示した」
 ということで、文句は出ないということも分かるのだと感じたことだろう。
 それ以上、
「誤報」
 に対して何も言えないということを感じさせるというのは、何かの思惑があるからだということであろうか。
 そんなことを考えていうと、
「今回の誤報には、何か思惑でもあるのではないか?」
 と感じたが、すぐに打ち消した。
 なまじ覚えていると、
「ウソから出た実」
 のように、結果から考えると、
「それ以上の議論はまるで、小田原評定のように、ムダなことなのだ」
 というのであった。
「本当に困ったものだ」
 と森山だけが、一人いきり立っているかのように思うと、
「勧善懲悪って、マジでそんなのだろうか?
 と考えた。
「すべてが何かの見えない力によって、導かれているかのように思えてならない」
 と思うと、
「このままでいいのだろうか?」
 というおかしな気分にさせられる。
 見えない力というものをよく聞くが、どういうものなのだろう?
 ほとんどの場合、
「嫌な予感」
 しかしないのだが、それに間違いのないことであろうか?
 それを考えると、
「どこかに、警備会社と管理会社の作戦でもあるのか?」
 と勘ぐってしまうと、その先には、
「どこまで行っても誤報でしかない」
 と思えてきてならない。
 勧善懲悪という考え方は、その線の強さから、
「融通が利かない」
 ということと、
 あくまでも、
「自分が正しいということを大前提にしているので、少なくとも、自分だけは信じて疑わないという思うがないといけない」
 と思うようになっていったのだった。
 そんな、勧善懲悪の中、思わず怒りをぶつけてしまったのだが、
「あいつらは、警察と一緒で、何かなかったら、何にもしないといっても過言ではないだろう」
 つまり、
「それだけ、言い訳命」
 といってもいいくらいではないだろうか?
 世の中が、結局、
「どこに行っても、同じことだ」
 ということになるのだろう。
 文句を言ったが、結局は同じことだった。しかも、実際に、調べるといっていたが、その確証もない。それなのに、火事が起こったら分からないというのは、どういうことか?
 しかし、実際に、それから1時間後に、このビルから出火したのだ。
 火が上がったようで、警報機の音は聞こえなかった。
「あのビルから、火災が起きた」
 ということで、近所から119番通報があり、急いで救急車が駆けつけたようだ。
 この日、実は3階にも、別のところの人が、約半日くらいの予定で、業務をしていたということだ。
 その人たちは、
「警報が聞えた」
 ということで逃げてきていたのだが、上司の人は、
「警報が鳴ったとは思ったんだけど、何やら、普段と違う音だったような気がしたんです」
 というではないか。
 とりあえず、
「他に誰かいた気配はないですかね?」
 というと、
「確か4階がついていたような気がしたんですよ」
 ということであった。
 消防と一緒に、警備会社の人もやってきて、少し遅れてから、管理会社の人がやってきた。
 この日は土曜日だったので、ほとんどの会社は閉まっていて、やっていても、
「休日出勤」
 という形であった。
 しかし、株式会社コンビの場青は、
「システムの監視」
 ということで、そちらは、休みの日だろうが関係なく処理の監視は行われているので、基本的に、普段の早朝から、年始の2日くらいだけしか、事務所が閉まっている時間はないのだった。
「じゃあ、4階の人はどうなったんですかね?」
 と聞かれたその人は、
「それはわかりません」
 ということだった。
 昨今はマンションですら、隣に誰が住んでいるかなど知る由のなく、特にこのビルは、
「1フロア1オフィス」
 となっているので、他の階に人までしるわけもない。
 このビルお警備は、エレベーターは、警備のかかっているフロアには止まらないという仕掛けになっているので、余計に、他の階に行くという可能性すら、ゼロに近いといってもいいだろう。
 火事が本当に起こったので、ビビッているのは、管理会社と警備会社だった。何といっても、それらの会社は。
「警報機の誤報の原因を突き止める」
 という理由で、警報が鳴らないようにしていた。
 つまり、火事になっても、誰にも分からないようにしていたからだ。
 警察にその話をしない方がいいか?
 と考えたが、さすがにそれはまずいだろう。
 後で分かってからでは、もっとまずくなるということを言い出したのは、管理会社だった。
「管理会社の方は、それを分かっていてやったわりには、落ち着きがすごい」
 警察はそのことを分かっていた。
 分かっていて、最初はビビっていたが。途中から、開き直りに近い感じになって、最後の方は余裕があるくらいだった。
 刑事は少し何か怪しいものを感じたが、このビルにいる4階の人が逃げられなかったのではないか?」
 ということを考えると、実に厄介なことだった。
 警備が鳴らないようにはしてあったが、その分、高周波の音が鳴ることになっていた。その音を感じれば、気持ち悪くなって表に出てくると思っていたのだ。
 しかし、先ほどのベルの音が耳に残っていて。その音を耐えられなかった。
 そして、せっかくの、高周波の、
「モスキート音」
 であるにも関わらず、警報機の音がその感覚をマヒさせているので、せっかくの、気持ち悪いほとの音が聞えなかったのだ。
 ただ、この火事の原因も、実は、モスキート音によるものだった。
 この管理会社は、先日までの。
「世界的なパンデミック」
 のせいで、以前、別の事業に金を出資していたことが裏目に出て、莫大な借金を背負ってしまった。
 そこで、このビルに掛けてあるある保険金目当ての事故を装った出火を狙ったものだった。
 警備の音も実は、音を出すように細工をしてあり、業者が来る前に、管理会社だから、怪しまれずに装置をセットしたり、外したりもできるわけで、さらに、警報が鳴らなかったときを考え、
「モスキートによる音を聞かせることで、逃げられるようにという二重の作戦を考えていた」
 しかし、そこまで考えていたのに、
「警報機の誤作動」
 ということがあってしまったので、4階が逃げられなかった。
 ということになった。
 管理会社の方は、
「死んでしまった人には申し訳ないが、これでうちは助かった」
 と思っていたのだ。
 他の会社も、火事になったとしても、会社で保険に入っているだろうし、管理会社としては、原因不明ということになれば、そこは、見舞い金だけでいいという計算だった。
 最近、火災報知機の誤作動というのは、実は管理会社のやり口だった。
作品名:マトリョシカの犯罪 作家名:森本晃次